本書の前半では、平均年収どころか世帯年収では1000万円レベルの人(妻)の証言がある。

 

<世帯年収が1000万円あったって、私の仕事は不安定だし、夫の収入は、おおげさにいえば、乱高下する。うっかり贅沢なんてしていられないんです>

 

そして、無駄遣いしないようにコンビニには行かず、クーラーもつけない生活をしているというのだが、現役世代がこうやって倹約していたら経済は良くならないだろう。

 

彼女の場合、非正規公務員だから不安定だということだろうが、年齢は35歳。

 

もう少し、何とでもなるという余裕を持っても良いと思うが、正社員信仰が強すぎる。

 

本書のメインテーマは<就職氷河期世代の雇用問題を放置したまま高齢者になったとき、生活保護費が膨らみ財政破綻を招きかねない>という部分だと感じた。

 

私も団塊ジュニア世代で、就職氷河期を食らったので、その危惧を持っている。

 

そして、我々の世代が不安定な雇用になったために、第3次ベビーブームが起きず、少子化が進んでしまったわけで、政治がこの世代へのケアをしなかったことは取り返せない失政だと思う。

 

とはいえ、“安定した雇用”などというのは、本来どんな時代でもあり得ない。

 

むしろガチガチな正社員制度ではなく、流動的な雇用環境こそ、求めていくべきだ。