前回の続きになります



自宅の敷地のどこかで
ご飯をあげていた猫が出産した

仔猫は3匹確認していて
すでにカリカリなどは食べている
しかし最近では
1匹しか確認出来ていない

捕まえられれば
家に入れても良いと考えているが
捕まえる事が出来ない

どうしたら捕まりますかね


そんな相談を持ちかけられた
まるちゃんのおばあさんが





おばあさんさんちに帰っていく
はっちゃん(きゅーちゃん)
二階の窓から撮影



その相談者Yさんに初めて会ったのは
1年以上前のことらしい

公園でご飯をあげていると
仕事帰りのYさんに
猫にご飯をあげているのかと聞かれ
それから公園で会えば
少し話をする

そんな程度のお付き合いだったそうです


相談された日におばあさんは
母猫には避妊手術
仔猫も捕まえて時期が来たら
手術する必要がある事を話し

そして
捕獲の経験がある人か
ボランティアの人から
連絡が行ってもいいかと聞いたところ

構いませんよ
そう言ったという事でした


がしかし
連絡先をご存知なかったおばあさん
ご自宅のだいたいの場所はわかる
との事でしたので

お聞きした情報をもとに
ご自宅を突きとめ
先週土曜日に行ってみた

Yさんのご自宅は意外と近くだった

表札を再度確認していると
庭先に白髪混じりの男性が出てきた

こんにちは
Yさんでいらっしゃいますか?

はい そうですが?

猫の事でおばあさんに
ご相談されたかと思うのですが
その事で伺いました

は?

猫です
お庭で猫が出産したって
あのあせるおばあさんご存知ですよね?

猫ぉ?知らないけど
そのおばあさんも知らないよ

Yさんからお話があったと聞いて
来たんですけど
じゃあお庭に猫ちゃんはいないんですか?

その辺ちょろちょろしてるのは
見た事あるよ
近所にもいるみたいだけどねぇ

どうにも話が噛み合わない
このまま帰るわけには行かない

失礼ですけれど
息子さんとかいらっしゃいますか?

息子なんていないよぉ
あっ弟ならいるけどね

そうですか真顔
では弟さんを呼んでいただけますか?

今留守だからさぁ
用があるならまた別の日に来てくんない

失礼ながら
なんともいい加減そうなオヤジだった
また来ても居ない可能性もある

あのぉ
出来ましたらご自宅のお電話番号
教えていただけませんか?

断られるかと思いきや

あーいいよ

とあっさり教えてくれた

帰ってきたら猫の事で来たって伝えとくよ
なんならこっちからかけさせようか?

どうせ伝えてなどくれまいと思いつつも

ありがとうございます
よろしくお願いします
と携帯の番号を置いて来た

仔猫がいるとなれば急がないといけない
なのに
Yさんとは話せなかったえーん


その夜
こちらからかけようと思っていたのに
20時過ぎにYさんから着信あり

あのオヤジお兄さん
本当に伝えてくれたんだニヤニヤ

話した感じ
悪い人では無さそうだった
どうでもいい事だけど
声がお兄さんにそっくりだった

母猫はご飯を食べに来る
家で焼いた魚を置いてやると
仔猫に運んで食べさせているようだ
仔猫はどこにいるかわからない
そして
捕まえる方法はあるかと聞かれた

捕獲して手術する意思はおありの様だった

この地域で
野良ちゃんの手術を
低価格で積極的にしてくださる
おおにし動物病院さんをご紹介したら
既にご存知だった
更に
休診日までもご存知だったので
もしかしたら
猫を飼った事があるのかもしれない

捕獲器の話をすると
貸してもらえないかと言われた

お貸しするにしても
注意点や使い方を直接お話したいと言うと

明日は仕事なので
兄貴に説明しといてもらえませんか
夕方なら兄貴はいると思いますから

……

またあのオヤジお兄さんに会うのかよ笑い泣き
と思いつつも
早く捕獲器に慣れてもらうには
持って行くしかないと

あの時は思ってしまったのだ

しばらく出していなかった捕獲器
ちゃんと使えるか確認し

踏み板を隠すための新聞紙を10枚折り
ご飯の容器を3つ
パウチを10個用意した

使い方はお兄さんに説明するとして

しばらくは
中でご飯を食べさせて慣れさせる
始めは入り口近くにご飯を置き
徐々に奥に置く事
置き場所は屋根がある所
捕獲当日は見張れる誰かがいる事など
思いつく限りの
アドバイス的な事を書いたメモも用意し


約束の16時
捕獲器その他を持ってYさん宅へ向かった

チャイムを鳴らすと
程なくしてお兄様が出て来た

捕獲器お持ちしました
猫ちゃんがご飯を食べているのは
どこでしょうか?

これが捕獲器っていうの
へぇ〜
こんなんで捕まるのぉ

捕まるんですよ
で 食べてる場所を教えてください

車の後ろに濡れ縁があるんだけどさ
そこならいいと思うよ

Yさんのお宅は
それ程古いお宅ではない
けれど
家の周りには色々な物が置かれ
雑然としていた
失礼ながら( 2回目の失礼ですごめんなさい )
衛生面が心配された
兄弟2人暮らしなのだろうか

指定された場所に
捕獲器を置きに行くと

まず濡れ縁が黒く汚れていた
カビなのか分からないが
全体的にベタベタとした濡れ縁には
洗った形跡のない器に
半分にちぎられた
魚肉ソーセージがごろんと
乗せられていた

その時点で泣きたくなった
お母さんは
たくさん栄養のある物を
食べなければいけないのに

気を取り直し
捕獲器の使い方をお兄さんに話した
聞いただけでは忘れてしまうので
一度やってみてくださいと
お願いした

わかったから大丈夫だよ
ここを押して扉を開けたら
これで引っ掛けて止めるんでしょ

一応覚えてはくれた様だ

不安はあったが
捕獲器の扉を閉まらない様に固定し
パウチなどを渡して帰宅した

その夜
どーにも心配になり
Yさん宅に電話をかけた

電話に出た方は
声は似ていたのだけれど
Yさんではなさそうだったので
私はてっきり昼間のお兄さんだと思い

昼間捕獲器をお持ちした者です
弟さんいらっしゃいますか?

捕獲器?
何ですかそれ。ネズミとか捕るやつ?

昼間お持ちしましたよね?
使い方をお話ししたやつですけど

知らないなぁ

すっとぼけるのも
いい加減にして欲しかった

それとももしや
捕獲器目当ての虐待犯か❗️

保護するなんて真っ赤な嘘で
本当はものすごい悪人だったのかも
私はなんて人達に
捕獲器を渡してしまったのかえーんえーん

血の気が引いていき
自分のアホさ加減を呪った

呪った直接だった

あー弟かな?話聞いたの。

へ?
私が話したのはYさんのお兄さんで
そのお兄さんにもお兄さんがいるの?

いったい何人兄弟なんだよえーん
驚かせるのも
いい加減にして欲しいえーんえーん
でも
虐待犯じゃなくて本当に良かった

Yさんに代わってもらい
様子を伺うと
捕獲器の中にご飯を置いている
1週間くらいこれで様子をみてみる
との事だった

実は
この電話で判明した事がある

Yさん宅で出産した猫は
うちにも時々来るしろちゃんだった

Yさんが言っていた
白に頭とお尻に茶色と黒の模様

しろちゃんに間違いない!!

しろちゃん

あなたお母さんだったのねえーん


つづく