「KT」('02)
- KT
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1973年に起こった金大中事件を題材にした日韓合作映画です。主演は佐藤浩市さん。共演はキム・ガプスさん、チェ・イルファさん、原田芳雄さん、筒井道隆さん、キム・ビョンセさん、香川照之さん他。
→ Wikipedia「KT (映画)」
実話が元になってはいますが、ストーリー自体はあくまでフィクション。それでも事件の謎に対する「1つの解」を提示してくれる内容だと思い、期待して観てみました。
結論から言うと、僕には最初から最後まで「しっくり来ない」映画でした。
この映画を、事件の謎を解き明かす物語だと思って観ると、かなり期待は裏切られると思います。この映画は、事件の裏側を暴露しようといった類いのものではなく、1970年代初頭の日本と韓国、そしてアメリカ 3ヶ国間の微妙かつ閉塞した政治情勢、社会情勢の中で自らのアイデンティティを失った男たちの物語なんですね。そして、その時代背景にぴったり合う「素材」として金大中事件が扱われただけなのです。
それはそれで「フィクション」としては面白いんですが、やはりその時代の「空気」をリアルに体感したことの無い僕にはピンと来ないのです。
主人公・富田 (佐藤浩市さん) と KCIA の金車雲 (キム・ガプスさん) の 2人の置かれている閉塞状況には理屈として共感しうる要素はあるんですけど、彼らの行動原理を心情的に理解することができなかったのです。
また、ストーリー自体も、事件の謎については少々中途半端な描かれ方になっていて、観終わってスッキリすることはありませんでした。特に、辻褄が合わなかったり、不自然なところがあったり、いろいろと気になることばかりで、物語に入り込めなかったのも残念。
他にも、主人公と韓国人女性との恋愛部分は必要性が不明でかなり違和感がありましたし、布袋寅泰さんの音楽は悪くはないんですけど、分かりやす過ぎて、この映画のシリアスでリアルな世界観と微妙にかみ合っていないのも気になりましたし…。
それでも純粋にエンタテインメント作品として観れば、日韓を代表する「渋い」役者さんたちの競演は、それだけでも充分に見応えはありました。
日本からは、主演の佐藤浩市さんを始め、原田芳雄さん、香川照之さん、光石研さん、韓国からは、キム・ガプスさん、チェ・イルファさん、キム・ビョンセさんといった僕好みのめちゃめちゃ渋い役者さんたちが一挙に観られただけでかなり満足 (^^)v
→ 韓国俳優DATABASE「キム・ガプス」
→ 韓国俳優DATABASE「チェ・イルファ」
→ 韓国俳優DATABASE「キム・ビョンセ」
そしてもう 1人、お気に入りの役者さんが (^o^)
「太王四神記」('07) のチュムチ役で一躍人気者になったパク・ソンウンさんが KCIA のエージェントの 1人として出演していました (^^)v
→ 韓国俳優DATABASE「パク・ソンウン」
もともと顔立ちが地味なので諜報員にはピッタリなんですけど、あまりに地味過ぎて、なかなか本人とは気がつきませんでした(爆)