シニアのマレーシア滞在記

シニアのマレーシア滞在記

73歳のシニアによるマレーシア珍道中の記録。2024年5月から6月の43日間滞在記です。

 この滞在記には何度もGrabのことがでてきます。ライドシェアのことです。43日の滞在中、10回以上20回未満の利用でした。
 最近、日本でも一部の大都市ではライドシェアが解禁になりました。でも、日本ではライドシェアの議論がまともには行われていません。そもそもライドシェアって何だというところからの議論になります。国会で以前、小泉議員がライドシェアの定義について国交省に質問をしていました。「地域の自家用車や一般ドライバーがタクシー事業者の管理の下で安心・安全な運送サービスを有償で提供することを可能とする制度」としています。このタクシー事業者の管理の下でというところが、日本版であるゆえんのようです。東南アジアなどでインフラとして根付いているライドシェアとは異なる交通体系です。
 日本ではタクシー業務は2種免許が必要などのハードルがあります。当然認可を受けたタクシー会社のみが認められています。日本で一部可能になったのは2種免許がなく、しかも自家用車で仕事ができるということですが、その運営はタクシー会社が行っています。運転する時間帯なども規制があります。
 マレーシアではライドシェアのことをGrabと言います。実はGrabというのは民間の会社名で、ライドシェアのアプリを運用しています。つまりは配車アプリ。スマートフォンアプリを使用することで、一般ドライバーと乗客をリアルタイムでマッチングしています。米国のUber(ウーバー)もそうです。
 現在では、ライドシェアと言えばこのスマートフォンを活用したマッチングサービスを指すことがほとんどです。スマートフォンの普及により、これらのサービスは急速に広まり、海外では移動手段のひとつとして一般的になっています。

 ではこのGrab、何が便利なのでしょうか。ほぼすべての点においてタクシーを凌駕しています。
(1)Grabを探すのがシンプルで簡単。しかも速いことが多い。
 日本でタクシーを使おうとすると、まずタクシーを探す必要があります。雨でも降ろうものなら駅前にタクシー待ちの長い行列ができることは普通に起こります。大都市なら流しのタクシーがありますが、これもつかまえるにはコツがいります。荷物があると面倒です。
 Grabではスマホのアプリを操作すると、速いときは数分で、遅い場合でも10分あまりで迎えに来てくれます。雨の時には捕まえにくいことはあるようですが。

(2)行き先を口頭で言わなくてよい。
 日本でタクシーを使うと、口頭で行き先を伝えます。有名なホテルなどの場合は伝えやすいけど、時には道案内をする必要があることもあります。今はナビがあるので比較的、面倒はないとは思いますが。
 Grabはアプリで行き先を指定することから始めます。迎えの場所はGPSで今の場所が初期設定で指定されます。アプリで行き先を何文字か入力すると、予測していくつかの候補が出てきます。多くの場合、その中から選べます。しかも、英語にも日本語にも対応しています。Grabアプリは基本は英語ですが、行き先はカタカナで入れても探してくれるという多言語対応です。
 アプリの英語も定型的な言葉だけなので、2回か3回使えば分かります。中学1年程度の英語で可能です。
 行き先を口頭で伝えなくて良いというのは非常に楽です。ストレスにもなりません。Grabに黙って乗り込めばいいのです。時には運転手が行き先を口頭で確認することもあります。イエスという一言で済みます。

