夜20時過ぎの中島公園。その眺め。


 雪はしんしんしんと降り、積もってゆく。 


 歩みを止めて見ている者は、自分以外にはいない。


 冬は、終わってはいなかったのか。 

そう直感する人も少なくないだろう。 


 こうした光景を眺めていると、必ず頭の中に流れてくる音楽がある。 


 クロディーヌ・ロンジェの『スノウ』だ。


 その時の自分の気分に関係なく、また置かれた環境にも関係なく、流れ出す。 


 無意識のうちに、雪が静かに重なってゆく光景と、セットなのかも知れない。


 ✤ 


 クロディーヌ・ロンジェの音楽を教えてくれた人がいて、その時初めて僕はその存在を知った。 


 まだ、自分の人生の駈け出しで、初心者だった頃の事だ。 


 「“クロディーヌ・ロンジェ”の“スノウ”を知ってる?」

 電話の主がそう聞いてきた。


 「知らないなぁ…それ、だあれ?」そう答える。


 「(笑)“ソフトロック”の“クロディーヌ・ロンジェ…」


 「ソフトロック?? ソフトなロック?何だ、そりゃ(笑)」 


 「そう、ソフトなロック(笑)」


 “ソフトロック”と呼ばれる音楽があるらしい。


それまで、触れたことはもちろん無いし、初耳だった。


 ソフトと、ロック…相反するというのか、矛盾しているように思えた(笑) 


 ✤ 


 クロディーヌ・ロンジェは、モデルが女優が本業の人じゃないだろうか。


 だから、自作の曲を歌唱するのではなく、誰かが書いた曲を歌う。


 しかし、紛れもない存在感がある。


 『スノウ』にしても、誰かが書いた曲だ。






 ✤ 


 この『スノウ』の歌詞は、どこか切ない。


 確かこんな風だったはずだ。


 あなたと歩いた足跡は やがて雪が消してしまうだろう、といった内容だ。 


 ✤ 


 クロディーヌ・ロンジェが歌う他の楽曲。 


それらは、雪や足跡は関係ないのにも関わらず、『スノウ』を思い起こさせる。 


 クロディーヌ・ロンジェが歌う『スノウ』が流れてきて、しばし佇む自分がいる。


 そう、書いた。

正直に打ち明けるとしよう。 


 佇むというより、そこから動けなくなってしまうのだ。


 ✤ 


 そこから抜ける、即効性はどの曲も、見いだせない。


 しかし、一曲、クロディーヌ・ロンジェが歌う『ハッピートーク』という曲だけが効き目がある。 


 それから音楽サイトで、『ハッピートーク』をすぐに探し出した。 


低めに流しながら、現実に戻るべくそこをあとにした。