「クローズZERO II」('09) | Marc のぷーたろー日記

「クローズZERO II」('09)

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小栗旬くん主演で一昨年大ヒットした映画「クローズZERO」('07) の続編です。共演は山田孝之くん、やべきょうすけさん、金子ノブアキさん、三浦春馬くん、高岡蒼甫くん他。

映画「クローズZERO II」公式サイト
「クローズZERO」('07) 感想


元々この手のアクションバイオレンス映画に興味がないので、アクションシーンでワクワクすることはないんですが、前作同様、とても面白く観ることができました (^^)

前作ではほんのり匂わせるだけだった「組織論」や「リーダーシップ論」を謳う面が強調されたことで「戦国武将モノ」の世界により近づいただけでなく、「体育会喧嘩部」とでも言いたくなるようなスポーツマンシップに乗っ取った(?)喧嘩シーンの数々に、前作以上に「青春映画」としての側面が強まったように感じました。

また、前作も現実感のない異世界のような舞台設定でしたが、今回は警察も教師も一切出てこないことで、ますます虚構性が高まったのも、ありえない世界に違和感を感じさせない効果を与えていてグッド!
でも前作で刑事を演じた塩見三省さんのファンとしては今回出番がなかったのがちょっと残念だったりもします (^^)
ただ、映画としての完成度は前作の方が上だと思います。今作はスタッフ・キャストの思い入れが強いあまり、あれもこれもと詰め込み過ぎて、物語が散漫になっていたように感じました。

前作は、周りの魅力的なキャラクターたちが充分に描き切れていなかったことに不満を感じましたが、その分、主人公・源治のキャラクターを際立たせることで物語をすっきりさせていました。

それに対して今作は、主人公だけでなく、周りのキャラクターそれぞれに見せ場を設けているので、それぞれのキャラクターのファンにはたまらないものがありましたが、物語全体としては一貫性のない、若干、支離滅裂で作り手側の自己満足とも言える内容になってしまったように感じました。

でも、そのような欠点もこの映画に関しては悪いことではないと思うのです。

前作が大ヒットしたのは、主人公・源治のキャラクターだけでなく、周りのキャラクターたちがそれぞれ個性的で魅力的だったという点にあるからです。

それぞれのキャラクターに熱心なファンがいることは作り手側も充分に知っていること。今作は「完結編」と銘打っていますが、それはすなわち「クローズZERO」ファンのためのスタッフ・キャストからのプレゼントでもあるわけです。

だから多少物語に破綻があっても、ファンが満足してくれるもの、そしてスタッフ・キャストが満足できるものを作りたいんだという熱い想いが感じられるのです。

この作り手側の「想い」を単なる自己満足と受け取るか、ファンサービスと受け取るかは観る側の判断に任されるところではありますが、少なくとも僕は徹底した「ファンサービス」として、清々しさを感じました。

最後にお気に入りキャラを (^o^)

僕の一番のお気に入りキャラである伊崎瞬 (高岡蒼甫くん)。前作ではこれといった見せ場がなかったのが残念だったんですが今作ではめちゃめちゃ見せ場が多くて感激 (^^)

切れ者ゆえに逆にトップになれない男の悲哀と、だからこそゆずれない「男の意地」には、ビリビリ来るほど痺れました (^o^)

源治 (小栗旬くん) も多摩雄 (山田孝之くん) も選ばれた特別な男、つまり「天才」。それに対して伊崎はそれなりに実力があるものの「凡人」。モーツァルトとサリエリの関係でいうところのサリエリのような存在。だから僕は伊崎に惹かれるんです。

そして「百獣の王」芹沢多摩雄 (山田孝之くん)。前作は渋さと怖さの中におちゃめな面もたっぷりというキャラクターでしたが、今作ではとにかく渋い!! こんな貫禄たっぷりで渋い大人の高校生が実際にいるわけありませんが、そのカッコ良さはもはや反則レベル。男が心底惚れる男、人の上に立つ男とはまさにこういう男だということを見せつけてくれました。ただ僕の好みで言えば、もうちょっと茶目っ気のあるシーンが多くても良かったかなぁ。それに最後の「大運動会」で病み上がりの時生 (桐谷健太さん) を放っておいたのにもちょっと違和感。あれだけ時生を恋人のように大事にしていた多摩雄にしてはちょっと冷たくない? なんて思っちゃいました (^^;;;

それにしても演じる山田孝之くんは、先日観て来たばかりの映画「鴨川ホルモー」 の超ヘタレ大学生とはあまりに違い過ぎて、お客さんの中には同一人物だと気付かない人もいるらしいです。これといった特殊メイクもなしに、これだけ雰囲気を変えられるのは流石です。

「鴨川ホルモー」('09) 感想


そして主人公・源治 (小栗旬くん)。群像劇となっている今作では、主人公というよりは狂言回しの立場に下がったために、前作に比べて魅力がなくなったという意見を耳にしますが、むしろ源治をより生身の人間らしく描くことで前作とは違った魅力が出ているように感じました。何となく「役者・小栗旬」のイメージとしては前作の源治よりも今作の源治の方がしっくり来ます。

他にも、前作では存在意義がイマイチよく分からなかった三上兄弟 (伊崎右典くん、央登くん) や鷲尾 (波岡一喜さん) にもかなり見せ場があって印象的。

ただ前作同様、黒木メイサちゃんの存在意義は今回も分からず…。あのシャープなルックスは嫌いじゃないんですけどね (^^)

今作から登場の金子ノブアキさんと三浦春馬くんはそれぞれ印象的な役どころでしたが、そんな彼らをぶっちぎって強烈なインパクトを残したのは漆原凌を演じた綾野剛さん。もの静かで線が細く女性のような容姿でいながら、何を考えているのか分からない不気味さをたたえた男。そしてスイッチが入ると狂ったように相手を殺しかねない勢いで痛めつけるというクレイジーなヤツ。誰が演じても「おいしい役」ではあるんですが、綾野さんが驚くほど役にハマっていて、本当に不気味。とにかくこれからの活躍に要注目の役者さんです (^^)

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Wikipedia「綾野剛」


とにかく、アクションバイオレンスが苦手な人でも、前作と続けて観れば、いろいろと「観るべきところ」のある映画です。お勧めとまでは言いませんが観て損はないでしょう (^^)

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