(3)料金の支払いがない
 もちろん無料という意味ではありません。Grabアプリを設定するときにクレジットカードを登録するので、カード払いになるということです。日本でタクシーに乗ると料金の支払いが意外と面倒です。カードが可能なタクシーも増えてはいますが、カード決済の手間がかかります。
 さらにGrabは料金を事前に決めるので明朗会計です。Grabアプリで車を呼ぶとき、行き先を入れると料金が3種類ほど表示されます。
 料金は「JustGrab」が安いです。車は小さめで古いことが多い。「GrabCar Plus」はやや高級車のようです。私は一度も使わなかったけど。他に5人乗りなどがあります。「GrabCar Premium」というのもあり、代金が上がります。
 車種のグレードに応じて料金を利用者が選ぶことができるのです。極めて明朗です。 さらに料金も安いです。ただこれはガソリン代が安いことや車の維持費、人件費などが日本とは異なるので、マレーシア並みの価格を日本で求めるのは無理です。ガソリンは1リットルで65円ほどでした。
 Grabの代金はダイナミックプライシングというもので、刻々と変わります。車の台数や客の人数などでAIが判断するようです。私の乗ったところでは10km以内だと10から20RM程度でした。
 バスや地下鉄の料金は距離によって異なるけど、まあ2から3RM程度です。二人がGrabを使うと、バスや地下鉄の料金に近くなり、3人だとほぼ確実にGrabの方が安いでしょう。暑いマレーシア、Grabが圧倒的に便利なことはいうまでもありません。

(4)Grabは安全
 クアラルンプールではGrabの他に、タクシーもあります。見ることは少ないけど。ではどちらの方が安全なのでしょうか。
 実はGrabの方が安全だという声を何人もの駐在員の家族から聞きました。意外な気がしますが、運転手のマナーもGrabの方が良いという話も聞きました。
 実はGrabアプリからタクシーを呼ぶこともできます。価格は幅があるので確定していません。ならタクシーよりもGrabの方が良いということになります。
 ライドシェアは暴行などの犯罪が心配という一般論があります。でも、駐在員の家族の話を聞く限り、そんなことはありませんでした。日本の治安は東南アジアよりも良いと言われています。東南アジアですら犯罪が多いということはなさそうです。
 
(5)Grabアプリが秀逸
 一般ドライバーと乗客をリアルタイムでマッチングするアプリがあればこそのライドシェアです。それがマレーシアではGrabになります。
 行き先や料金のことはすでに書きました。Grabアプリの使い良さはそれだけではありません。GPSと連動しているので、呼んだ車が今、どこにいるかということがリアルタイムで地図上に表示されます。モールで車を待つ場合、外で待つのをできるだけ避けたいです、暑いですから。アプリを見て、車が近づいて来たら道路際に出るということができます。
 アプリには車の車種やナンバーが当然、表示されます。Grabアプリを使って会話をしたり、チャットをすることも可能です。
 ある時、Grabを使うとチャットでメールが届きました。「ドライバーはろうあ者です。ドライバーへの連絡はチャットを使ってください」と。基本的にドライバーと会話する必要はないので、全く問題はありません。ハンディがあっても普通に仕事が出来る社会環境に驚くばかりでした。緊急車両のサイレンが聞こえないなどのハンディはあるのでしょうが、それを補うだけの注意深さがきっとあるのでしょう。

 Grabアプリはマレーシア国内のペナンはもちろんのこと、シェムリアップでも当たり前のように使えました。カンボジアです。表示は英語のまま、ただし料金はカンボジアの通貨、リアルです。
 シュムリアップではトゥクトゥクという三輪車も、Grabで呼べます。ハイテクの配車アプリが日常的に使われているのです。これもスマホがあればこそ。
 東南アジアではシンガポール、マレーシア、インドネシア、タイ、ベトナム、フィリピン、カンボジア、ミャンマーの8ヵ国でGrabが使えるようです。Grabという配車アプリの利便性とともにそれを認めているそれぞれの国の政策があります。
 日本ではインバウンドに期待しているものの、世界基準のライドシェアはまだまだです。

 ICC PUDUは巨大なホーカーです。ホーカーはフードコートのこと。あえて違いを言うと、フードコートはエアコンがあるなど、やや高め。


これは入り口。奥がとても広い。見て回るのは楽しい

 

 ICC PUDUは広いです。お店の数は200を超えるとか。ローカルの皆さんが多いけど、旅行者も来ています。午前6時から昼過ぎまでの営業のようですが、朝、早めに行かないと席がないらしい。コンドミニアムを7時過ぎに出発し、7時20分過ぎにはICC PUDUに入りました。それでも席はかなり埋まっています。


