展覧会に行って来ました。

肖像=肖像画だと、短絡的に考えておりました。
なので、なぜに彫刻?と、思いつつ見て行きました。暑くなると彫刻か、と、思ってみたり。よく字をみたら、肖像、像なんですね。

構成はこんな小見出し付きでした。

プロローグ
マスク―肖像の起源
《棺に由来するマスク》 新王国時代、第18王朝、アメンへテプ3世の治世(前1391-前1353年)エジプト出土
この古さを感じさせないのは、やはり、永遠の命、甦りを祈念していたか、なのかもしれませんね。

第1章
記憶のための肖像
1a 自身の像を神に捧げるー信心の証としての肖像
ここは、神への信心を表された像が並んでました。

1b 古代の葬礼肖像
ー故人の在りし日の面影をとどめる
いきなり、ラグビーのスクラム(すみませんこんな言い方で)のような夫婦や子ども三人の絆の強さ表した像から、始まりました。
墓標はちょっと流してしまい、ました。やはり人生最後で飾るものは埋葬者の姿をよく表したようでした。
《女性の頭部》 150-250年 シリア、パルミラ出土 
これ、目が青くて、よく色が残ってたもんだと感動しました。

《ボスコレアーレの至宝 エンブレマ型杯》 35-40年頃 イタリア、ボスコレアーレ出土 
これは先祖らしいです。
家に飾ってあったようですが、こうなってる自分、嬉しいような、複雑な気持ちに。先祖崇拝がこの時代の特徴でしたが、こうするとは。

1c 近代の葬礼肖像ー高貴さと英雄性
ここには、ベストにて死亡した像が。
《プルボン公爵夫人、次いでプローニュおよびオーヴェルニュ公爵夫人ジャンヌ・ド・
ラ・ポルト》描写は避けますがちとグロいです、どうしてこれを彫刻に?

第2章
権力の顔
権力者のイメージ戦略とでも言いますか、実物に似てるか、そうでないか、分かれるところでもあります。

2a 男性の権力者ー伝統の力
《アレクサンドロス大王の肖像》、通称《アザラのヘルメス柱》  リュシッポスによる原作(前340-前330年頃)に基づきイタリアで制作 イタリア、ティヴォリ出土 
ここには画像ないのですが、トガ、大きな布でよく大理石の肖像が羽織ってるもののことだそうです。

ジャック・サラザン
《5歳のフランス国王ルイ14世》
5歳だとは思えない、古代ローマ皇帝のように作られたから、これぞ、権力者のイメージ戦略か。

そして、
どちらかと言えば絵画が好きなのですが、
アンヌ=ルイ・ジロデ・ド・ルシー=トリオゾン
《戴冠式の正装のナポレオン1世の肖像》
新しくて整い過ぎてるとも思い、また、なんか観音様を彷彿してしまいました。

アントワーヌ=ジャン・グロ 
《アルコレ橋のボナパルト(1796年11月17日)》 1796年 
習作だそうです。なので、フランス国旗が少しボケてるようです、どうだろう。

ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル 《フランス王太子、オルレアン公フェルディナン=フィリップ・ド・ブルボン=オルレアンの肖像》 1842年 

幕間劇1
持ち運ばれ、拡散する肖像
ー古代の硬貨から17世紀ムガル朝インドのミニチェールまで
インド絵画、トーハクのアジア館の地下にもよく出てますが、とても不思議な印象です。
何よりこれを持ち運んでいたと、広いインドならではなのか?それと緑の木々も背景に、これもインドならではか?
《肖像画と絵画のアルバム(画帖)》
右 皇帝アフマド・シャーの肖像
左 皇帝ムハマド・シャーの肖像


2b 権威ある女性
セーヴル王立磁器製作所(ルイ=シモン・ボワゾの原作に基づく) 《フランス王妃 マリー=アントワネットの胸像》 1782年 
これは、一目でセーブルだろうな、と思われましたが、やはりそうなんですね。
女性の権力、やはり、アントワネットですか。

2c 精神の権威ー詩人、文筆家、哲学者
ここは再び古代、その作品から、彷彿される雰囲気を巧みに表しているのは、ここでも強調されていました。

幕間劇Ⅱ
持ち運ばれ、拡散する肖像
ーフランス国王ルイ18世のミニチュールコレクション
これは、混んでて見逃した方も、狭い暗い小ささめな部屋に、また、嗅ぎタバコものもちらほらあり、そんな時代だったのですね。それが意外に来場者様に人気で、人だかりになってました。

第3章
コードとモード
模範と流行、近代以降の相対立する、価値観、芸術文化で重きをおくべし所かなと。
騎馬姿を描くが、王家の威厳はなく、乗馬を嗜む貴族と、そんな感じになってたようです。

3a 男性の肖像ー伝統と刷新
ここでは、一点
《肖像》、通称《フェズリエ爺さん》
ルーブルの守衛と言われてもいるが、正体は不明、これとても味がありました。

3b 女性の肖像ー伝統と刷新
ここに来て女性の肖像画が

ナポレオン以降は盛り上がりがないなと、思ってたら、
ヴェロネーゼ 《女性の肖像》、通称《美しきナーニ》 1560年頃 
あなたは、だれ?
と言われていて、正体はわからないんだとか。あなたの名前はナーニ?、すみません。
ナーニ家に長くあったことからの通称でしたね。

そして、私の大好きな
ヴィジェ・ル・ブラン
《エカチェリーナ・ヴァリシェヴナ・スカヴロンスキー伯爵夫人(1761-1829)》の肖像》
また、その前に彼女の頭部の石膏彫刻が😄見惚れました。

レンブラント・ハルメンスゾーン・ファン・レイン 《ヴィーナスとキューピッド》 1657年頃 
久しぶりにレンブラント見た気がしました。
これは内縁の妻とその子ども。身近な人を描くようになってきた様です。

3c 子どもと家族
フランシスコ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス 《第2代メングラーナ男爵、ルイス・マリア・デ・シストゥエ・イ・マルティネスの肖像》 1791年 
ゴヤ、犬連れているので、ちょっとニヤニヤしちゃいました。

3d 自己に向き合う芸術家ー啓蒙の世紀の3つの例
フランツ・クサファー・メッサーシュミット 《性格表現の頭像》 1771-1783年の間
これは鬱で入院治療していたご本人の顔、今にも動きそうでした。

エピローグ
アルチンボルド―肖像の遊びと変容
ジュゼッペ・アルチンボルド 《春》 1573年 
かなり人のリアルな顔に近いイメージの作品でした。

ゴヤ、またラストはアルチンボルドと、見逃せない作品もあるにはあるものの、ちょっと地味な感じもしましたが、まあ、それなりに楽しめましたけれど、物足りなさも少々。

帰宅して、私のバイブルのルーブル美術館現地で購入した日本語版ガイドで、出品をちえすると、《美しきナーニ》は掲載されていました。

そして、ちらりと見える半券サービスは、東京ミッドタウンのBodegaSantaRita、グラスワイン無料でした。リーズナブルで味も良かったです。

国立新美術館
~9月3日