アメリカでの白人警官による黒人殺害に端を発するデモは今も続く。

 

本書はそのタイミングに合わせたわけではないのだが、とてもタイムリーなものになった。

 

渡辺靖氏は学者というより、ジャーナリストのように多くの白人ナショナリストを直に取材している。

 

この部分などは、まさにアメリカで起きている暴動の先に、さらに何かが起きるかもしれないと恐怖を感じる。

 

<「白人ナショナリズムは急速に拡大しつつあるグローバルな運動で、メンバーは来るべき「人種戦争」に備えつつ、かつそれを仕掛けようとしています。米国人の安全を守るには私たちが直面している脅威を再定義する戦略が必要です」>

 

これは去年の下院の委員会で参考にが発言したもの。

 

今回の暴動でも、人種差別に反対するアンティファなどの左翼だけでなく、略奪をあおっているのは白人至上主義という声もある。

 

去年の時点で、その可能性が指摘されていたのだ。

 

<建国以来、権威や権力に懐疑的な米国では、専門家ではない、一般市民の知見を尊重するレインマンコントロール(素人管理)の伝統がある。陪審員制度などはその典型だ。しかし、例えば、国家安全保障問題を専門とするトム・ニコルズ(米海軍大学校教授)は『専門知は、もういらないのか』において、近年、米国では専門家や専門知への経緯が失われ、正誤ではなく、好き嫌いによって政策を判断する風潮が強まっていると警鐘を鳴らしている。「客観的事実」なるものが消え去り、「部族」ごとに異なる事実が存在し、専門知も一部族にとっての事実に過ぎないというわけだ。ニコルズは「私は低学歴の人びとを愛している」というトランプ氏の発言に注目。その求愛に応じるかのごとく、労働者層、とりわけ白人の多くもまた、ロシア疑惑やウクライナ疑惑があろうとも、同氏を固く指示し続ける。あたかも「トランプ部族」であるかのように>

 

この部分は、日本にも全く当てはまる。

 

いや、本書でも書かれているように欧州など先進国共通の現象だ。

 

まさに、民主主義が問われているのだろう。

 

そして、白人ナショナリストが総じて日本を理想の国家と指摘していることも注目点だ。