この写真は某サイトから拝借しました

 私たちは6人だったので、席の確保が大事です。するとスタッフらしき女性が案内してくれます。そして6人が座れるテーブルを確保してくれました。こんな寄せ集めのホーカーなのに席の案内があるなんてと思っていると、やおらメニューを取り出し、ここから2つは注文してと言います。
 何のことはない、とあるお店のスタッフが勝手に席を確保し、強制的にそのお店のものを注文させるという仕組みのようです。まあメニューには飲み物もあり、それでもいいとのことなので、飲み物を2個注文しました。価格は普通です。まあ良心的なビジネスかも。

 

 さて肝心の食事の注文をします。なにしろお店が多い。お店の前には写真付きのメニューがあるのでそれを見て考えますが、なかなか難しい。結局、注文したのはアサリがたっぷり入ったラーメン。スパイシーではないことを確認して注文しました。
 確かに大きなアサリがたくさん入っています。でも、味は大味です。その他にも、小物をつまみました。
 意外というと失礼に当たりますが、意外にお店はきれいです。料理しているところが見えるお店が多いです。いわばオープンキッチン。自信がないとオープンにはできません。マスクをしているところもありました。

 

 

 今はドリアンの季節です。出口近くでドリアンを売っています。割って中の実だけを販売しています。客が来てからドリアンを割る作業をしているのでじっくりと見ました。でも、結局、生のドリアンを食べることはなかったです。チャンスはいくらでもあったのですが。おしいことをしました。

 

マンゴーを物色する私。近くのスーパーです。マンゴの種類にこだわります(笑)。でも、味はどれもおいしい

 このたびのマレーシア滞在ではいくつかのミッションがありました。行きたいところやしたいことです。
 そのほぼすべてを達成できました。残ったのはfatty crabというレストランに行くことです。カニがいただけるお店です。カニといってもタラバやズワイガニではありません。こういったカニは寒い地方でとれます。南国向きではありません。
 なぜfatty crabかというと、実は26年前にそのお店に行ったことがあるので再訪したかったのです。1998年7月にマレー半島を旅行しました。目的の一つはマレー鉄道に乗ることです。当時、深夜特急という旅行記が話題になっていました。マレー鉄道に乗った記録です。
 26年前はバンコクで3泊し、飛行機でクアラルンプールへ。そこで2泊したあと、クアラルンプールからシンガポールまでマレー鉄道の旅をしました(途中、マラッカに2泊)。その際、クアラルンプールで寄ったお店の一つがfatty crabだったというわけです。


 このお店は中心部ではなく、郊外にあります。当時はバスを乗り継いで行ったので面倒でした。Grabのような便利な乗り物はなかったです。だからこそ思い出に残っているということもあります。加えて、カニをハンマーでたたいて割るという特徴のあるお店でした。
 そのお店が今もまだ営業していることを知ったときは驚きました。同じ場所で、ほぼ同じスタイルでお店を続けているのです。ガイドブックには出ていませんが、ネットの口コミ評価は高いです。
 営業は午後4時から。行列ができるお店とのことなので、オープン直後の午後4時過ぎにお店に入りました。すぐに席に案内してくれました。なお、午後5時を過ぎると入店待ちの行列ができていました。このお店は客の回転は速くはないので待ち時間は長いかも。座席数は多いです。

 

  カニの重さと味付けを指定します。2.4kgだったかな。最初の注文は。ソースは「ノット スパイシー」と。チャーハンも注文します。チャーハンはおいしかったので、みんなお代わりしたので、追加注文をしました。確かにここのチャーハンはおいしい。お勧めです(笑)。


 実はfatty crabでは手羽先も人気メニューです。でも、別のお店。だから注文は別になります。お店の外側で手羽先を揚げています。そこで注文して持ってきます。支払いもそこで。

公認のコバンザメ商法。手羽先がとてもおいしい

 

