「六番目の小夜子」('00) | Marc のぷーたろー日記

「六番目の小夜子」('00)

六番目の小夜子 第一集
¥4,700
Amazon.co.jp

恩田陸さんの小説を鈴木杏さんと栗山千明さんの主演でドラマ化した学園ミステリードラマです。共演は山田孝之さん、村田雄浩さん他。

放送当時 (2000年4月~6月) から人気があり、しかも作品としての評価も高く、何度も再放送されたこともあって、観たいとずっと思っていたのですが、機会がないまま今に至っていたのです。

そんな期待充分の状態で、ようやく観ることができました (^^)v

Wikipedia「六番目の小夜子」


まず一言。






♪ドーミノドミナス♪



coba さんによる音楽が印象的で、特にこのフレーズが耳について離れません (^^;;;

それはともかく(爆)、このドラマは、非常に良くできた、大人も楽しめる「ジュブナイル」作品です。

細かいことを言えば、いろいろと突っ込みどころはあるのですが、中学生がハマりがちな「オカルト」をベースにしたミステリー・サスペンスに、友情や親との関係の悩みといった青春ドラマの要素をほどよく絡めた、エンタテインメント性の高い良質の娯楽作品です。また青春を扱いながらも恋愛要素が全くないのも新鮮です。

そしてこのドラマの見所の 1つは、今をときめく若手俳優たちの「幼い」ころの姿。ざっとこんな↓顔ぶれ。参考までに撮影当時 (2000年1月~3月) の年齢も書き添えてみました。

鈴木杏 12歳
栗山千明 15歳
山田孝之 16歳
松本まりか 15歳
伊藤隆大 12歳
勝地涼 13歳

鈴木杏ちゃん、栗山千明ちゃん、伊藤隆大くんの 3人は当時既に充分な経験のある子だっただけにとてもうまい。特に、鈴木杏ちゃんの屈託のない天真爛漫な明るさと、栗山千明ちゃんの凄みのあるミステリアスな雰囲気は、それぞれの役にピッタリ、というよりも完全にこの 2人を前提に脚本が書かれているとしか思えないハマりぶり。2人のコントラストも抜群で、このドラマの成功はこの 2人を配した時点で決まっていたと言っても過言ではないでしょう。

そして山田孝之くん。前年の「サイコメトラーEIJI 2」の端役でデビューし、2作目にしての準主役。はじめのうちこそセリフ回しにぎこちなさはあったものの、回を追うごとに見る見る上達していく様は素人目にも観ていて楽しいものがありました。そして終盤には、山田くんより年下とは言え充分なキャリアのある鈴木杏ちゃんや栗山千明ちゃんを相手に引けを取らない演技を見せており、「やはり天才は飲み込みが早い」ということをまざまざと見せつけられた思いがしました。

また、「俳優・山田孝之」の魅力の 1つである「無言の芝居のうまさ」をこのドラマでも見せていたのには感心しました。セリフ回しは「テクニック」なので、経験を積めばうまくなるものですが、セリフのない芝居は「天賦の才」がなければできませんから。

NHK「六番目の小夜子~山田孝之から皆さんへ」

また弟役の勝地涼くんとの共演というのもいい。兄弟にしては弟役の勝地涼くんの方が身長が高いとか、ソース顔と醤油顔の兄弟はありえないとか突っ込みどころはありますが、2人が共通して持っている「憂いのある繊細な雰囲気」が活かされた役というのがいい。

両親の離婚により、父親と母親に別々に引き取られ、兄弟でありながら、名字も違えば住むところも違うというという微妙な兄弟関係、そして両親に対する屈折した想いを 2人が繊細に演じていて、2人とも当時はまだ新人にもかかわらず、とてもいい演技をしているのです。2人が今、若手演技派俳優として高く評価されているのも当然ということがよく分かります。

一方、松本まりかちゃんも当時は全くの新人だったのですが、とてもそうは思えない堂々たる演技で、テクニックとしてのセリフ回しは驚くほどうまい。このドラマの後、声優としても活躍しているというのも納得のテクニックです。また、ルックスもクセのない可愛らしさで好感度は高いです。ただ、若干芝居が大き過ぎたのが残念。物語前半の「友人A」のようなキャラクターのうちは、むしろそのオーバーアクションがメリハリを生んでいて良かったのですが、終盤にかけてキャラクターが膨らんで大きくなっていくうちに、その大きな芝居が他のメインキャストの演技から浮いてしまっていたのです。このあたりの演技の緩急がうまい具合にできるようになれば完璧なのでしょうが、それはベテランの俳優でも出来ない人の方が多いくらいですから、新人としては充分過ぎるほどの出来だったと思います。

このように、年齢から言えば「子役」とも言える若手俳優たちの素晴らしい演技もこのドラマが高く評価されている理由と言えると思います。

また、この若手たちを村田雄浩さんをはじめ、古尾谷雅人さん、多岐川裕美さん、冨士眞奈美さん、美保純さんといったベテランが脇で支えることで、全体としてとてもバランスの良い安定感を保っている点も素晴らしいです。


繰り返しになりますが、このドラマは子供から大人まで安心して楽しめる良質の娯楽作品です。

是非、親子でお楽しみいただきたい傑作ドラマです (^^)