コロナ禍になって来日アーティストの公演を観ることもなくなったが、OUTRAGEはコンスタントにライブをやっている。

 

ただ、位置の決められたオールスタンディングで、声も上げられず100%満足のいくものでは、正直なかった。

 

そして、今回のオーケストラとの競演。

 

スタンディングではなく、Zepp名古屋に椅子を置いたかたちでのライブで、どんな風に楽しめば良いのか…期待もあるけどちょっと不安なまま新幹線で名古屋まで向かった。

 

会場はステージいっぱいにオーケストラのセットが用意され、その前方にバンド用のステージが設置。

 

その分席数が減るし、カメラもクレーンを含めかなりの台数がある。

 

オーケストラ関連の人件費なども考えると、普段より高目のチケット代金でも赤字なのではないかと、無用な心配。

 

会場内でのドリンクは、ソフトドリンクのみ。

 

このへんもメタルのライブとして、楽しめるのかなと不安が高まる。

 

しかし、予定時間ぴったりに始まったオーケストラの演奏に、そんな不安は吹っ飛んだ。

 

ステレオやヘッドフォンでオーケストラによる”THE FINAL DAY"のアレンジを聴いたときは、「なるほどな」程度の感覚だったが、生で聴くと音の拡がりというか、奥行きがまったく違う。

 

気づかなかった楽器の音もはっきりと聞こえる。

 

座席は1階席中央の前方で、いわゆる良い席ではあったが、このオーケストラの演奏は2階席から観たかった。

 

何より、びっくりしたのはアルバムではプレイしていない、”Great Blue"のオーケストラアレンジ。

 

この曲は元々、静かなイントロから泣きのギターが特長的で、橋本直樹の歌のうまさも伝わる名曲。

 

それがオーケストラによって、さらにバージョンナップ。

 

こんなにはまるなんて!

 

これを聴いただけでも、名古屋まで来た甲斐があった。

 

続いて、オーケストラと入れ替わりでOUTRAGE登場。

 

観ている我々の切り替えも必要だったが、”Rise"から始まりダイ・ハード!な空気に。

 

ライブではあまりプレイされない”let my ass go"や"Draggi' Me Down"も楽しめた。

 

バンドタイムが終わると、燕尾服からメタルTに着替えたオーケストラが再登場。

 

チューニングタイムを経て、ついに競演の時間に。

 

おそらくだがオーケストラのメンバーにもロック好きがいるようで、冒頭、OUTRAGEのライブでは恒例のツェッペリンの“移民の歌”にノリノリの方も。

 

バンドとの競演タイムは、さらに笑顔だった。

 

そして、”MY FINAL DAY”からOUTRAGE & Outrageous Philharmonic Orchestrasの素晴らしいプレイが始まった。

 

とにかくうるさいOUTRAGEというバンドと、オーケストラのハーモニーは奇跡的な化学反応を起こす。

 

オーケストラによるアレンジが加わると、今まで何度となく聴いたOUTRAGEの曲がさらに魅力的に。

 

特に”Sad Survivor"は秀逸だった!

 

さらにここでも”THE FINAL DAY"以外の曲もプレイ。

 

3人編成の時の曲や、”Under Control Of Law"のような速い曲も(通常ライブより抑え気味のスピード)。

 

新曲”Summer Rain"では、橋本直樹が感極まったようにも見えた。

 

最後のアンコールは、バンドのみで”STEP ON IT"をプレイ。

 

2時間強で大満足の内容だった。

 

カメラもたくさん回っていたし、映像作品などで発売されるのかもしれないが、オーケストラとの競演というのはやはり音の良さが求められる。

 

現場で感じたものを超えることはないだろう。

 

本当にスペシャルな体験をしたと思う。

 

OUTRAGEといううるさいバンドが、ありえないオーケストラとの競演をしたことで、まだまだ色んな刺激を与えてくれるということが分かった。

 

そしてOutrageous Philharmonic Orchestrasこと、セントラル愛知交響楽団、ありがとう!