「アイシテル ー海容ー」('09) | Marc のぷーたろー日記

「アイシテル ー海容ー」('09)

稲森いずみさん主演の少年犯罪を扱ったドラマです。共演は板谷由夏さん、山本太郎さん、佐野史郎さん、田中美佐子さん他。

日本テレビ「アイシテル ー海容ー」公式サイト


とても真面目に作られているドラマだと思います。

ちょっと綺麗にまとまり過ぎてる部分もありますが、どういう風に描いたとしても、賛否が分かれるであろう題材に、敢えて挑んだ姿勢は称賛に値すると思います。

内容自体も、登場人物を単純な善悪に分けず、また何が正しくて何が間違っているのかを視聴者に対して説教臭く押し付けるようなところが少なかったのも好感が持てます。

あくまで、どの家庭でも起こりうる問題として、「あなたが同じ立場だったらどう考えますか? どうしますか?」と視聴者に問いかける姿勢に徹していたのも良いと思います。

子供もいない、結婚もしていない僕が観ても「自分がそれぞれの親の立場ならどうするだろうか?」と真剣に考えてしまうくらい、とてもメッセージ性の高いドラマでした。


でも実はこのドラマにはあまりハマらなかったんです。人並みはずれて感情移入しやすい僕ですが、このドラマは終始一貫して、自分でも驚くほど冷静に観ていました。

それは、こういう題材を実写で映像化することの限界ばかりが目についてしまったからなんです。

まず 2人の母親を演じた稲森いずみさんと板谷由夏さんの演技に馴染めなかったのは大きい…。熱演はしていたと思いますし、ところどころでは「いい演技」もしてるんですが…。

また加害者少年を演じた嘉数一星くんも、10歳でこれだけ演じられるのは本当に見事だと思いますが、この役を演じるという点では微妙に「違う」んです。

他にも、加害者少年の深い心の傷となり、事件の遠因ともなったホームレスとのエピソードがあまりに意味不明。調べてみたところ、ここは原作通りに実写で映像化することが不可能なために全面的に改変されたのだそうです。確かに原作通りに映像化できないのは分かるんですが、あまりに改変し過ぎ。重要なポイントなだけに、この改変の不自然さで、かなり冷めてしまったことも事実。
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それでも良かったところも (当然ながら) 多いです。

例えば、被害者少年を演じた佐藤詩音くんの、周りを苛つかせる少年の演技はとてもリアルで、本当に観ていてイライラしました (^^;;;

そしてこのドラマでの最大の収穫は、被害者少年の姉を演じた川島海荷ちゃん。取り立ててスゴい美少女というわけではないのですが、とても「目の表情」が豊かで、「基本的にはいい子なのだが屈折や劣等感を感じている複雑な年頃の少女」を的確に表現していて、これは見事でした。

他にも、加害者少年の父を演じた山本太郎さんや、家庭裁判所の調査員を演じた田中美佐子さんなどの好演もあり、全体としては、とても観応えのある「良作」に仕上がっています。

お子さんを持つお父さんとお母さんには特に観ていただきたいドラマです。