長野県千曲市の森川産業株式会社(従業員250人、資本金2億3,500万円)は、自動車及び自動車関連の素加工一貫とした鋳造部品、環境機器、精密機械及び一般産業用機械の設計・製作、冷凍冷房用バルブの設計、製造を行う企業である。
同社は、高度な精密鋳造技術を活かして、高精度の自動車部品だけでなく、ミクロン単位の精度を必要とするプリント基板製造関連の機械や、VOC回収装置等の環境機器等も製造し、自動車から環境分野まで幅広い産業分野で活躍している。
創業当初は、軽合金鋳造を行っていたが、1949年頃から、鋳鉄鋳造の精密鋳造品の製造を開始し、1952年に本田技研工業株式会社と取引を開始した。
その後、いち早い電気炉の導入や新しい鋳造法の開発等により、生産技術の能力を高めるとともに自動車関連以外の分野にも進出した。
特に同社が開発した砂と発泡スチロールを利用した消失模型鋳造法(ロストフォームプロセス)は、通常の鋳造では困難な複雑な形状の部品にも対応できることもあり、世界的にも高い評価を受けている。
また、本田技研工業株式会社とは、エンジンやブレーキ関係部品を中心に取引を行っており、その品質・技術力は高い信頼を得ている。
一方、プリントの多層基板に基準穴を加工するX線基準穴開け機は、国内トップレベルの性能を有し、国内外多数の基板製造企業で利用されているほか、1961年に「森川バルブ」でスタートした冷凍冷蔵バルブについても国内トップシェアを誇っている。
~寸評~
新たな市場開拓と製品開発による成長戦略を描くためには、コア技術が閾値を超えていく「突出のドライブ」が必要となる。
本事例は、鋳造法に特化して技術力を磨くとともに、異分野の業界の顧客を開拓し続けた結果、他社の追随を許さない匠の技術を手に入れた。
これまでの成長を導いてきた根幹には、経営層の迅速な意思決定が大きな一要因であることに間違いはない。

