展覧会に行ってきました。

「國華」、何かの展覧会の際に、その存在を知りました。世界で一番古く現存する美術雑誌。1889年に岡倉天心が中心となり創刊。
「美術ハ國ノ菁華ナリ」から命名。その130周年の記念展覧会。その刊行を経営する朝日新聞は140周年という事もあるような。なので少し硬い感じもしました。

さて見て行きましょう。

第1章 祈りをつなぐ
テーマ 1 一木の祈り
天平勝宝5年(753)、中国の鑑真が仏師を伴い日本にやって来て日本の仏像づくりが始まります。石ではなく、日本では木材、それも一本作り、楠ではなくて、萱を使う。
薬師如来立像 1 軀 奈良~平安時代 8 ~ 9 世紀 奈良・元興寺 は、背中くりぬきで割れないようにしているのが見られます。
その後の仏像の変遷が追える代表例が並びます。表情が和らぎ落ち着き、和様になって行きます。
展示方法は、360度どこからも拝めるようなのは、このところの定番化してるかなと思いました。

伝薬師如来立像 1 軀 奈良時代 8 世紀 奈良・唐招提寺

十一面観音菩薩立像 1 軀 奈良時代 8 世紀 大阪・道明寺
中国から渡って来た作品の写しで、こちら小型です。

テーマ 2 祈る普賢
祈りという面からやはり合掌する姿の普賢菩薩を。だんだん女性的になって行くように見えました。これも諸説あるポイントです。

普賢菩薩像 1幅 平安時代 12 世紀 東京国立博物館 
日本最初の絵画の国宝
撫で肩で、顔が下膨れになっている像もありますが、まずはこれが典型なのなかなと、思いました。

普賢菩薩騎象像 1 軀 平安時代 12 世紀 東京・大倉集古館
穏やかさは前のテーマからの流れで。

普賢十羅刹女像がいくつかありますが、十羅刹女は天女が日本で姿を変えたもの。
当時の女性の信仰心の表れなのか、まだまだ弱者であったことからなのですかね。
見てると、優雅な感じが伝わりますが、真実はどうであったのだろうか。

また、法華経、
平家納経のうち観普賢経 33 巻のうち1巻 平安時代 長寛 2 年(1164) 広島・嚴島神社 
もあり、国宝を眺める事が出来ました。楽器後期は扇面法華経冊子になります。

テーマ 3 祖師に祈る
ずばり聖徳太子です。
仏教の祖師というのは日本では聖徳太子なのですね。その生涯を絵にした作品が並びます。とても神々しい雰囲気です。

聖徳太子絵伝 秦致貞筆 10 面 平安時代 延久元年(1069) 東京国立博物館 
初見です。非常に掠れて見にくいのですが、これも国宝です。

聖徳太子絵伝 遠江法橋筆 6 幅 鎌倉時代 元亨 3 年(1323) 大阪・四天王寺 
こちらはオレンジの着物が太子の印です。

ここまで、国宝と重文でほぼ占められてました。やはり國華に取り上げられる、のと連動するのですかね。
奈良時代から江戸時代まで流れで構成。
室町から安土桃山はやはり動乱の時代だからな、出品はありません。

第2章 巨匠のつながり
時代は室町、江戸が中心、むしろ、三大巨匠とでも言える、雪舟、宗達と若冲の絵画で、メインのひとつかと。 また、彼らが模倣した作品も並び、流れを感じられました。

テーマ4 雪舟と中国
①風景をつなぐ
②玉㵎をつなぐ
あれ、①は何だったのか、はい、後期のメインの一つ、天橋立図 雪舟等楊筆 1幅 室町時代 15世紀 京都国立博物館 の為なので、全く何もありません。昨年の京博の国宝展で見てるので、ここはよしとしよう。後期ももちろん行く予定だし。
代わりに、
破墨山水図 雪舟等楊筆・自序 1幅 室町時代 明応 4 年(1495) 東京国立博物館 
を見ましたが、実にシンプル。破墨とは、跳ねた墨、跳ねで描いたものです。
また、
倣玉㵎山水図 雪舟等楊筆 1幅 室町時代 15世紀 岡山県立美術館 
中国絵画の最高峰の南宋からの元時代の玉㵎を模倣した作品もありました。でも日本に合わせた進化が見られます。唐物最高の時代ならではですかね。お陰で日本の絵画が進化したのだろうと思いました。

③本場の水墨をつなぐ
ここも、後期がメイン、四季山水図 雪舟等楊筆 4 幅のうち2 幅 室町時代 15世紀 東京国立博物館  が出ます。

④「 和 」「 漢 」をつなぐ
こちらは前期のみ。
四季花鳥図屛風 (右隻)雪舟等楊筆 6曲1双 室町時代 15世紀 京都国立博物館 

大きな屏風で見応えありました。

後期には最近雪舟作品とされた
倣夏珪山水図 雪舟等楊筆 1幅 室町時代 15世紀 山口県立美術館寄託 
が見られます、楽しみ。

テーマ 5 宗達と古典
古典に学ぶ姿勢、これもアート作品には欠かせないもの。

扇面散屛風 俵屋宗達筆 8曲1双 江戸時代 17 世紀 宮内庁三の丸尚蔵館 
これは俵屋宗達が扇屋であったことから、のもの。扇には平時物語絵巻からの絵を描いてあたのです。古典学習の成果と言うか。
これも忘れがちな事実かなと思いました。

