「クワイエットルームにようこそ」('07) | Marc のぷーたろー日記

「クワイエットルームにようこそ」('07)

クワイエットルームにようこそ 特別版 (初回限定生産2枚組)
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芥川賞候補にもなった、「大人計画」主宰の松尾スズキさんの同名小説を、松尾さん自らの脚本・監督で映画化したコミカルなタッチで描かれた人間ドラマです。主演は内田有紀さん、共演は宮藤官九郎さん、蒼井優さん、りょうさん、妻夫木聡さん、大竹しのぶさん他。


観る前は、無駄に豪華なキャスティングだなぁという印象しかなかったのですが、これがなかなか「良い映画」でした (^^)v

ただ、主人公のキャラクターが、理解はできますし、松尾さんが描きたかったことも分かるのですが、どうしても好きになれない、共感できないキャラクターだったので、彼女の再生する姿に「感動する」ことができなかったんです。


この映画で僕が「良い」と思えたのは、やはり豪華脇役陣。

最大の収穫は宮藤官九郎さんでした。

作家・脚本家としての宮藤さんはともかく、役者としては単なる「個性派俳優」というイメージしかなく、役者として特に魅力を感じたことはなかったのです。でもこの映画での鉄雄役にはビックリしました。

前半はいかにも宮藤さんが演じそうなキャラクターで新鮮味も何もなく、「またか…」としか感じませんでしたが、終盤になって主人公が入院するきっかけとなった事件の真相が明らかになるくだりからの宮藤さんがとてもいい!!

こんなにも繊細な内面描写を的確に演じられる役者だとは思ってもみなかったので、かなりの衝撃でした。


他には、ミキ役の蒼井優ちゃんがいつもながらスゴい。何がスゴいって、拒食症患者を演じるためでしょうが、小枝のようにガリガリに痩せ、強く触れば折れてしまいそうなくらいなんです。しかも独特のメイクと髪型で、不気味で謎めいたキャラクターを演じ切っていて、こちらもかなりインパクトがありました。


更に、野卑で下品な西野を演じた大竹しのぶさんは流石の貫禄ですし、ロボットのように冷たい看護士・江口を演じたりょうさんはイメージもピッタリ。出番は決して多くはないですが、2人の存在感はバッチリ。

一方、コモノ役は、妻夫木聡くんが演じる必要性はほとんどないキャラクターでしたが、眉毛をゲジゲジにして横一本に繋げるという意味不明のメイクといい、常時ハイテンションな演技といい、本来ならば阿部サダヲさんあたりが演じた方がハマりそうな役を、敢えて爽やかイケメンの妻夫木くんが演じたというのは面白いし、悪くはなかったです (^^)


こんな感じで、豪華脇役陣の演技を楽しむには充分な出来の作品でした (^^)v