「嫌われ松子の一生」('06) | Marc のぷーたろー日記

「嫌われ松子の一生」('06)

嫌われ松子の一生 通常版
¥2,660
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山田宗樹さんのミステリー小説を大胆に「ミュージカル」としてアレンジし、中谷美紀さん主演で映画化した作品です。共演は瑛太さん、伊勢谷友介さん他。



とにかくビックリ (@o@)


'40年代から '50年代のハリウッドの大作ミュージカル映画を思わせる、目にまぶしいほどの鮮明な色使いで繰り広げられるファンタジーのような映像。

しかし実際に描かれる物語は、究極のどん底人生を生きた女性の不幸物語。

このギャップが凄まじい (^^;;;

コミカルな演技や演出で笑えるところも多いのですが、ベースが悲劇なので笑うに笑えないという微妙な雰囲気 (^^;;;


でもこういった「悲劇」をミュージカルで表現するというのは舞台劇では珍しくないですが、最近の映画では「ダンサー・イン・ザ・ダーク」('00) くらいしか思いつきませんし、少なくとも日本ではほとんどないと思います。

そんなこともあって、かなり「新鮮」な感じがしました。

主人公・松子の悲惨過ぎる人生をそのままリアルに描いても良かったんでしょうが、それではただただ陰鬱な空気が充満するだけで、映画というエンタテインメントとしては成立しないかったかもしれません。そう考えれば、こういう「非現実的」な明るい映像で描いて、多少なりとも「救い」のある感じを出すというのは 1つのアイデアとしては面白いですよね。


はじめのうちは、そういった映像としての「奇抜さ」に目が奪われてしまいましたが、その独特の世界観に慣れてくると、次に目を惹いたのは、この映画で数々の賞を受賞した主演の中谷美紀さんの演技。

彼女はとても美しいのですが、幸の薄い感じがあるので、それだけでもこの物語の主人公にはピッタリ。しかも究極の汚れ役とも言える役を完全に自分のものとして演じていて、さすがと思わせるものがありました。

他にも主人公にかかわる男たちのキャスティングもなかなか興味深いものがありました。谷原章介さん、宮藤官九郎さん、劇団ひとりさん、武田真治さん、荒川良々さんといった顔ぶれは、かなりバラエティに富んでますよね。

また、劇中劇のような形で挿入されるサスペンスドラマにさりげなく片平なぎささんと本田博太郎さんが出演しているのは「笑いどころ」(^^)

でもそんな中で、やはり目を惹いたのは主人公の弟役の香川照之さん。

どー考えても中谷美紀さんの弟には (実年齢から言って) 見えないのですが、雰囲気でちゃんと「弟」に見せてるんです。こちらも流石だなぁと。


とにかく、この映画は「悲劇」+「ミュージカル」という組み合わせに違和感を感じない人でないと、ちょっと辛いかもしれません。かなり観る人を選ぶ映画だと思いますが、違和感を感じない人であれば、絢爛豪華で華やかに見える映像から垣間見える 1人の女の愚か過ぎる悲惨な人生に「もののあはれ」を感じることでしょう (^^)

僕も確かに観終わった後には「しみじみ」と心に残るものがありましたが、それでも主人公があまりに愚か過ぎて「同情」は全くできませんでした (^^;;;