展覧会に行って来ました。


春の江戸絵画まつり、その企画で3月から府中市美術館では、企画展が開催されます。
今回初めて、この企画展に伺いました。
森狙仙の優れた動物の写実からはじまり、
花鳥図、風景図、とここまでは良いのですが、ちょっと癖のある人物画、
そして江戸の円山応挙と司馬江漢の作品から構成されてます。二人の生み出した、江戸以前には無い、新たな絵画の手法と魅力を探ります。
円山応挙の緻密な動物や魚の描きかた、司馬江漢の西洋絵画の日本への導入など。

さて見て行きましょう。

1章   「リアル」の力
ずばり、今でも通用する、写実した絵画が並びます。
これは直ぐに馴染めました。

森狙仙 群獣図巻 (部分)

原在中 鶏頭花図 敦賀市立博物館 後期
これは、肖像画のようです。
もしかして、写実に見えて、人物の存在もあるのかも、勝手ながら思いました。

長谷川雪堤 浅草雪景図 立花家史料館 後期
ここまで描けたら、もう日本の西洋画は大丈夫でしょうと思いました。


2章   「リアル」から生まれる思わぬ表現
これは写実を追及すると、何だか少し奇妙になってしまった絵画となります。

祇園井特 美人図 後期
確かに部分は正確に写実してますが、バランスが悪い。
これは少なくとも自室とかには置きたくないです。
どうしてこうなったのでしょうか?
今で言うと盛りすぎ?
それとも他に何か狙いがあったのですか、と尋ねたくなりました。

太田洞玉 神農図 府中市美術館 後期
オランダの絵画のようです。

葛蛇玉 鯉図 後期
これは十分写実だとも見えますが、よく見ると水の中なのか、飛び出てるのか、わかりません。
日本の絵画は、バランス悪いのかしら。

片山楊谷 虎図 後期
一言、猫だと思いました。

3章   ところで、「これもリアル?」

小泉斐 鮎図 後期
鮎が口を開け、振り返る、てあり得る?

本多猗蘭 蓮鷺図 後期
蓮が大き過ぎです。
鷺が蟻、せいぜいバッタのようです。

東燕斎寛志 美人嗔焔図 熊本県立美術館(今西コレクション) 後期
嗔焔とは、腹立てること、障子に写るは男女の影、嫉妬しているように見えました。

島田元旦 紫式部清少納言図 鳥取県立博物館寄託 後期
そうそう、天井が無いのですね、紫式部清少納言関係の絵画。これも変と言えば変です。

4章   従来の「描き方」や「美意識」との対立や調和
①「文人画」と「リアル」ー朴訥に描くこと
淵上旭江 真景図帖 府中市美術館 後期
青緑山水、中国風です。色付きの山水図。

忍頂寺静村 菊に猫図 前期 後期
意図的に猫線ぎこちない、技巧に走らないのが文人か。

②研ぎ澄まされた技術
渡辺崋山 市河米庵像(重要文化財) 京都国立博物館 後期
顔だけ写真のようでした。
着物は軽く描かれてました。

5章   二人の創作者   司馬江漢と円山応挙
創作者、リアルのご本家の二人で締めくくりです。

司馬江漢 円窓唐美人図 府中市美術館 前期 後期
円い窓、現代でもなさそうな。
そして壁。
この辺りは日本画ならば空白。
向こうに見えるのは、モナリザなどイタリア絵画の背景に見えるようなもの。
まず、ここから日本の西洋画は始まります。

ここには無いのですが、司馬江漢はピュアな日本画も描いており、これだけでも良かったが、目立たなかったのでしょうね。
司馬江漢 生花図 府中市美術館 前期 後期
これが日本画では、実に秀逸でした。


同 犬に木蓮図 府中市美術館寄託 後期
木蓮が実にリアルでした。
同 秋景双鳩図 府中市美術館寄託 前期 後期
空を描いているのが、日本画には無いです。
同 相州江之島児淵図 府中市美術館 後期
岩の上でお茶を飲んでいる様子が目に留まりました。

円山応挙 

雪中残柿猿図 後期
柿の取り合いです。
時雨狗子図 府中市美術館 前期 後期
足跡見て喜ぶ子犬。これが可愛い。

芭蕉鶏図襖 白鶴美術館 後期
芭蕉の葉が折れ曲がりがリアル、鶏の親子も癒されます。

円山応挙 鯉魚図 前期 後期
パンフレットの作品。
ここでは垂れ幕にて紹介。
これが他を圧倒する上手さ。
氷を破って飛び上がる構図もあります。
これら筆で描けるの?
とまで思いました。


円山応挙 猛虎図 摘水軒記念文化振興財団(府中市美術館寄託) 前期 後期
これ、一番虎としてうまく描けてるのは、縞です。
但し、虎を見てなくて皮を見て描いたようです。それもこの時代の制作の基本。
見てなくても描くと言うことも、このリアル画の基本かなと。

全てのステージで、試行錯誤、葛藤と創作への思いが出てる展覧会でした。

府中市美術館
~5月6日