「パッチギ!」('05) | Marc のぷーたろー日記

「パッチギ!」('05)

ハピネット・ピクチャーズ
パッチギ ! スタンダード・エディション

1968年の京都を舞台に日本人の高校生の少年・松山康介 (塩谷瞬さん) と朝鮮学校の少女イ・キョンジャ (沢尻エリカさん) の恋を中心に、当時の若者の青春を描いた井筒和幸監督作品です。公開時は興行的に成功しなかった いわゆる「大ヒット」までは行かなかった (2007-01-06 修正) ようですが、国内で数々の賞を受賞したことで大きな注目を浴び、昨年は韓国でも上映された作品です。

評論家筋のウケは非常に良かったようですが、感想を一言で言えば、僕には合いませんでした。井筒監督らしい激しい暴力描写が僕にはどうしても合わなかったようです。それに在日朝鮮人の差別問題にしても、描き方が表面的であまり胸に迫らず、そのために主人公の康介の終盤での葛藤や苦悩が実感として伝わらなかったのです。そのために最後の「イムジン河」の熱唱も本来なら感動的なシーンのはずなのに、イマイチ乗れず…。もう少し暴力シーンを減らして、その分、もっと繊細な描写や在日の方たちの苦悩を描いても良かったのではないかと思います。とにかく暴力シーンが必要以上に多過ぎました。

ただ、1968年という時代の空気感は非常に良く出ていたと思います。ファッションから映像の雰囲気まで、本当に 1968年当時に作られた映画なんじゃないかと思えるようなノスタルジックな雰囲気は注目に値すると思います。

また、出演した俳優たちの演技も良かったと思います。メインの若手をベテランが脇でしっかり締めるスタイルが活きていました。特に印象的だったのはヒロイン・キョンジャの兄アンソン役の高岡蒼佑さん。かなり凶暴な男の役ですが、役そのものになり切っていましたね (^^)v それから最近ドラマでよく見かける小出恵介君が康介の友人・吉田役で出ていましたが、かなり軽い男の役でこれもハマっていました (^^) それにスケバン (死語!!) のガンジャ役の真木よう子さんのナース姿でのとび蹴りも強烈だった (^^;;;

他にも、出番は少なかったですが、康介の母役で余貴美子さん、キョンジャの母役でキムラ緑子さん、アンソンの友人の父役で前田吟さん、ラジオのディレクター役で大友康平さんなど脇がかなり充実していました。
ただ沢尻エリカさんや高岡蒼佑さんの朝鮮語はちょっと違和感を感じました。セリフの大半が日本語と朝鮮語のちゃんぽんなのですが、いかにも日本語なまりという感じがしたのです。でもネイティブの人が聞いたらどう聞こえるんでしょう? 在日の方の発音はああいう感じなんでしょうか?

AA さんのコメント によると、あの発音は在日の方の発音なのだそうです (2007-01-06 追記)

恐らく娯楽映画としてはよくできているのだと思いますが、とにかく暴力シーンが多過ぎて僕は観ていて辛かった…。当時の京都はそんなに危険な街だったのか思ってしまうほど…。でもそんな映画全体の雰囲気に反して康介とキョンジャの恋はとても爽やかに描かれていて、後味は悪くなかったと思います (^^)

暴力シーンが耐えられる人であれば、かなり「いい映画」なんじゃないかと思います (^o^)