「H2 ~君といた日々」('05) | Marc のぷーたろー日記

「H2 ~君といた日々」('05)

H2 ~君といた日々 DVD-BOX
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あだち充さん原作の人気野球漫画「H2」を山田孝之さん、石原さとみさん主演でドラマ化した作品です。共演は田中幸太朗さん、市川由衣さん、石垣佑磨さん、中尾明慶さん、的場浩司さん他。

TBS「H2~君といた日々」公式サイト

放送当時、山田くんの主演で堤幸彦監督という「世界の中心で、愛をさけぶ」('04) と同じコンビの作品ということで話題になり、ちょっと興味はあったのですが、そのころは韓国ドラマにはまっていたことと、「今さらあだち充?」という気持ちがあってほとんど観ていなかったのです。

もちろん 10代のころは、あだち充さんのマンガが大好きで、映像化もされた「ナイン」「陽あたり良好!」「みゆき」「タッチ」は当然読んでいます。でも「あだち充マンガ」の世界って 1980年代のイメージがあるので、それを 21世紀になってドラマ化するってことに違和感があったんです。

それにあだち充マンガの特徴である色調の淡い雰囲気に山田くんの濃いルックスが合うとも思えなかったし、石原さとみちゃんと市川由衣ちゃんにも興味がなかったし…。

そんなわけで、本放送時はほとんど観ず、たまたまチャンネルが合ったときにちらっと観る程度。そのときの印象は、あだち充マンガ独特のシリアスとコメディの混じり具合は巧く再現できてるかも、というものだけで特に続けて観たいという気持ちにはなりませんでした。

因みに「H2」が連載されていたとき (1992年~1999年)は、既にマンガを読む習慣がなくなっていたので、原作は全く読んでいません。とは言うものの、あだち充さんのマンガって、登場人物の基本設定さえ読めば、ストーリーの 8割方分かっちゃうんで、「H2」についてもストーリーは大体分かっていましたけど (^^)

ということで今でもあまり興味はなかったのですが、たまたまスカパー! TBS チャンネルで集中放送があったので、せっかくの機会と思い、観てみました。

実際にちゃんと観て感じたことは「思ったよりはずっと良かったけど時間が短過ぎ」ということ。

やはり全34巻にもおよぶ長編、しかも主人公たちの高校生活の 3年間を描くには全11話はあまりに短過ぎ、原作を知らなくてもダイジェストや総集編を観ているような気分でした。また、登場人物の心の動きについても、理解はできますが、描写が不充分なために心に響いてこないのです。更に、真夏のシーンなのに、吐く息が白かったり、陽射しや木々が完璧に「冬」だったり、真冬の撮影で大変だったろうなとは思いつつも違和感があったことは事実。

それにプロデューサが製作発表記者会見で明言しているように、2004年の「セカチュー」ブームを受けて、あくまで「純愛ドラマ」として作られたために、野球のシーンがかなり手抜きになっていたのも残念。山田くんも田中幸太朗くんも野球経験ゼロだったそうなので仕方ないですが、多用された CG もちゃちく、全体に安っぽくなってしまっていました。

とは言え、山田くんと田中くんは意外に違和感なく観ることができました。山田くん扮する主人公・比呂はもうちょっとはじけた感じがあっても良かったかなぁと思いますが、ちょっとクールで飄々とした掴みどころのない感じがよく出ていましたし、また田中くんも (ちょっと軽い感じはあったものの) 英雄の正統派二枚目キャラは結構サマになっていました。

一方の石原さとみちゃんと市川由衣ちゃんは初めのうちは演技が固くて違和感がありましたし、特に石原さとみちゃん扮する春華のドジキャラが過剰過ぎてドン引き。でも 2人とも、徐々になじんでいって、終盤はなかなか良かったと思います。特に終盤の市川由衣ちゃんの上達ぶりはグッド!