 26年前もこんな雰囲気でした。カニの甲羅を小さなハンマーでたたいて割ります。小さなペンチもあるので、それも使います。カニはソースが絡まっているので手がベタベタになります。お店には広い手洗いがあり、同時に数人が手を洗うことが出来ます。
 このお店でかつて印象的だったことがもう一つあります。それは片付けの方法です。テーブルの上はカニの甲羅などが飛び散っています。それをあっという間にきれいにしたのです。方法はコップなどを片付けたあと、テーブルフキンでくるんでそのまま片付けるのです。ものの一分もかからなかったような記憶があります。26年前のことですが。
 今回もやっぱり同じようにテーブルフキンでくるみます。でも、人数が多かったためテーブルの上には飲み物の入れ物や食器がたくさんあり、それを片付けてからのフキン作業でした。それでも、見ている間にテーブルがきれいになります。その上に新たなフキンをしいて次の客を迎えます。
 なお、車の駐車がしにくいです。Grabがいいかも。余計な情報です(笑)。


 

 カンボジアの都市というと、プノンペンぐらいしか思い浮かびません。せいぜいシアヌークビルか。

 シェムリアップはこのブログで何度も使ったように、アンコールワットがある都市です。立派な空港が昨年完成しています。また行ってみたいと思う都市です。

 

 私の好きなフレッシュジュース。いつもはマンゴーばかりなので、このときはオレンジにしました。

 下の写真のフルーツ棚からオレンジを2個厨房(?)へ持って行きます。

 

 

 それを2つに切ります。そしてジューサーのようなところに入れて、力任せに押しつぶしてジュースにします。手動のジューサー。

 氷を入れないと冷たくないので、氷を入れてもらいました。

 

 シェムリアップのオールドマーケット。ここはぜひとも行きたいところではありました。地元の皆さんが使うマーケットです。この写真は乾物ですからにおいは許容できました。でも、中は通り過ぎるだけで精一杯です。じっくりと見ることはできなかった……。

 お店の人も、外国人は相手にしていないかも。

 

 上の2枚はスーパーマーケットのレジのそば。冷凍庫には日本語が表示されたままの食品がずらっと並んでいます。アイスが多いけど、納豆もありました。

 

 

 道ばたで売っていたアサリ。氷もなく、鮮度は大丈夫なのかな。

 

 有名なパブストリート。時間が遅くなると、さらに賑わいます。欧米人が多かったような印象です。この通りで夕食をいただきました。アンカービールは1ドル(150円)でした。

 今後、アンコールワットの日の出を見る人への私のアドバイスを書いておきます。僭越ですが。

 このあたりは日の出の時刻は年間を通して大きくはかわらないのかもしれませんが、日の出の30分前には中に入っておきたいところです。チケットを買う必要があれば市内を日の出の1時間も前に出たら十分です。チケットセンターは広いけど、窓口が全部開いているわけではありません。
 チケットを持っていたら市内からは20分足らずで到着します。
 チケットは1日券(37USドル)、3日券(62ドル)、7日券(72ドル)があります。1日券か、3日券か、迷うところです。私は3日券でしたが、同行の家族は1日券でした。

 

 市内からアンコールワットまでの交通はトゥクトゥクが旅の風情があり、楽しめます。Grabで呼ぶことができます。3日目の早朝(午前4時過ぎ)、Grabでトゥクトゥクを探したところ、片道が14100リアル、550円ほどです。帰りも行きの運転手にお願いしました。2時間あまり待っていてくれたことになります。代金は2万リエル要求されました。Grabよりも高くなってしまうけど、待っていてくれたし、トクトクを探す手間がいらないのでチップ込みと考えて2万リエル(770円)を渡しました。
 この交通費が安いので2回以上のアンコールワット観光がしやすいです。さらに私の場合はクアラルンプールからでした。直行便のエアアジアは午前7時40分ごろシュムリアップ空港に到着しています。ホテルに早めに入り、食事をしたあと、アンコールワットへ行きました。これが1回目となります。非常に暑かったけど、第3回廊へ上がることができました。

