アナベルの会
トップページ、開催案内、活動レポート、リンクがあります。
相模原市の団体が無料で開設できる、さがみはら地域ポータルサイトを利用しました。
1.はじめに
復職や就労に際し、当事者・企業・社会のあるべき姿を、当事者・医療/福祉関係者等から集めた意見も参考に述べる。
2.私の体験
(1)病歴
現在56歳。25才で長時間残業が半年続き発症、うつ病と診断。35才頃軽快。45才で、担当した8か月の情報システムプロジェクト完了後に無気力状態となり再発。以後低空飛行のまま、諸事情あり50才で希望退職。
3か月後にアルバイトを始め、週3日から日数を増やしたが、再度プロジェクトのストレスから症状が悪化、混乱状態と強い不安感が消えず閉鎖病棟に入院。発症から26年後に初めて双極性障害と診断。
退院後も躁うつの波は大きく、ハイの時は毎日カラオケに通い、うつになると昼夜寝込んだが、次第に波も落ち着き、再就労を目指し後述する諸準備をしつつ今日に至る。
仕事を頑張り過ぎ、ストレスがあるレベルを超えるとダウンすることを頭では理解していても、自分がまさにその状態にいることに全く気づかず、自己コントロール出来なかったことが再発の原因と思う。教訓でもあり、人生の分岐点だったかも知れない。
(2)再就労を目的とした現在の状況と今後の予定
治療:受診・服薬・カウンセリングに加え、精神科デイケアに通い始めた。
その他:ホームヘルパーやFPの資格取得・福祉や科学のボランティア・当事者向けスポーツ教室・趣味のサークル等を通じた、コミュニケーション力向上・通勤訓練・リラックス方法習得。
当事者会・ネットコミュニティ・Twitterでの、当事者・医療/福祉関係者との交流・情報交換。
直近では障害者地域活動推進センターでピアサポートの基礎を学び、今後はSSTや就労ミーティング、デイケアで始まる就労支援プログラムにも参加予定。相性があるので、支援方法は画一的でない個別対応を希望。
3.あるべき姿
家族など周囲の方を含めた当事者・企業・社会に必要な行動を述べる。
(1)当事者
a.働くことは手段なので、当事者はまず、何故働きたいのかを明確にする。例:生きる為・自分や家族の幸せ・人の役に立ち生きがいを感じる・社会を変えたい、など。
b.障害を受け入れた上で、弱点克服ではなく、自分の強みは何か、何ができるかを考える。病気だからと他人に甘え過ぎず、逆に自分を責め過ぎず。もちろん全面的に助けを求めるべきケースもある。
c.特に双極性障害の場合、気分の変調を素早く察知し対処する方法を用意しておくこと。働き続ける為には、不調時の対応に重点を置き、自分の体調管理に万全を期すことが重要。職場や家庭でのストレス解消法を複数持つことも悪化防止に役立つ。
d.双極性障害に限らず、病気の症状や治療法、薬の効能や副作用への理解を深めることは大切だが、私の知る限り、利用可能な社会資源も含めほとんど知らず、主治医の言うままに服薬している当事者が少なくない。
日本うつ病学会の治療ガイドラインなども参考に主治医と薬の相談をしているが、情報がどこにあるのか分かりにくい実情もあり、これは提供する側の問題。自分で探す気力がない当事者もいる。もっと啓蒙や情報発信に力を入れて欲しい。
自立支援受給者証の存在さえ教えないドクターもいる。私自身、軽躁時に自分で調べてやっと辿り着いた。
e.診断書や紹介状の内容は自分自身のことなので知る権利がある。コピーを依頼するのもひとつの方法。法律が壁なら関係者と協力し変えれば良いだけ。完璧なルールは存在しない。
f.就労や治療を受ける際、リカバリーの五原則:希望・責任・学び・権利・サポート、を念頭に置くのも良い。
会場の当事者や医療・福祉関係者の皆さんはどう考えますか?
(2)企業
企業に対しては、病気をよく理解し、「精神障害は見えないし理解できないから恐る恐る採用してみる」という現状から脱却する為の知恵を絞って頂きたい。
是非逆の立場=障害者目線で考えてみて欲しい。働いて役に立ったり、必要とされていることを実感し、自立して喜びを得たいと思わない方はいますか?
