石川県金沢市の高桑美術印刷株式会社(従業員290名、資本金1億6,800万円)は、清酒のラベル印刷を行う企業である。
同社は、1912年に名刺や伝票を印刷する会社として設立された。戦後、世間ではまだ珍しかったカラー印刷に取り組み始め、地元の清酒メーカーのラベルをカラー印刷で手掛けた。
多色刷りで繊細かつ特殊な技術を要する清酒ラベルに可能性を確信し、本格的に全国の清酒メーカーへ営業を行い、受注を獲得していった。
また、1950年代半ばには、日本で初めて清酒ラベルに写真製版を導入し、同業他社との差別化を図った。
日本酒の生産・消費量は1970年代前半にピークを迎え、同70年代後半には地方の銘酒が注目を浴びるようになった。
こうした中で、個性ある地方の銘酒をPRするために、単なるラベル印刷だけでなく、デザイン性と企画性を高め、瓶の包装紙や外箱、チラシ、パンフレット等を一括して企画・受注・印刷することで販売促進にもつながる事業を始めた。
その後、日本酒の生産・消費量が減少する中で、日本酒で培ってきたノウハウを他分野にも応用して、総合的なPRを担う事業として、1997年には、クリエイティブ事業を立ち上げ、WEBや映像コンテンツ等の印刷以外の分野にも進出し、総合的な商品のPR、パッケージング会社へと展開した。
こうした取組を重ねて、同社は、清酒瓶の製造から販売までを総合的に企画提案する企業に成長し、清酒ラベル印刷の国内シェアも約3割とトップになり、最近では、国産ワインや焼酎等のラベル印刷も手掛けている。
~寸評~
狭い標的市場でナンバーワンになれ!オンリーワンの文言が輝きを放つための必須条件だと幾度となく教えられた。
本事例は、印刷の単的な事業ドメインから顧客の価値へ注目することによって、印刷を基軸とした販促サービスを包括提供する付加価値を創り出したのだ。
「誠意、努力、先見性、信念」のキーワードを紐解くと、脈々と築いてきた同社の差別化のストーリーが見えてくるはずだ。