 

 

 

 

 シュムリアップへの到着の時刻やツアーなどとの関係があるので一概にはいえないけど、時間的に可能なら3日券を購入すると選択肢が広がります。なお2日券はありません。
 追加情報。クアラルンプールからシェムリアップへのエアアジアの時刻が変わったようです。常に最新情報を会社などの信頼できるところから得る必要があります。

 

 もう一つガイドのことです。当初は日本語ガイドをお願いしようと考えていました。でも、最終的には断念しました。ガイドをつけるといちいち立ち止まっての説明があります。アンコールワットだけで2時間30分はかかりそうです。子どもたちはそれは苦行でしょう。実際、日本語のガイドをつけて回っている家族もいましたが、お父さんは疲れ切った顔をしていたし、子どもも体調を悪くしていました。

 なお、日本語ガイドの料金は事前にオプションでツアー会社に申し込むのが最も高価です。それは仲介業者が入ると価格が高くなるのは当然です。初日の午後、暑い時間帯にアンコールワットへの参道を歩いていると「ガイドいりませんか。説明がないとアンコールワット分からないよ」というガイドの売り込みが2人ありました。そのうちの1人は「2人で20ドルでいいよ」とつぶやいていました。2人で20ドルは安いです。観光客が少なかったので値段を下げたのでしょう。ガイド料金もダイナミックプライスなのですね。

 結論としてはコスパ的には日本語ガイドはなくても良いというのが私の考えです。細かい説明を聞くよりも、自分の目で見て、写真を撮って……ということに時間を費やしたいです。
 
 行ってみるとがっかりする観光地は多いです。マーライオンと比較するとアンコールワットに失礼ですね。アンコールワットは私が長く行きたいと思っていたところということもありますが、他の家族もみんな満足していました。
 
 アンコールワットはたくさんの遺跡が周囲にあり、アンコールワット遺跡群と言われています。もう一度行きたいかと問われたら迷うことなく、「行きたい」と答えます。

 チケットの確認を済ませたあと、暗い中、進みます。左右の池は暗くて見えません。かろうじて石畳の西側参道がわかります。石は綺麗に敷き詰められているのではなく、不規則に並んでいます。あえてそうなっているようです。ここにも水たまりがあります。足元がよく見えないので、時折り水たまりに足をつっこむことになり、靴下を通して冷たく感じることがありました。ドンマイ(笑)。


 
足下が暗くて見えない中、進みます。早すぎました

 

 さらに進むと、前の10人ぐらいの集団が十字回廊を右に曲がって狭い木の通路を進みます。この通路は昨日も、一昨日も、通っていません。ここがいいのかなとついて行きました。すると仏像のところに行き着きます。そこでお参りしているようです。
 私は通路を戻り、正門から中に入りました。空は少し明るくなって来ており、3つの祠堂がシルエットになっています。幻想的です。

 

 そんなに暗くても、アンコールワットの象徴的な祠堂のシルエットが見えます。この存在感、写真では伝わりません

 

 途中、右に回り、池の手前に進みます。他の観光客も、そのあたりに集まりだしています。最初は10人ぐらいだったのが、日の出の時刻が近づくと、数百人にはなったようです。日本語も聞こえてきます。1人での観光は少ないようです。ましてや70代に見える観光客は皆無です。大人数もいません。2人が多く、数人のグループまでです。

空が少し明るくなってきました。後ろ姿の私。お恥ずかしい。



 

明るくはなってきてもなかなか太陽が見えません。すでに日の出の時刻を過ぎています

      

ようやくまぶしい太陽が上がってきました。午前6時ちょうど。日の出から20分ほど過ぎた時刻です

 

