「運」ということ | とおりぬけ日記

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淡々記録57回目。
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いつのまにやら術後3年を過ぎていました。
ガンの場合、よく「5年生存率」という言葉が使われます。
軟骨肉腫の場合、最初に見つかったときに
肺転移を起こしていなければ90%と言われています。
主治医の先生にも「軟骨肉腫はあまり予後が良くない」と
言われており、ここ数年以内に再発しても不思議ではないことを
常に頭に入れています。
来年の今頃、「余命は後半年です」と言われているかもしれません。

軟骨肉腫は、前にも書いたように百万人に数人という
非常にまれな病気です。
その病気と闘い、今に至るわけですが「運」というものを
よく考えるようになりました。
予防法もない、発症率も低いこんな病気。
病気を告知され、足を切断することになったときは、
「私が何をしたっていうんだろう」と嘆きました。
一生懸命生きてきたのに…。運悪すぎ…。
でも、退院後大きな出会いがたくさんありました。
アメリカにまで渡ってスピーチもできました。
それを思うと、私は運がいいと思うのです。
数年前、ひきこもりだった私が勇気を出して精神科デイケアに
チャレンジしていたこと。
退院した後、大きな挑戦をできる場があったこと。
もちろん私も努力しましたが、努力が報われる場があった幸運に
私は感謝せずにいられません。

私の大好きな「銀河鉄道の夜」にこんな台詞が出てきます。
「何が幸せかわからないです。本当にどんなつらいことでも
それが正しい道を進む中でのできごとなら、峠の上りも下りも
みんな本当の幸福に近付く一足ずつですから。」
私が体験したことは確かに大きな上り坂でした。
でも「幸せ」へと向かう坂道でした。
それに気がつくことができただけでも、私は運が良かったと
思うのです。