心理学博士の著者・榎本氏が受けた相談をもとに、その対処法を会話方式でまとめたもの。

 

新書というより、具体的な対処法として役立つだろう。

 

プロローグで書かれた、この大前提の理解が必要だ。

 

<人はだれでも理屈を理解すると思っている。つまり論理的に物事を考えることを前提としているが、それは違う。(略)何か誤解しているというより、論理能力が鍛えられていないため、こっちの言う理屈を理解できないのだ。間違っていることを指摘し、理由を説明してあげても、その理屈が理解できなければ、いちゃもんをつけられたように感じるかもしれない。>

 

こういう経験は長く社会人として働いていれば、大なり小なりあるだろう。

 

私はそういう相手に理解させるために、時間をかけることが無駄だと感じたので、フリーランスを選んだ。

 

しかし、組織で働く人はそういうわけにはいかないから大変だ。

 

本書でくり返されているのが、読解力の低下だ。

 

<読解力は、文章を読むときだけでなく、人の話を聞くときにも重要な意味を持つ。コミュニケーションのすれ違いも、認知能力の乏しさによって引き起こされることがある。>

 

榎本氏は読解力の問題に対処するために、読書などを通して、地道に身につけていく必要があるとしているが、大人になってからは最も鍛えるのが難しい能力ではないか。

 

読書をしたところで、そもそも読解力がないから、読書がつまらないのだろうし。