初版で10万部と超強気なのは、前作『22世紀の民主主義』が売れたから。
私も前作が面白かったから、本作を手に取った。
データによる経済、アートークンでお金がなくなるという未来像は、哲学的でもあり、想像できる人とできない人がいるだろう。
私としては、そういった成田氏の描く”22世紀の資本主義像”そのものも興味深いが、その考えに至るまでに使ったデータやその分析が面白い。
これは『22世紀の民主主義』でもそうだった。
たとえばこの事実。
<ネットは今のところ産業革命と呼べるような変容を作り出せてい「ない」という事実だ。第一次・第二次産業革命の前後で経済的な生産性が誰の目にも明らかなほど伸びたことと比べ、IT・ウェブ産業が世界を食べたこの数十年は産業革命と呼ぶには程遠い>状態で、2004-2014年の平均年間成長率は0.4%で<ウェブが家庭や職場に浸透しても、人類の経済的生産性には何の爆発も起きていない>のだ。
また、お金がなくなるということに関して、<「1700年当時は750あった通貨のうち現存しているものは20%以下。そのすべての価値が落ちている」という(ちょっと怪しげな)説もある。お金の滅亡の一員もまた、経済活動を補足するデータが豊かになり、お金の必要性が下がる潮流かもしれない。>
こんな話を知れるだけでも得をした気分だし、その先の未来を妄想することは、現在の”資本主義”の課題を考える材料にもなる。