 5時15分を過ぎるころから周囲も明るくなり、観光客もさらに増えてきました。チケットセンターが開くのは5時とのこと。朝、チケットを買ってから来る観光客はこの時間になるのでしょう。
 みんな立ってシルエットに輝く祠堂などの姿を眺めています。多少の話し声は聞こえるものの、みんな朝早く起きてここに来ているのです。私もその1人。
 前日は旗を持ったガイドさんの姿がありましたが、今日はそういった集団はいません。全部で200人から300人というところでしょうか。コロナ前は中国人が2000人ほどがこの池の前に集まっていたと聞きました。今は中国人は見かけません。そのため比較的静かです。昨日のトゥクトゥクの運転手は中国人は騒がしいから…などと言っていました。

 日の出時刻の5時38分が近づきます。日の出は夕日と異なり、真っ赤な太陽が見られるわけではありません。暗い空が徐々に明るくなります。赤く染まることもあります。そしてシルエットがあのアンコールワット。何という素晴らしさ。神々しいなどという陳腐な表現はしませんが、特別な時間であり、特別な空間をここにいるみんなが感じているようです。カメラの液晶を通して見ている人、アンコールワットを目でじっと見ている人……。


 

 5時38分を過ぎても、特段の変化はなく、中央祠堂の左側、つまり東側がより明るくなるだけです。午前6時ごろ、中央祠堂の横がまぶしいほど光り、太陽が姿を現しました。午前4時30分に入り口に着き、環濠と言われる池の入り口(西参道正面)を午前5時に通ります。そして1時間ほど日が昇るのをときおりスマホで写真を撮りながら眺めていました。私にとっては忘れることのできない時間となりました。

 アンコールワット観光の3日目。そして3日連続のアンコールワットとなります。今日の目当てはただ日の出を見ることだけです。日の出の成否は天候しだいです。雲がないことを願うばかりです。今は雨季。観光客も少ないとトゥクトゥクの運転手は言います。初日と2日目は雨が降らないでいいなと思っていたら、2日目の夕方からは雨です。夜も降り続いていました。3日目の天気予報は曇りです。
 
 午前4時に起きました。まずはカーテンを少し開けて外を見ます。幸いにも雨があがっています。スマホの天気予報は曇りのまま。
 でも行くことにしました。顔を洗ってgrabでトゥクトゥクを呼びます。こんな時間なのにすぐにつかまりました。しかも近い。2分で来るとのこと。あわてて服を着て準備します。準備といっても水筒に冷たい水を入れるだけです。ロビーを通ってホテルの前に出ると、すでにトゥクトゥクが待機しています。スマホのGrabアプリの車体番号と一致するか、確認します。
 時刻は午前4時20分です。あたりは真っ暗です。運転手は開口一番「チケットは持っているか」と言います。3日券を買ってあり、今日がその3日目となります。トゥクトゥクは順調にアンコールワットを目指します。
 と、途中で止まるではありませんか。チケットの確認かと思ってチケットを出そうとすると、運転手は「この後、他のテンプルに行くのか、ホテルに戻るのか」と問います。どうもここがアンコールワットの参道の入り口のようです。すでにここには2回も来ているので明るければすぐに場所が特定できますが、なにしろまだ4時30分前。チケット売り場を経由しないと、15分もあればホテルからアンコールワットの入り口まで来ることができました。こんなに近いとは。過去2回はチケットセンターを経由していました。
 日の出までまだ1時間もあります。早く来過ぎたということです。そのことをいうと運転手は笑いながら「イエス」とのこと。そこには1組の先客がいました。彼らも時間待ちをしているようです。
 帰りもこのトクトクをお願いすることにしました。運転手は後ろを指差しながら「あそこで待っている」と言います。時間は決めませんでした。


 午前4時30分にホテルに来てくれたトゥクトゥク。これは良い方。だけど3人しか乗れない。お世話になりました。なお写真はホテルに戻ったときに撮りました。

 

