滋賀県長浜市の大塚産業マテリアル株式会社(従業員117人、資本金2,000万円)は、住宅内装材や自動車部品を製造する企業である。
同社は、1700年初頭に蚊帳を製造する企業として設立された。
大正時代から第2次世界大戦末期までは、様々な物資が不足する中で、厳しい環境下でも研究開発を怠らず、絹で羊毛代用品や真綿の量産技術の開発製造を行うなど、その時代に適応した事業展開を実現してきた。
戦後もしばらくは蚊帳製造を続けたが、1950年代半ばには、国内の住宅事業が変化し、洋風建築が普及することで蚊帳需要が減少することが予想された。
こうした中、同社は、自社の技術を活かせる新たな事業展開を模索し、蚊帳生地を貼った住宅内装用壁紙を開発し、ウォールペーパーとして欧米諸国に広く輸出した。
1960年代半ばには、自動車の普及を見越し、ポリエチレン・フィルム・ヤーン織物を開発し、車のシートのバネ受け材や、さらにその後日本初となるウレタン一体発泡ヘッドレストを大手メーカーと共同開発してきた。
同社は、時代の変化の中で、主力製品の販売力が落ち込んでいく中でも、研究開発や新製品開発を怠らず、常に顧客や消費者のニーズを捉えて、創業時の蚊帳製造から住宅内装用壁紙や自動車内装材等の開発・生産へと時代の変化に応じて業態転換を行ってきており、創業300年の老舗企業として今日も新たな歴史を刻んでいる。
~寸評~
老舗企業が長年にわたって存続できた理由は本事例に集約されている。
時代の変化を読み取るとともに顧客の声を真摯に聞き入れ、これら外部環境に適合させるために自社のコア技術を磨き続けてきたからに他ならない。
ダーウィンの進化論が示唆するごとく、企業も人も変化するものだけが生き残るのだ。
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