久しぶりに、日本の古い食器を使ってみよう。

食の職に就いていると、鮮度が落ちたということで、
役目を終える食材がある。
例えばキャベツ。
千切りのキャベツが捨てられる様は、正直言うといたたまれない気持ちになる。

「この千切りキャベツは、オレじゃあないか?」
と思える瞬間もある(笑)

だから、『とん平焼き』を広める活動にひと役買いたい。
そう、思っている。



職場の先輩に、良い人がいる。

明るい性格で、仕事が出来て、とても魅力的な人だ。
かつては、大きな組織の総務にいたそうで、人柄が良い。世代も近い。

家庭に入り、子育てを経て、食の職についたらしい。

人柄と、経験がある方だから、もし何かを教わるなら、この人だろうと思われる。

いや、この人の他には考えられない。そう思わせる。

その方には、色んなことを教わった。
なかでも天ぷらの揚げ方、大きな海老の揚げ方を教わった。
美味しく揚げることはもちろん、見た目の仕上げ方、“花を咲かせる”というものを間近で見ていた。加えて、切り込みを入れる処理を習った。

ある時、コメを研ぐように言われた。
言われるままに、10合のコメを研ぎ始めた。

すると、遠くで下ごしらえをしていたその先輩が駆け寄ってきた。
「お米、研いだことあります?」米と僕の間に割って入るようにして、先輩は言った。

ありますよ、もちろん。

「あまり、したことがなかった??」

いや、全然、あります。

「本当は?」

しつこいので、こういう研ぎ方があるんですよ。そう、伝えた。

これでも、料理ブロガーなんですよ。
そして、米を削り過ぎない研ぎ方として、こういうものもあるんです。
でも、これからは、“その”(昔ながらの)研ぎ方をしますね。

「私、知らなかったわ」
「調べたら、出てきますよ」
「ブログに書かれちゃう?私(笑)」
「書く…かも(笑)」

お互い、屈託がなく、笑い合った。

理知的で、ユーモアがあり、気がまわり、ピンチに強い先輩。


海老の天ぷらに花を咲かせるやり方を、職場でも作ったし、自宅でも試してみたことがある。
ただ、だだ、モノにしたくて。

熱した油に、衣を纏わせたエビを入れ、ボウルに残った天ぷら液を箸で掬う。
間髪入れず、油の中のエビに乱打する。さながらマシンガンのように。

それが先輩から教わったやり方だ。

しかし、突き詰めると、手順が逆だとわかる時がくる。

液を油に巻く。それから、海老を投入する。
すると、経験が浅い自分にもうまく出来る。

何を言いたいかというと、実力や経験に抜きん出るのは、研究しかない。

先輩は、研究が足りなかった。

「このやり方だと、僕のようなものでも、上手く出来るきがするんですよね」

そう、言いながら、頃合い良く、海老を上げた。


曲は先輩のイメージだ。
happyday, summer day, Sunshine girl