「警官の血」('09) | Marc のぷーたろー日記

「警官の血」('09)

戦後60年に渡る親子3代の警察官の姿を描いた大河ミステリー小説をドラマ化した作品です。主演は江口洋介さん、吉岡秀隆さん、伊藤英明さん。共演は椎名桔平さん、木村佳乃さん、貫地谷しほりさん、寺島しのぶさん、栗山千明さん、高橋克典さん、佐藤浩市さん他。

テレビ朝日「警官の血」

主演の 3人に全く興味はないのですが、脇の出演者がとても充実しているのと、脚本・監督が鶴橋康夫さんだということ、それに戦後 60年に渡る大河ミステリーというのが僕好みの題材なので何となく観てみました。




きっと原作は「ミステリー」として面白いんだろうなぁというのが率直な感想。読んでみたくなりました。

ただこのドラマに関しては、とても「ミステリー」とは言いがたく、かなりがっかり。真犯人も動機も序盤で全て分かっちゃうし、あっと驚くどんでん返しもないし。

恐らく文字だけで表現している小説であれば「ミステリー」の肝となる部分が、映像化することでミステリーの要素をなくしてしまった、そんな印象を受けました。

これはミステリー小説の映像化ではある程度致し方ないことなので、ミステリー以外の部分で見所があればそれはそれでドラマとしては良いと思うんです。

でも残念ながら、そちらもイマイチ。

「スケールの大きさ」を喧伝していた割には扱われる事件は小規模だったり、スケールが大きそうに見える事件も扱いがあっさりしすぎているのでスケール感も重厚感もなかったり…。

また全体のバランスも悪い。2代目 (吉岡秀隆さん) の話が長すぎるんです。初代 (江口洋介さん) の話が全体で最も重要な意味を持つはずなのに、あっという間に、しかもあっけなく終わっていて…。

結局、これまで様々な映画やドラマで散々語りつくされてきた「警察内部の腐敗」や「綺麗ごとでは済まない社会の病巣」という面だけが残り、この物語のテーマの一つだったはずの「罪と罰」という点は、理解はできるけれど、全く胸に迫ってこないという中途半端なものに…。

一体、このドラマはどこに主軸を置きたかったんでしょう…。

このドラマの脚本 (構成、見せ方) ならば、親子 3代よりも、3人を見守り続けてきた早瀬 (椎名桔平さん) を主人公にする、もしくは早瀬の視点で物語を展開させた方が面白くできたんじゃないかと思うんです。人物像としても早瀬の内面の方が「罪と罰」の物語にピッタリですし。

とにかくこのドラマでは主役 3人よりも早瀬を演じた椎名桔平さんのインパクトが、いい意味でも悪い意味でも圧倒的。

同じ時間帯で放送中の連続ドラマ「銭ゲバ」でも悪役を嬉々として演じていますが、このドラマの汚れ役もかなりハマっています。ただ、終盤の老けメイクは若干コントっぽくて、これも (悪い意味で) インパクトがありました (^^;;;

ところで、このドラマの中で最もインパクトのあった椎名さんが全裸で男娼の少年を抱きしめるシーンは、映像としてはさほど過激ではないんですが、夜9時という放送時間帯を考えると、「テレビ朝日も無茶するなぁ」と妙に感心しちゃいました (^^;;;
それにしても椎名さんは、以前からドラマや「ラ王」の CM などで全裸を披露していましたが、彼にはこういう脱ぐ役のオファーが多いってことなんでしょうか (^^;;;


このドラマは、脇の脇までキャストが充実していて、そのアンサンブルとしては、そこそこ満足しています (^^)

そんな充実した役者陣の中で椎名桔平さんの次にインパクトがあったのは、男娼の美少年「ミドリ」を演じた若葉竜也くん。いかにも「それっぽい」感じの顔立ちと雰囲気で、このキャスティングにはビックリすると同時にグッド!

まだ 19歳なのにあんなラブシーンをやらされて、ちょっと気の毒ではありましたが (^^;;;

Wikipedia「若葉竜也」