2012-04-16 12:13:51
残高プロラタでいきたい4つの理由
テーマ:金融機関社長や経理担当者、金融機関、事業再生に関連する方しか分かりにくいお話。
リスケジュール(返済方法・金額変更)案件の場合、返済原資を各金融機関に配分する際に、残高プロラタか、信用プロラタかといったことが論点になるケースが少なくない。
言い換えると、担保による保全状況を考慮して返済のシェアを決めるか、単純にその時点の借入金残高でシェアを決めるか、どちらかということ。
これは、はっきり言って、金融機関のその案件における立場によってどちらのスタンスを取るかが全く異なる。
したがって金融機関数が多い場合、この交渉は非常に困難を極めることになる。
信用プロラタを強硬に推してくる金融機関も散見されるが、個人的には、通常のリスケ案件の場合は、あくまで「残高プロラタ」ではないかと考える。
理由は、以下の4点。
1. 当初信用供与時(貸付時)には、各金融機関が、独自の審査・判断に基づいて担保条件を決めたにもかかわらず、会社の財務状況が悪化した後に、無担保部分を優先的に返済することは納得性が低い。各金融機関が信用を供与(デリバティブ契約を含む)した時点の条件を踏襲するのが合理的。
(債権カット案件では別だが・・・)
2.信用プロラタ方式では、担保評価によっては返済額がゼロとなる金融機関が発生するケースがあり、当面の返済額をゼロで合意を得るのは現実的では無い。
3.信用プロラタ方式の場合、担保評価方法や手形割引のリスクをどのようにみるかについては、各金融機関で考え方が異なり、合意を得るのは非常に困難。
4.中小企業再生支援協議会の関与するリスケジュール案件においても、残高プロラタ方式が原則となっている。
以上、会社側からすると立場上なかなか強くお願いすることは難しいが、粘り強く丁寧に、説明・お願いするようにしたい。
一方、各金融機関としては、内部でのご事情やお立場もあるだろうが、前向きかつスムーズにご検討いただき、会社が本業に専念できる環境づくりのお手伝いをしていただけるとうれしい限りだ。