当事者と企業双方のとるべき行動がかみ合えば、精神障害者の雇用率が他の障害に比べ極端に低い状況を動かせる。
障害者の雇用率が急上昇しているように見えるが、10年間で0.3%増に過ぎない。
先ほど、横浜市の人口の2%は精神障害者と聞いたが、就労人口が5割とすると、精神障害者の雇用率は0.1%。当事者が千載一遇のチャンスに出会わなければ働けない状況では社会生活が成り立たない。
働くことに限らず社会参加においても、共感して寄り添う姿勢が望まれる。社会から遠ざかると生きる力が奪われる。
精神に限らず全ての障害者を受け入れる為の、人材を含めた職場環境整備は、積極的に行って欲しい。
(3)社会
社会に対しては、3つ提言。
a.幼少期からの、健常児と障害児の教室や学校を分けない統合教育。共に学び、一緒に過ごすことで距離が縮まり、お互いに助け合う姿勢が生まれる。授業に福祉を取り入れることも有効。
b.脳の全容解明について、脳プロ・BRAIN INITIATIVE・HUMAN BRAIN PROJECTは別々に活動しているように見える。ISSと同様、全面的な国際協力で解明を加速、精神疾患の科学的予防・治療法の確立に繋げるようお願いする。
万が一、政治にコントロールされているのなら、最低でも対等の関係に戻るべき。政治に制御される研究は到底科学とは呼べない。
古くはマンハッタン計画、記憶に新しい英国BSE問題、そして3.11の原発事故で科学への信頼は失われ、日本学術会議でも今後の方向性を議論している。ディオパン問題をきっかけに医学もまた同様の議論をすべき。
脳の全容解明の中で不正が行われると、私たちは、税金で研究開発され、しかも効果のない薬を飲む、というダブルパンチを浴びる可能性を否定できない。
c.精神疾患の要因の一つとされるストレスを減らしていくにはどうすべきか。
人口が急増した戦後は経済成長も容易だったかも知れないが、今後日本は人口急減社会となる。価値観や、幸せとは何かを考え直し、成長から持続型経済へのパラダイムシフトを図る時期が来ている。
(4)その他
精神障害の「害」の字が議論になっているが、「精神」という言葉も、気の持ちよう、などの誤解を招く。ストレートに「脳疾患」と言う方が、より分かりやすいのでは?
「心理教育」という言葉も、「当事者や周囲の方が、病気の症状や治療法を理解すること」と考える一般の方がどの程度いるのか?この言葉も大変分かりにくい。
4.お終わりに
(1)私の考えるバリアフリー社会
やっとタイトルの「バリアフリー」が出てくるが、以下が私の今考えているバリアフリー社会。
・あらゆる障害の当事者に立ちはだかる社会的/心理的障壁のない社会。
・健常者と障害者を区別しない社会。
・障害者も当たり前の生活ができる社会。
・究極的には「バリアフリー」という言葉自体がない社会。
(2)バリアフリー社会の実現に向けた取り組み
自主上映会が各地で行われている映画『むかしmattoの町があった』や、『人生ここにあり』を観てご存知の方も多いと思うが、イタリアで1978年、通称バザーリア法と呼ばれる世界初の精神科病院廃絶法ができた。
自主上映会と、ジャーナリストの大熊一夫氏・精神科医の伊藤順一郎氏の対談をヒントに、相模原市の当事者・家族・福祉支援団体は、医療/福祉関係者や役所なども巻き込み、より生きやすい社会を目指すことを目的に、来年度から具体的方法を議論する場を設ける試みを検討し始めていることを紹介し、私の話を終わる。
・私の再発原因は無自覚なストレス過多→負荷抑制が必要。
・当事者は万全の体調管理を、企業は当事者の立場で。
・幼少期からの統合教育で一体感が生まれる。
・脳の全容解明は国際協力で。
・人口急減社会に対応し、価値観を見直し、幸せとは?を再考。
・生き辛さのない社会を目指す取り組みを始める。
会場の方にひとつでも持ち帰って考えて頂ければありがたい。
(読み原稿から不要な部分や表現を削除・変更しました)