「初恋」('06) | Marc のぷーたろー日記

「初恋」('06)

初恋 スタンダード・エディション [DVD]
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三億円強奪事件を題材にした宮﨑あおいさん主演のラブストーリーです。共演は小出恵介さん、宮﨑将さん、小嶺麗奈さん、柄本佑さん他。


僕にはとても「微妙」な映画でした。

単なる 1960年代を舞台にした切ないラブストーリーとして見れば悪くないんです。むしろ好きな映画。宮崎あおいちゃんも小出恵介くんもピッタリですし。

特に「パッチギ!」('05) でも感じましたが、小出くんは「昭和テイスト」の雰囲気があるので、現代を舞台にした作品よりも、こういった「昭和」を舞台にした作品の方がしっくりきます。


が、「三億円強奪事件」という実際にあった事件を扱うとなると、どうしても違和感があるんです。

この物語の主人公 2人はベースに「孤独」や「鬱屈した不満」を抱えており、確かにその内面をあおいちゃんも小出くんも的確に演じてはいるのですが、基本的にあおいちゃんも小出くんも明るく爽やかな雰囲気があるので、そこまで極端なことをするほど切羽詰った感じがしないんです。

これは 2人の力不足という意味ではなく、演出上意図的にそう見せているんだということも分かるんです。あくまでこの映画はラブストーリーであり、暗くなりすぎないように爽やかさを残したいという作り手側の意図があって、それ故にこの 2人が起用されているのであろうことは非常に良く分かるのです。分かるのですが、それで現実に起こった犯罪をそんな風に爽やかさを残すような形で描いていいものなのだろうかと思ってしまうのです。

結局、非現実感のあるノスタルジックなラブストーリーとしてはいい映画だと思うんですが、「三億円強奪事件」という現実に起こった事件を扱っているために、その現実と非現実のギャップに最後まで僕はなじむことができなかったのです。

同じキャスト、同じ舞台設定で、「三億円強奪事件」を扱わないラブストーリーとして作り直してほしいくらい。もしくは、もっとリアリティのある内容で「三億円強奪事件の実行犯は女子高生だった」という設定の物語を作り直してほしいです。

とにかく、僕には非常に中途半端に見えてしまい、素直に楽しむことができませんでした。題材自体は好きなものなだけに、とても残念…。