 バイクで中に入る人が何人かいました。バイクがこの参道を通れるのかなと思いました。あとで思ったことは、彼らはチケットを確認するアンコールワットのスタッフだったかもしれません。真っ暗い中、1人で参道を歩き始めました。途中、懐中電灯を持った人とすれ違います。「ガイド?」と英語で呼びかけられます。当然断ります。
 まだ真っ暗です。足元にはあちらこちらにみずたまりがあります。舗装された道路ではありますが。さらに進むと明かりが見えます。アンコールワットへの西入り口のところです。そこでは係員が10人近く待機しています。横一列に並んで写真を撮る様子も見られました。午前5時前です。仕事とはいえ、ご苦労なことです。私たち観光客は数人。徐々にふえてきます。

午前5時前からスタッフが準備中。ライトがあるのでここだけは明るい

懐中電灯でチケットの確認をするスタッフ

 

 午前5時ごろ、まだ周囲は暗いです。係員が手元のライトで入場券を確認します。表だけではなく、裏も見ます。そしてパンチ穴を空けます。アンコールワットの遺跡群の入場券管理は厳格です。

 左右に環濠という堀があります。落ちないように中央を歩きます。光っているのは水たまり。それにしても、素晴らしい祠堂のシルエット

 

 次に目指すはタ・プロームです。ここは木が遺跡にまるでタコの足のようにからみついている写真でよく知られています。世俗的だけど、やっぱりここも見ておきたい。
 トゥクトゥクで連れて行ってもらいます。バイヨンから10分ぐらいは走ったでしょうか。トゥクトゥクが停まります。運転手が「ここから入ります。トゥクトゥクはここではなく西門のところで待っています」と強調します。


 タ・プロームもかなり広いです。回廊が二重になっているのは他の巨大遺跡と同じではありますが、かなり朽ちているようです。そのため歩くためのコースが指定されています。指示通りに歩きなさいということです。アンコールワットやバイヨンはそんな指示はほとんどありませんでした。出口という指示はありましたが、基本的には自由に歩き回れました。

 

下の写真はガジュマルという木が遺跡にまとわりついているところ。観光客が少なかったので写真が撮りやすい。まるで木の根が生き物のように縦横無尽にからみついている。確かに樹木は生きています。今、改めて写真を見直しても、すごいと思うばかり。

 

 タ・プロームは木の根が遺跡にまとわりついているところが見たかったのですが、なかなかそんな場所がありません。20分ほど歩き、出口に近い方になると、ガジュマルの木が遺跡に絡んだところがありました。これだけを目当てにしているというのはなんともなさけないことではありますが。
 ハリウッド映画のロケがここで行われたこともあったそうです。
 タイのアユタヤにも、木が仏像を飲み込んだように見せるところがありました。タ・プロームはさらにスケールが大きいです。しかも何カ所かそういったところがありました。

 日の出は残念な結果となりましたが、太陽が出ていないので照りつけるような日差しはありません。影が少ないアンコールワットでは曇り空は観光には良いことです。
 と、まあ気を取り直して西参道を進み、アンコールワットの第一回廊や第二回廊を通り過ぎて行きます。そして第三回廊へ登る階段のところまで行きました。多くの人が近くに座っています。案内表示を見ると、第三回廊をオープンするまで30分ほど待つ必要があります。
 そのため第三回廊は断念して戻りました。

 トゥクトゥクの運転手と合流し、次はアンコールトムを目指します。アンコールワットからアンコールトムはけっこう離れています。
 アンコールトムも広いです。まずはバイヨンです。ここは大きな顔のレリーフが有名です。でも、まだ中には入れません。オープンの時刻まで15分ほどあります。しばらく近くのサルの様子を見ていると、予定時刻よりも5分ほど早く中に入れてくれました。チケットはアンコールワットのものと共通です。しっかりとチケットの確認をします。
 バイヨンも、構成としては正方形の回廊があります。外側から第一回廊、第二回廊とあり、中心部には中央祠堂があります。アンコールワットと似てはいますが、かなりコンパクトです。第一回廊は一辺が150mほどです。

