まるちゃんのおばあさんは
もう10年以上前から
この地域の猫の手術 保護を
ひとりでされて来た方です
新しい猫が現れると
ご飯を置き
慣れてきたら洗濯ネットで捕まえ
病院へ連れて行き手術をする
市の補助金などにも頼らず
費用はご自分で
全額負担されてきたそうです
おばあさんとの出会いは
6年前でした
数年に渡り
お付き合いは途絶えていましたが
去年
地域のTNRの際にご協力いただいてから
またお付き合いが始まり
よくご連絡をくださる様になりました
6月に捕獲した
ママ猫しろちゃんと仔猫たちも
おばあさんからのご相談でした
お話しする機会も増え
この世の中には
いらない命はひとつもありません
おばあさんから
何度もお聞きした言葉です
そして
おばあさんは
こんな事もお話になりました
猫はね
家の中に閉じ込めてはいけないんです
きちんと手術をして
地域で可愛がられながら
行きたい所に行って暮らすのが
私はいいと思っています
猫はね
私達の知らない所で
人間を守ってくれているんですよ
だからね
いつもうちの猫たちに言うんですよ
庭にいたければいていいし
家に入りたければ入ればいい
他に行きたい所があるなら
自由に行きなさいって
そのお話を
ボランティアさんと一緒に
お聞きした時
ボランティアさんが
でも外で暮らすのは危険ですよね
と
やんわりおっしゃったのですが
おばあさんには
私達にはわからない
これまでの色々な経験から
猫に対する強い思いがおありで
そしてその思いは
何があっても揺るがない
そう感じました
今回
おばあさんが猫ちゃんを保護されて
ご相談をいただき
昨日何とか
病院に連れて行くことが出来ました
病院に行くということは
猫ちゃんの状態にもよりますが
人馴れしていない仔なので
鎮静をかけられる状態であれば
鎮静をかけていただき
出来うる検査をしたのちに
処置をしていただきたい
そう思ってはいましたが
保護されたのはおばあさん
お世話するのもおばあさん
私は口を挟むべきではない
そう思い
状況を見守っていました
触診の結果わかったことは
骨折はしていないので
元気がなく普通に歩けないのは
脱水が原因かもしれないこと
猫ちゃんは
未去勢の男の子であること
口臭があるので
口内炎が疑われること
ガリガリに痩せているし
体の汚れ具合からして
長いこと外にいた可能性があること
内臓の疾患や感染症など
出来れば検査をしたいけれど
今の状態だと
衰弱が激しいので
鎮静をかけることはおすすめ出来ません
ということでした
猫ちゃんは
暴れることもなく
意外とおとなしい
先生
点滴をお願いします

そう言いたかった
けれど
おばあさんは
このまま今日は連れて帰ります
ご飯やお水は飲めますので
もっと元気になったら
また連れて来ます
と おっしゃいました
元気になったら?
本当に元気になればいいけれど
私は
とうとう
先生に聞いてしまいました
何もしなくて
この仔大丈夫なんでしょうか
先生は
まあ 出来ることなら
点滴くらいはしたい所なんですけれど…
どうされますか?
おばあさんは
昨日シャーってした時に
歯を見たんですけどね
なんか若そうだし
大丈夫でしょう
ノミダニのお薬も
してもらわなくていいんですか? ← 私
ええ 大丈夫です ← おばあさん
わかりました ← 私
帰り際 先生に
首輪を外していただけますかと
お願いし
外してもらった首輪です
体も首輪もぼろぼろで
いったいこの猫ちゃんは
今まで
どこでどんな暮らしをしていたのか
あの夜
おばあさんに助けてもらわなかったら
雨に打たれて
朝には亡くなっていたかもしれません
点滴
してあげたかったな
おばあさんのお世話については
ホカロンを入れてあげたり
きれいなお水も置いてあって
全く心配はしていません
心配なのは
先生も言ってましたが
あとは
どこまで持ち直せるか
それだけです
おばあさん宅に帰り着き
猫ちゃんをケージに戻して
失礼しようとした時
おばあさんは言いました
この仔ね
片耳が半分折れちゃってるでしょ
だから
名前はミミちゃんにしたんですよ
ご心配をおかけしてごめんなさいね
様子はまたお知らせしますから
ありがとうございました
ミミちゃん
おばあさんに呼ばれたら
またすぐに飛んで来るからね
だから
絶対元気になるんだよ



