「うつせみ」('04) | Marc のぷーたろー日記

「うつせみ」('04)

ハピネット・ピクチャーズ
うつせみ

キム・ギドク監督が第61回ヴェネチア国際映画祭監督賞を受賞した、ジェヒさん、イ・スンヨンさん主演のシュールなラブストーリー(?)です。
因みに、「快傑春香」('05) でおなじみのジェヒさんが芸名を「ジェヒ」と改めたのはこの作品からだそうです。
この作品については賞を取ったことで以前から話題になっていましたし、ジェヒ君扮する主人公に一切セリフがないなど、予備知識があまりにありすぎたこともあって、観ても楽しめないんじゃないかと思っていました。それにシュールすぎて理解不能なんじゃないかとも…。

ところが、これが意外に面白かった!!

もちろん誰もが楽しめるような大衆ウケする映画では決してありませんが、緻密に計算された画面構成の見事さと抑えた淡い色彩の美しさで、「動く写真集」のような印象を受けました。また、そのおかげで現実離れしたストーリーがファンタジーとして観る側に映り、そのために「夢か現か」というこの作品のテーマ(?)が比較的分かりやすく表現されていると感じました。

つまり、セリフが極端に少ないことから一見分かりづらく見えますが、美しい「ファンタジー」ラブストーリーだと思えば、意外に分かりやすいシンプルな作品なのです。

万人にお勧めはしませんが、さほど難解な映画ではありませんし、何と言っても主演のジェヒ君の目だけで表現する演技力の見事さを観るだけでも一見の価値があります (^^)v

そしてこの作品で、もう 1点僕が評価しているのは日本語のタイトルとして「うつせみ」とつけられている点。原題は「빈집 (空き家)」で、これはこれで作品に合っているタイトルなのですが、僕はむしろ日本語の「うつせみ」の方がより的確にこの作品世界を表現していると思います (^^)v