「銭ゲバ」('09) | Marc のぷーたろー日記

「銭ゲバ」('09)

秋山ジョージさんの漫画を松山ケンイチ君主演でドラマ化した作品です。共演はミムラさん、宮川大輔さん、椎名桔平さん他。

日本テレビ「銭ゲバ」公式サイト


ハマるところまでは行きませんでしたし、いろいろと気になるところはありましたが、今クールの民放連ドラでは一番良かったんじゃないでしょうか (^^)

でも序盤はイマイチでしたね。

土曜夜9時というお子様向けの時間帯でこういうドラマを放送しちゃうというのは「斬新」ですが、題材自体は古めかしくて新鮮さはゼロ。子供のころの貧しさから来る悲惨な体験のために金の亡者になり、金のためなら平気で人殺しもする主人公なんて、まさに「昭和」のノリ。

また、清貧な食堂一家のあざとい不自然な描き方も鼻につきましたし、原作が漫画だから仕方ないのかもしれませんが、マンガチックな演出や展開も観ている方が恥ずかしくなるくらい。例えば、舞台劇のような不自然な独白シーンの連発やあまりにあっさり大会社の社長になれちゃうリアリティのなさなど、突っ込みどころが多すぎて「このドラマはコントですか?」と言いたくなります。

ところが主人公が金と権力を手に入れてから後になって、ぐぐっと面白くなってきました。

それまで主人公を執念深く追っていた刑事 (宮川大輔さん) や主人公にわずかに残された良心の象徴とも言える食堂一家がことごとく、金の前に屈服していく姿の描き方は、ぞぞっとするほどの「凄み」がありました。特に、これらのシーンでの宮川大輔さんと光石研さんが印象的な芝居をしていて、それにも身震いしました。ここは観応えアリ。

ただ最終回は、意図も意味も分かりますし、面白いと言えば面白いアイデアなんですけど、微妙に滑ってましたね…。あれはあれでアリですけど、前の回であっさり終わっても良かったかも… (^^;;;


さて役者陣ですが、主演の松山ケンイチくんは想像どおり。彼が本来持っている「気持ち悪さ」が活きていますし、セリフ回しの拙さも、セリフが少ないおかげで気になりませんでしたし。でも、このドラマで一段と「キワモノ」俳優のイメージになっちゃったかも (^^;;;

ただ、映画「人のセックスを笑うな」('08) を観たときにも感じたんですが、最終回の「夢(? 妄想?)」シーンのような平凡な青年役は意外に合っていると思うんです。彼の場合、平凡な役を演じると普通すぎて影が薄くなりがちなんですが、むしろその影の薄さが平凡な役をリアルに再現していて、僕は「良い」と思うんです。次は、平凡な青年役で観てみたいです (^^)

他には、椎名桔平さんのいかれっぷりとか、ミムラさんの胡散臭さとかも印象的でした。特に、ミムラさんは初めて「いい女優じゃん」と思いましたし (^^)v

でも、僕はやっぱり、宮川大輔さんの気色悪さにすっかり目を奪われちゃいました (^^)

ドラマ「チーム・バチスタの栄光」('08) での不気味なキャラクターと演技をかなり引きずっていますし、演技自体は決して巧くはないんですけど、あの強烈な顔立ちはインパクト大。また、愛する妻のために主人公の前に屈するシーンでの芝居はなかなかグッド!

ますますこれからが楽しみな個性派俳優です (^^)v