テーマ 6 若冲と模倣
若冲は鶏、ここでは鶴についても取り上げています。
 ①鶴の変容
松上双鶴図(日下高声) 陳伯冲筆 1幅 中国・明時代 16 世紀 京都・大雲院
さて、この絵が若冲が描くと

鳴鶴図 文正筆 2 幅 中国・元~明時代 14 世紀 京都・相国寺
これらも模写の原本。

白鶴図 伊藤若冲筆 2 幅 江戸時代 18 世紀
このようになります。
羽の線が細かくなります。
また、原本より面白みがあります。

波濤飛鶴図 狩野探幽筆 1幅 江戸時代 承応 3 年(1654) 京都国立博物館
狩野探幽も描いております。

②若冲の鶏
こちらは外部ではなく、自らの初期作品から晩年に描く事例、これもよく見られる話です。
雪梅雄鶏図 伊藤若冲筆 1幅 江戸時代 18 世紀 京都・両足院

仙人掌群鶏図襖 伊藤若冲筆 6 面 江戸時代 18 世紀 大阪・西福寺
仙人掌でさぼてん。
尾羽がCの字、と盛んに書いてありました。


鶏図押絵貼屛風 伊藤若冲筆 6曲1双 江戸時代 18 世紀 京都・細見美術館 右隻
つがいの鶏、とてもユーモラス。

第3章 古典文学につながる
テーマ 7 伊勢物語
絵画もありますが、やはりこちら

八橋蒔絵螺鈿硯箱 尾形光琳作 1合 江戸時代 18 世紀 東京国立博物館 
橋桁が帯のようですが、他は実に美しい。

打掛 白綸子地流水燕子花模様 1領 江戸時代 19 世紀 神奈川・女子美術大学美術館 ①②③
こんな八橋図はどうですか

テーマ 8 源氏物語

初音蒔絵火取母 1口 室町時代 15世紀 神奈川・東慶寺

初音蒔絵硯箱(千代姫婚礼調度のうち) 幸阿弥長重作 1合 江戸時代 17 世紀 愛知・徳川美術館 
国宝のこれに尽きます。家光の長女の嫁入り道具。

第4章 つながるモチーフ/イメージ
テーマ 9 山水をつなぐ
 ①松林
松林図屛風 長谷川等伯筆 6曲1双 安土桃山時代 16 世紀 東京国立博物館 
 正月の博物館で初詣の一昨年の公開の際のものです。
やはりこれいつ見ても吸い込まれそうです。



②富士三保松原
後期です。

③吉野山
豊公吉野花見図屛風 6曲1双 江戸時代 17 世紀 京都・細見美術館 
これの秀吉見てると、我々と同じく桜の花が好きだったのかな、と思えてきました。

テーマ 10 花鳥をつなぐ
①蓮
中国の蓮池水禽図が並びます。着色画に対して仏画として描かれていた。
白蓮図 酒井抱一筆 1幅 江戸時代 19 世紀 京都・細見美術館
今回唯一の酒井抱一作品。
もっと合っても良いのかもと思いました。

②雀
ここはよく覚えてません。
すみません。

テーマ 11 人物をつなぐ
①戸をたたく男
紫式部日記絵巻 1巻 鎌倉時代 13 世紀 
藤原道長が浮気して、扉叩いていると、謝るのか、言い訳するのか。
梓弓図 岩佐又兵衛筆 1幅 江戸時代 17 世紀 文化庁 
伊勢物語、女の家に行くと出てきたのは、違う男でした。
前期のみですが、これ、何で取り上げたのだろうか、説明聞いてみたいです。
 
②縁先の美人
後期です。

③交わされる視線、注がれる視線
洛中洛外図屛風(舟木本) 岩佐又兵衛筆 6曲1双 江戸時代 17 世紀 東京国立博物館
国宝、洛中洛外図は多数あるが、やはりこれですね、ナンバーワンは。
実はこれ、細やかに人々や風俗が描かれて、後の浮世絵などに使われて行ったようです。

そして、
見返り美人図 菱川師宣筆 1幅 江戸時代 17 世紀 東京国立博物館
なかなかトーハクでも見られませんが、今回はどうしても見たかった作品。
振り返ってますね、また着物の文様や捻りかたも格別。


これが、洛中洛外図の中にも見られる、会場出たとこに、こんなのがありました。
あ!
お、
う、
これで全て
ちなみにこれは貼り付けて問題にしたものです。

テーマ 12 古今をつなぐ
①江戸の坂、東京の坂
くだんうしがふち 葛飾北斎筆 1枚 江戸時代 19 世紀 東京国立博物館 

道路と土手と塀(切通之写生) 岸田劉生筆 1面 大正4 年(1915) 東京国立近代美術館
どちらもデフォルメ、ここまで急では無いですね。

②寒山としての麗子
130 野童女 岸田劉生筆 1面 大正 11年(1922) 神奈川県立近代美術館寄託
麗子像は何故こうなったのか、

寒山拾得図 伝顔輝筆 2 幅 中国・元時代 14 世紀 東京国立博物館
実はこの絵を見てインスピレーションを得たと。言われてみると似てますな。
あ、これから麗子みたら、寒山拾得を思い出そう。

参考 『國華』創刊号~ 3号
今回は山下祐二先生所蔵のもの。

これは地味に人気な展覧会かなと思いました。
後期、も楽しみです。

東京国立博物館 平成館
~5月27日