展覧会に行って参りました。
名前はもちろん知っていて、作品は見たことあるが、さてどんな画家なのか?
仙人と言われていたのもわかる気がしました。そのイメージ、1章は分かるが、後は3章のラスト位だろうか、ちょっと違いました。
熊谷守一 撮影 日本経済新聞社
ちなみに、来年熊谷守一主役の映画が公開されるようです。
主役は熊谷好きの山崎務さん。
晩年のある1日の様子を捉えたものだが、その頃は家を出ずに、画壇の仙人と呼ばれていたようです。
97歳まで生きられて、まさにそれに相応しいところもあったような。
但し、父母を若い頃亡くして、一度故郷に戻り木材の仕事されるようです。
さて、最初の辺りで説明されてますが、光に拘られた画家だったのですね、それも逆光に。
たまたま先週のテレ東「美の巨人たち」でも作品取り上げられていて、帰宅後に復習になりましたが、あの赤い線の意味がその象徴だったことが、説明で分かりました。
また、いくつかの作品も記憶にあり、ほれらが解説されてて、蟻や暗闇に蝋燭の肖像画なども。
作品は小さめながら、ラストまで集中して見られました。
はい、猫好きなのですね、守一さん
そうそう、岐阜生まれ、作品も岐阜県立美術館より出品されてます。
また青木繁と藝大では同期なのです。
さて、
目録には無いのですが、3つの章を紹介
1章 闇の守一
1900-1910年代
意外なのは、光と闇を描かれてます。
更には逆光で。
カメラで撮ることはありますが、それを絵画にとは。
蝋燭(ローソク)
昼間に雨戸を締め切り、そして描いたとか。
自画像を暗闇で、と言うのはとても不思議です。
実は、ここに更に驚く作品が
轢死
岐阜県立美術館
なんと夜に事故にあって亡くなった女性を描いたもの。どんな絵だろうと近づくと、なんとかなり黒に近い焦げ茶色。絵の具の関係で変色が進んでしまったそうな。
目を凝らしたり、角度変えてもよく見えない轢死体。
しかしこれが鮮やかならば、かなり見るの辛いかも。
実はこの作品、他にも連作とは言えないが、横に伏せた姿、そして、それを立てるとなんと立って見えると言う、これが熊谷の作品の特徴。
サインも横向きに書かれている作品もあり、その縦横を意識したものだと分かります。
2章 守一を探す守一
1920-1950年代
章の名前からも、迷いの時期というか、模索時期だったようです。
まず、厚塗り
40代の特徴
人物
豊島区立熊谷守一美術館
このあと、裸 埼玉県立近代美術館
キュヴイズムですわ。
渓流
岐阜県立美術館
これは長良川だと言い切りたい。
陽の死んだ日
大原美術館
自宅で亡くしてしまった息子をせめて生きた証しにと必死で描写して、ふと筆を止めた、何て事をしてるのだろうと。モネが亡くしたカミーュ夫人を描いた作品を思い出して、胸が痛くなりました。
このあと、裸婦の作品が。これらが寝た姿で、前の轢死を思い出してしまいます。
そこから少し趣向変えた、点描、逆光の裸婦へ。
夜の裸
岐阜県立美術館
谷ヶ岳
茨城県立美術館
何と左右対称に裸婦と山岳を描いてます。
これはなんという発想か。
そして、輪郭線が赤色。こうすることで、絵を引き立てることに気がつかれたような。
夜の裸
岐阜県立美術館
谷ヶ岳
茨城県立美術館
何と左右対称に裸婦と山岳を描いてます。
これはなんという発想か。
そして、輪郭線が赤色。こうすることで、絵を引き立てることに気がつかれたような。
伸餅
愛知県美術館 木村定三コレクション
包丁が見えます。そう角餅は名古屋、こうして切るのだと。
後向裸婦
岐阜県美術館寄託
萬の像
岐阜県美術館寄託
これがサインが横向き
子牛
愛知県美術館 木村定三コレクション
実はこれら、同じモチーフが繰り返して登場します。これが見てて疲れず、飽きもしない。きっと工夫されているんだろうな、と彼は科学的な探求していて、何か仕込んでるんだろうなと、とそれは見つけられませんでした。仙人であり、学者肌、恐れ入ります
他にも植物作品も多いようです。
もちろん動物、子牛、ネコやカエルも。
いわゆるゆるかわ系、これは現代にも受けて来てるそうです。
朝の日輪
愛知県美術館 木村定三コレクション
3章 守一になった守一
1950-1970年代
名画が、
ヤキバノカエリ
岐阜県美術館
このように淡々とした中に強い寂しさを伝える、深い悲しみが余計に強まるようで。
この作品は見たかった。
鬼百合に揚羽蝶
東京国立近代美術館
稚魚
天童市美術館
雨滴
愛知県美術館 木村定三コレクション
そして、
猫
愛知県美術館 木村定三コレクション
赤い線がとても効果的ですね。
赤いと思わせないというか。
宵月
佐助文庫準備室
ほとばしる熱気でもなく。
連作でない類似の構図の小さめの作品、資料と合わせて200点、全く飽きず、疲れず見られました。
あまり知らなかったモリさん、とても良かったです。
国立近代美術館