「ハッピーエンド」('99) | Marc のぷーたろー日記

「ハッピーエンド」('99)

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ハッピーエンド 特別版

チェ・ミンシクさん、チョン・ドヨンさん、チュ・ジンモさん主演の官能的なラブサスペンスで、1968年生まれの若手監督チョン・ジウさんの初の長編作品でもあります。

チョン・ドヨンさんの全裸ヌードやチュ・ジンモさんとの激しいベッドシーンなどが話題になって大ヒットしただけでなく、主演の 3人が様々な賞を受賞するなど作品としての評価も高い作品です。

実はあまり期待していませんでした (^^;;;

エロティックなシーンばかりが取り上げられていたせいもありますし、実際に観始めてみると、いきなりチョン・ドヨンさんとチュ・ジンモさんの濃厚で生々しいベッドシーンから始まるし (^^;;;

ところがチェ・ミンシクさんが登場してから、ぐぐっと画面に釘付けになりました。

あくの強い役の多い、チェ・ミンシクさんの冴えないんだけれど、どこか幸せそうな「主夫」姿が新鮮。このまま淡々と、しかし独特の緊張感のある心理劇として進むのかと思いきや、意外な展開に。ここでようやくチェ・ミンシクさんが平凡な夫役を演じている理由が分かるんですが、このあたりの演技の切り替えの見事さには、感服するばかり。改めてチェ・ミンシクさんの演技力を見せ付けられたという気分です。

不貞を働く妻を演じたチョン・ドヨンさんの大胆な演技も見事なんですが、チュ・ジンモさんはちょっと影が薄かったかな…。

もちろん、ベッドの上ではセクシーな色男だけれど服を着るともっさりした冴えない男に見えるという演じ分けは巧みで、一目で「身体だけの男」というのが分かるところは、チュ・ジンモさんの上手さを感じました。

この映画にはモノローグもなく、音楽も極端に少ないため、主人公たち 3人の内面については、観る側が想像するしかないのですが、そもそも作り手側は、3人 (のいずれか) に共感してもらおうとか、論理的に理解してもらおうとかいうことは期待していないように感じました。確かに 3人の内面は理解するのではなく、「感じる」ものなのかな、と思います。

そしてタイトルの「ハッピーエンド」が意味するものは何なのか…。

後味の悪さも強いですが、それ以上に何が「ハッピー」だったのかと、いろいろと考えさせられる映画でした。

因みに僕は、あのラストシーンはミンギ (チェ・ミンシクさん) にとっての「小さな幸せ」を意味しているのかなぁと思います。どんな残酷で非日常的な出来事が起こっても、「平凡な日常」は淡々と繰り返される…。その「幸せ」を示しているのかな、と。
細かいことですが、ミンギが観ているテレビドラマにキム・ヘスさんとペ・ヨンジュンさんが出ていました。このドラマは「愛の群像」?
脇役好きとして気が付いたのは、

「ラブレター」('03) のウジン (チ・ジニさん) の父など数々のドラマでおなじみのチュ・ヒョンさんが古本屋の主人を演じています。

また、「復活」('05) でキョン・ギド (イ・デヨンさん) の妻を演じたファン・ミソンさんが、ミンギの近所に住んでいる学生時代の友人役で、更に「ファッション70's」('05) でパタンナーのパン先生を演じたキム・ビョンチュンさんが刑事役で出演しています (^^)