ところでこのドラマを観ていて感じたのは、メインの登場人物 4人の関係が、比較的定番ではあるのですが、韓国ドラマ「ウェディング」('05) と全く同じだということ。ちょっと比較してみました。


主人公 (比呂、スンウ)
クールであまり感情を表に出さないので何を考えているのか周りからは分かりにくい。あまり欲がない。幼いころから姉弟のように過ごして来た幼なじみの女性が初恋の相手だが、彼女には恋人がおり、その恋人は親友。親友が彼女と付き合うきっかけを与えたのは主人公本人。一方、自分にまっすぐに好意を寄せるヒロインの気持ちを受け入れるが、幼なじみへの想いを断ち切れず…。
堅物のスンウとむっつりスケベの比呂という違いはありますが (^^)
ヒロイン (春華、セナ)
ちょっと世間からずれている無邪気なお嬢様。兄がいる。主人公に一目惚れして積極的にアプローチ。念願かなってカップルにはなるが、主人公の幼なじみの存在に常に胸を痛める。

幼なじみの女 (ひかり、ユンス)
しっかり者で自分の本当の感情を抑えがち。主人公に想いがあるにもかかわらず、その親友である男と付き合っている。二人の男の間で揺れ動く。

その恋人 (英雄、ジニ)
主人公の親友。典型的二枚目キャラ。モテる。恋人との関係は傍目には安定しているように見えるが、恋人の心の中にいる主人公の存在に常に不安を感じている。


う~ん、改めて書いてみると全く一緒だ (^^;;;

もちろん「H2」は高校生なので「淡い」感じが微笑ましいですけどね (^^)

韓国ドラマ「ウェディング」感想
Wikipedia「H2の登場人物」

実際にドラマ「H2」を観ていて少し違和感を感じたのは、ラブストーリーとして作られているからなんでしょうが、物語が比呂と春華を中心に描かれていること。「あだち充的世界観」からすると、この物語については、姉弟のように育った比呂とひかりが互いの想いに気づきつつも、それぞれが別々の道 (相手、進路) を選んでいく成長の物語とした方が良かったような気がするんですよね。比呂とひかりはお互いに相手にとっての「幼少期の象徴」であり、その象徴と決別することで大人になっていく物語として。聞くところによると、原作はそんな感じなんだそうですけど。

そしてドラマ版の比呂を観て感じたのは、これって「山田くんっぽい?」ということ。自分の好きなことにはとことん熱く、とことんこだわるのに、それ以外のことにはクールでテンション低め、しかもちょっとユルユル。明るすぎず、暗すぎず、どこか掴みどころのない感じは山田くんそのものって感じ。

そう思ったら、やはり山田くん本人もそう思っているらしい (^^)

山田孝之くんインタビュー

ところで、山田くん本人も自分に近いという「比呂」ですが、共演の石垣佑磨くんは「比呂は僕から見ると現実味の無いキャラ」と言っているのが面白い。ってことは石垣にとって山田くんは現実味がないんでしょうか (^^)

石垣佑磨くんインタビュー


このドラマは、視聴率があまり良くなかったようですが、あだち充マンガ特有の「ちょっとゆるい空気感」はかなり再現されていると思いますし、脇役が充実しているので、結構楽しめるんじゃないかと思います。脇役では特に的場浩司さんが面白かったなぁ (^^)

それに画面の後ろの方で繰り広げられる小ネタも面白いし、比呂の母親役の石野真子さんがカラオケシーンで本人の持ち歌「狼なんか怖くない」「ワンダーブギ」を熱唱するシーンは、オジさん世代にはかなりウケます (^^)

ということで、駆け足な展開で描き込み不足が否めないドラマではありますが、「悪くないドラマ」だと思います (^^)v

それに、


若いって、えぇなぁ~

青春って、えぇなぁ~


とオジさんはちょっとうるうる (ToT)

K さんによる主題歌「over...」もなかなか良かったし (^^)v
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