「フラガール」('06) | Marc のぷーたろー日記

「フラガール」('06)

ハピネット・ピクチャーズ
フラガールスタンダード・エディション

昨年公開された日本映画で、数々の賞を受賞した傑作です。出演は、松雪泰子さん、豊川悦司さん、蒼井優さん、岸辺一徳さん、富司純子さんなどです。

Wikipedia「フラガール」

昭和40年の福島県いわき市を舞台に、廃れ行く炭鉱の町を救うための町おこし事業「常磐ハワイアンセンター」(現: スパリゾートハワイアンズ) の誕生にまつわる実話をもとにしたストーリーです。

この映画は、公開当時はさほど大きく取り上げられることもなく、かなり地味な印象があったのですが、口コミ (ブログを含む) で評判が伝わり、結果的に観客動員 100万人を超える大ヒット。最終的には各映画賞を総なめし、2006年の邦画最高傑作という評価を得るに至りました。

僕は、大好きな俳優・高橋克実さんが出演しているということで公開前からこの作品のことは知っていましたが、そのときも「地味な映画」という印象しかなく、強いこだわりもなかったので結局見逃していたくらいです (^^;;;

その後数々の賞を受賞したことで逆に先入観に縛られて楽しめないのではないかと思ったのですが、実際に観た感想は、





泣きました (ToT)


正直に言うと、ストーリー自体は極めてシンプル且つオーソドックス。特に目新しいところもない作品で、泣かせどころもかなりベタ。ですので、数々の賞を受賞するような「傑作」という感じでは全然ないんです。

それでも昭和40年という時代の空気を感じさせる淡いセピア色の映像と穏やかに展開するストーリーで、ジーンと沁みる感じが心地よく、この映画に対しては「傑作」という評価よりも、映画としてのまとまりや完成度が高い「佳作」と言ったほうが適切のような気がします。

無駄をそぎ落としたすっきりと分かりやすいストーリー展開と奇をてらわない抑えた演出の巧みさから、熟練のベテラン監督の作品のような印象を受けますが、李相日監督はなんと 1974年生まれ!! こんな若い監督がこういう映画を撮ったということにも驚きを感じます。

そしてこの映画で注目すべきは、製作である李鳳宇氏も李相日監督も在日の方であること。この映画は 40年前の日本を描いているのですが、観ていると何となく韓国映画を観ているような感覚があるのです。親子、兄弟、友人、仲間といった人間関係が今よりもずっと濃密だった時代の日本を、もしかすると今の日本人には描けないのかも知れない、そんなことを感じたりもしました。きっと僕を含めて韓国エンタメ好きが韓国エンタメが好きな理由がここにもあるのかも知れません。きっと韓国エンタメ好きであれば、この映画はかなり楽しめるんじゃないかと思います (^^)v


さて最後にこの映画の出演者で注目した人たちを紹介します。

平山まどか役の松雪泰子さん
これ以上ないほどの「はまり役」。怒りに任せて男湯に殴りこみ、全裸の男 (高橋克実さん) にプロレス技を仕掛けるシーンが強烈 (^^;;; また彼女のフラシーンは圧巻です (^^)v

谷川紀美子役の蒼井優さん
まさに絵に描いたような「田舎娘」がフラとの出会いで美しい女性に変わっていく様が素晴らしい。最後のフラシーンは必見です (^^)v

熊野小百合役の山崎静代さん (南海キャンディーズ・しずちゃん)
演技はお世辞にも上手いとは言えませんが、味のある演技で個性派女優としての可能性を強く感じさせました。

谷川千代 (紀美子の母) 役の富司純子さん
「炭鉱町のおかあちゃん」役にしては綺麗過ぎるだろうと思ったのですが、さすがベテラン女優。ノーメークも凄まじいですが、身体全体からにじみ出る「疲れ切った」空気感で炭鉱に生涯を捧げてきた女の姿を見事に表現していたと思います。

木村清二 (早苗の父) 役の高橋克実さん
正直言って「ゲスト出演」と言ったほうが適切なくらい出番はわずか (エンドクレジットは大きかったんですけど)。それでもかなりインパクトはありました。温厚な役が多い高橋さんですが、この映画で演じたのは荒くれの炭鉱夫で娘・早苗 (徳永えりさん) に暴力を振るうような男。最低な男ですが、銭湯で思いっきりくつろいでいるところをまどか (松雪泰子さん) に襲われて全裸で慌てふためく姿はかなり笑えました (^^)