武内は確かに
「主任はドアを叩いた」
と言った。
しかし、小山部長に報告する時には、
主任から手を挙げられたと言っている。
おかしくね??
ドアを叩いた筈の主任はさぞビックリしたことでしょう。
まさか武内とドアが連動しているとは!
ドアを叩くと武内が痛みを感じるって言う謎の説明をしていることに、
本人は気付いているのだろうか(笑)
確かに、武内を実際に殴らなかったとしても、
怒りに任せてドアを殴るなんてことは、決して褒められたことではない。
しかし、俺の中ではギリセーフのラインである。
むしろ、散々ムカつく顔で挑発されて、
よくドアで我慢したなと感心する。
「主任はドアを殴ったんですよね?」
俺は思わず武内に聞いていた。
それまで同情してくれと言う口ぶりで話していた武内が、
“気付かれた”と言うバツの悪い表情に変わった。
「それは受ける側の取り方だと思います。」
苦し紛れに武内が言った。
「いやいや、そこに暴力があったか、なかったかって言うことは
結構大事なことだと思いますけど。」
俺は正直に自分の思ったことを口にした。
「でも、パワハラには変わりないですよね?」
出た!パワハラ押し!
「いやぁ、パワハラって“理不尽な理由”が根本にあると思うんですよね。
今回の件は、武内さんが主任を無視して、主任の意に反した仕事をしたから
主任の怒りを買ったわけで。。。」
被害者の筈の武内を擁護しない俺の姿勢に怒りを覚えたのか、
武内は不満気な顔をした。
「でも、ドアを思い切り叩かれて
脅されたことは事実ですよ!」
「でも武内さんが主任から直接手を挙げられてないことも事実ですよね?」
「……」
反論できない様子の武内。
そして
「まーくんさんは弱い者を守ろうって気持ちが無い人なんですね。」
と言った。
つづく。