 巨大なアンコールワットを見たあとなので、バイヨンを甘く見ていました。顔の巨大レリーフがウリだなと思っていました。確かに顔のレリーフは大きく、素晴らしいです。


顔のレリーフだけど、よく見ないと分からない

 回廊も小さいのでショートカットしないでぐるっと回りました。第一も、第二も。中はかなり入り組んでいます。石がむき出しででこぼこしたままのところが多い。おまけに犬やサルがあちらこちらに。犬猿の仲のはずなのに(笑)。サルは人間が近づいても逃げません。人間がサルから逃げなければならない。

狭い回廊

 中央祠堂は高さもあります。一通り見たので入り口に戻ろうとして出口らしきところに進みますが、方向が違います。東西南北の4方向に出入り口がありますが、入ってきたのは東門のはずです。ところが見当をつけて出口に近づくも、東門ではありません。

この中がけっこう複雑に入り組んでいる

 結局、4方向すべてを回り、ようやく入ってきた東門から出ることが出来ました。この中で不審者のような人と出会っても、どうしようもないです。そういうことでは危険な回廊です。ガイドブックを持ってきていたけど、疲れもあり、見る元気がありませんでした。そのため詳しいことは分かりません。


ころがっている石材にもレリーフが刻まれている

 シェムリアップの2日目。家族6人全員でアンコールワットを目指します。アンコールワットの日の出を見ます。アンコールワット観光では落とせないポイントです。
 午前4時起床、4時35分迎えのトゥクトゥクにのります。前日にWhatsAppで予約しておきました。小学生の孫二人も無理矢理起こされて出かけます。
 トゥクトゥクには4人乗りと6人乗りがあります。4人乗りは三輪の自動車のような形態です。席はしっかりしてはいますが、その分乗車スペースは狭いです。4人でいっぱいです。
 6人乗りはバイクがリヤカーを大きくした座席をひっぱる形です。バイクと客席が独立しているので、詰め込むとなんとか6人が乗れます。まあ窮屈ではあるけど。
 5時前なのに信号は稼働しています。周囲は当然暗いけどLEDの縦型街灯が明るいです。しゃれた街灯です。日の出は午前5時38分。日の出前でも涼しいということはなく、熱気があります。さすがに前日の熱風ではないけど。

 私は前日のアンコールワット行きの際、チケットを買いました。でも、他の家族は今日、チケットセンターで購入します。12歳未満は無料です。


チケットセンター。アンコールワットからは離れている

 

 チケットセンターにはトゥクトゥクやバスが集まっています。1日券売り場にはどのカウンターにも数人が並んでいます。


 

 西参道の入り口ではチケットの確認をします。11歳の孫はパスポートで年齢の確認を求められました。けっこう厳格です。
 5時を回ると観光客も徐々に増えてきました。歩いているとアンコールワットに向かって左側の空が赤く染まってきます。


 赤く染まってきたので日の出に期待しているところ

 多くの観光客は参道右側の広い芝生のところに下りています。そして池の手前に集まっています。そこには団体ツアーらしき旗を持ったガイドさんの姿もあります。団体のツアー客がいる場所なら間違いがないだろうとそこに行きました。


池の前で日の出を待つが……

 気温は上がってはくるけど、前日の熱波を経験しているので許容範囲です。
 アンコールワットの後ろからの日の出を見るために朝早くから多くの観光客が来ています。でも、空はどんよりと灰色がかっています。雲がかかっているようです。


 5時38分の日の出の時刻を迎えても、明るくはなってきたものの、太陽らしき姿は見られません。6時を過ぎると、さすがに徐々に観光客が池の周囲を離れていきます。日の出を諦めたようです。


 今日は曇っていたので、日の出を見ることができませんでした。

 

  西参道を進み、アンコールワットの第一回廊や第二回廊を通り過ぎて行きます。そして第三回廊へ登る階段のところまで行きました。多くの人が近くに座っています。案内表示を見ると、第三回廊をオープンするまで30分ほど待つ必要があります。
 そのため第三回廊は断念して戻りました。