サスケ
初めて会ったのは
ちょうど去年の今頃だったね
きゅーちゃん( 現在ははっちゃん )を
捕まえるために置いたご飯を
時々だけど
食べに来る様になったサスケは
去年10月
捕獲器に入ってくれた時
さくら耳である事がわかった
誰がサスケを
地域猫にしてくれたのかは
今もわからない
出会った頃は
痩せていて
眼光鋭く逃げ足も速かった
すばしっこくて
まるで
忍者
みたいだったね
忍者
みたいだったねだから
名前はサスケ
最初の頃は
ご飯だけ食べたら
さっさとどこかへ消えて行った
帰って行くサスケに
明日も来てねーって言ったら
振り向きもせずに
さらにスピードアップして
逃げて行ったっけ
だけど
3月の終わり頃から
サスケがすぐには帰らなくなった
呼んだら
振り向いてくれる様になって
走って来てくれる様にもなった
こちらから近づけば逃げてしまうけど
段々と距離が縮んでいく事が
嬉しかったよ
だけど
距離が縮めば縮むほど
どこへ帰るのか
寝る場所はあるのか
雨宿りは出来るのか
心配で仕方なくなってしまった
だからサスケ
もう一度だけ
捕獲器に入ってくれないかな
サスケを迎えるお部屋の準備なら
もう出来てるから
ただ
サスケよりも先に来る事になった
お預かり中のちびちび2人がネ
今も毎日
ぴーぴーおんおん
大音量で鳴いてるから

しょっ中シャーも言う

相部屋っていうのは
サスケが
落ち着かないかもしれないよなぁって
思ってるところです
ちびちびが少し落ち着いたら
捕獲器を置かせていただきますので
サスケ
どうか入ってくださいね
お願いします
去年10月
おいらは空腹に堪え兼ねて
不覚にも捕獲器に入っちまった
何年か前にも捕獲器に入って
あんなに怖い思いをしたっていうのに
おまけに耳までカットされて
あれから
ずっと一匹狼で生きてきた
これからも
ずっとひとりで生きていく
そう思っていたのに
いつ頃からだったか
おいらの姿を見かけりゃ
サスケー サスケーって
勝手にサスケなんて呼ぶな!
って
最初は無視してたけど
あんまりしつこいから
ちょっと振り向いてやったら
なんか
すごく喜んで
手なんか振ってくるし
人間なんて信用するもんか
ずっとそう思って生きてきた
なのに
調子狂うゼまったく
窓から
サスケーって呼ばれたあと
車の陰から
そーっと玄関の方を覗いてみたら
山盛りご飯持って
手招きしてる人間がいるじゃねーか
それからも
サスケーって呼ばれて行ってみると
山盛りご飯を持って
いつも家の中から人間が出て来た
そんな事が続いたある日
サスケーって声が聞こえて
おいら
気づいたら声の方に走ってたんだ
どうしてだか
自分でもよくわからないけど
こういう気持ちは初めてなんだ
近づくと
おいでって優しい声がする
その声を聞いてると
ほんの少し
信じてやってもいいかなって
思える様になった
ほんの少しだけどな!
おいらはサスケ
ひとりぼっちじゃないっていうのも
悪くないかもな





