展覧会に行って来ました。


高麗茶碗、主には見立ての茶碗、そして日本向けに作られた茶碗の2通りがあります。
ズバリ見立ての茶碗の醸し出す雰囲気は、群を抜いています。何でしょうか、この違いは。

三井でも高麗茶碗の展覧会は初めてだそうです。
第1室、2室に並ぶ作品は各種の代表作揃いでした。

展示室を追って見て行くと、ここに挙げたような作品が気になった次第です。
多くは個人蔵です。誰の持ち物なのでしょうか。さすが茶の湯、個人蔵が多いのは頷けます。それも代表作が並ぶとは、よく集められたものですね。

さて、それぞれの展示室で気になったもの、を挙げてみます。

展示室1
刷毛目茶碗 銘合甫 
無地刷毛目茶碗 ツートンカラー
斗々屋茶碗 銘龍田 斗々屋茶碗の代表作
小井戸茶碗 銘小塩 
蕎麦茶碗 銘玉川 茶色
紅葉呉器茶碗 銘菊月 高台の形がユニーク
御本立鶴茶碗 銘千歳 和風化

展示室2
粉引茶碗 津田粉引 三好、松平と並ぶ粉引の名品

展示室3
大井戸茶碗 有楽

展示室4
茶の湯が見立てた高麗茶碗
ここはかなり多くの作品に目がとまりました。
無地刷毛目茶碗 銘千鳥 伊達政宗常用
粉引茶碗 三好粉引  (重要文化財)三井記念美術館 
粉引茶碗 銘美恵ミ 益田鈍翁蔵 小さいから目立つようです。
堅手茶碗 銘江天暮雪 堅手とは磁器のこと。
雨漏堅手茶碗  (重要文化財)根津美術館 これは実に難解な作品でした。なので、余計にマークしたくなりました。
大井戸茶碗 有楽井戸 梅華皮という紋様に注目
大井戸茶碗 妙喜庵 京都山崎 轆轤の跡が特徴
青井戸茶碗 銘浅香山 青というか鶯谷色
小井戸茶碗 銘老僧 藤田美術館 秀吉から徳川家へ。
小井戸茶碗 銘柴の庵 青井戸なのか小井戸なのか微妙。大井戸か青井戸でなければ、小井戸だとされているようです。
蕎麦茶碗 銘花曇 丸いふくらみ。
斗々屋茶碗 銘彩雲 藤田美術館
斗々屋茶碗 疵とゝや
斗々屋茶碗 銘広島 斗々屋茶碗の代表作の一つ。
玉子手茶碗 銘薄柿 玉子手茶碗の代表作
熊川茶碗 こもかわ、と読みます。
大徳寺呉器茶碗 銘開山 朝鮮通信使 腰の細さから祭器として活用されていた。
真呉器茶碗 ひずミ 他の茶碗とは一味違う
尼呉器茶碗 藤田美術館 江戸時代より、名前の意味が分からない
割高台茶碗 いわゆる見立て、茶碗ではなかったもの。

展示室5
日本向けに焼かれた茶の湯の茶碗
伊羅保片身替茶碗 千種伊羅保 中興名物、松平不味所蔵品
彫三島茶碗 銘木村 東京国立博物館
金海洲浜形茶碗 銘藤浪 鹿苑寺
高麗茶碗の人気は高まり、茶道の時代変化により斬新さも求められ、かなり捻りや混合して行く感じです。

展示室6
パネル展示 資料「自元禄十四年至宝永弐年 御誂物控」(長崎県立対馬歴史民俗資料館蔵)
これが、展示室7につながる、資料。釜山近郊で作られて対馬藩経て日本にやってきたもの記録です。

展示室7
御本茶碗と半使茶碗
御本(ごほん)茶碗は、日本で作られた手(茶碗の下絵や切り形)をもとに朝鮮で焼かれたことが由来。対馬藩が贈答品として釜山の倭館内で焼かれたもの。

半使(はんす)茶碗、半使は朝鮮使節団の通訳を指す名で、その持参した茶碗。形にひずみがなく、窯変もおおらかで薄青色なものが多い。
今となるとその区別がつきにくくなってしまってるのは、やはり人気の度合いによるものなのか、軽妙さがこの時代を反映していると言われてます。

狂言袴茶碗 銘浪花筒 東京国立博物館
御本茶碗 玄悦 銘まきたつ山 三井記念美術館
絵半使割高台茶碗 藤田美術館
そうですね、ここはどこか生産することに重きを置かれて、立派なのですが、わざわざ作った感が強く感じられました。どうしてそんな風に感じられたのか、ちょっと考えてみたものの、答えは出ませんでした。
整い過ぎてる?見本があるように思えてきた?おそらく前半の展示室の作品に重なる感じがしたのかもしれません。

前半は16世紀、後半は17~18世紀、わずか100年の違いでこんなに異なるものなのですね。

2019/9/14~12/1
三井記念美術館