「実録・小野田少尉 遅すぎた帰還」('05) | Marc のぷーたろー日記

「実録・小野田少尉 遅すぎた帰還」('05)

2005年8月に戦後60周年記念ドラマとして、小野田寛郎さんの半生を描いたドラマです。主演は中村獅童さん、共演は西島秀俊さん、柳葉敏郎さん、堺雅人さん他。

フジテレビ CS「実録・小野田少尉 遅すぎた帰還」
Wikipedia「小野田寛郎」

小野田さんが帰国された昭和49年のことは未だに鮮明に覚えています。終戦から30年近く、ジャングルの中で戦い続けて来た人、というのは子供心にも衝撃的でした。

しかし特に強い関心があったわけではないので、その後の小野田さんについては、ブラジルに渡ったということくらいしか頭の中にはありませんでした。

それでもうっすらと疑問に思っていたこともあったのです。

何故、自決せずに 30年近くも生きて戦い続けて来たのか? 本当に終戦を知らなかったのか? そして何故最終的に終戦を納得し、帰国したのか? といった点にすっきりしないものを感じていたのです。これは完璧に戦後日本人の価値観で理解しようとしていたからかもしれません。

それらの僕の疑問に答えてくれたのが、小野田さん本人の監修のもとに作られたこのドラマでした。

全ては小野田さんが、ただ戦うだけの軍人ではなく、情報収集や諜報活動を主目的とした軍人だったからなんですね…。そのための特殊な訓練を受けた上で戦地に赴き、上官の中止命令がない限り、任務を遂行し続ける…。上官の命令以外は信じない…。

とにかく、その意志の強さが凄まじ過ぎて、ドラマを観ていて、感情移入するとか、感動するとか、そんな甘っちょろい感情は全くわかなかったんです。あまりに「超人」過ぎて。

だからこそ、帰国後の記者会見の場で、はじめて我々普通の人間と変わらない面を見せるシーンが胸に迫るんです…。


それにしても、やはり中村獅童さんの演技は素晴らしいです。小野田さん本人には全く似ていませんが、本当に戦時中を生きて来た人のような雰囲気。小野田さん本人から演技指導を受けたそうですが、それも納得のリアリティがありました。