きゅーちゃんを初めて見かけたのは
去年の6月末の事だった

二階の窓から見かける事が多く
いつも足早に
どこかへ消えて行った



未手術の可能性があったので
捕獲して手術をせねばと思い

私宅玄関にご飯を置き
食べに来てくれるのを待つ事にした

けれど

すぐにご飯が減ることはなく

減らないご飯を見ては
ため息の毎日だった


数日が過ぎ
ある日ご飯が減っていた

誰かが食べに来た事は間違いなかった

その誰かが
きゅーちゃんなのか
はたまた他の猫ちゃんなのか

わからないままご飯を置き
時間だけが過ぎて行った


そんな時
防犯カメラを置いてみてはと
主人から提案があり

それが
カメラを置き始めたきっかけ


結局
来ていたのは
きゅーちゃんではなかった


上矢印
食べてた人(まるちゃん)



それでも諦めず
ご飯を置き続けること約1ヶ月半

やっと来てくれたきゅーちゃん

ご飯がある事に気づいてくれてからは
ほぼ毎日来る様になったので

少し日を置いて
捕獲器の中でご飯を食べてもらい

やがて
捕獲器にも慣れ
ボランティアさんにも
ご協力いただいて

やっと捕獲出来たのが
去年の10月



捕獲してみれば

きゅーちゃんは
出会った頃よりも丸々と太り
体も大きくて
病院でも驚かれる程だった

リターン後
数日来なくて心配したけれど

捕獲前と同じ様に
毎日来てくれる様になった



毎日カメラを確認してわかった事

きゅーちゃんは
あまりたくさん食べる仔ではない

パウチは食べずカリカリ派
でも
カリカリにトッピングした
ちゅーるは大好きで

朝は決まって5時半
誰よりも早く一番に来てくれる
それが嬉しかった

太っているからと言って
健康とは限らない

まして外で暮らしていたのなら
健康でいる事の方が難しい

だから
あまり食べない事が

すごくすごく気がかりで
すごくすごく心配だった



捕獲時
私は捕獲器を置いただけ

病院に連れて行ったのも
術後一晩様子を見てくれたのも
ボランティアさん

リターン時
一目散に逃げて行ったきゅーちゃん
私の事など
覚えてはいないのだろうな

いつも穏やかなきゅーちゃん
ビクビクする事もなく
のんびりご飯を食べていくきゅーちゃん

食べに来てくれた姿を確認するのは
いつもカメラ

一度も
この目で確認出来た事はない

元気でいてくれるなら
それでもいいのか

そんな事を思う毎日だった


そんなきゅーちゃんが
4月18日に来たのを最後に

姿をみせなくなった


これまでも
1日くらいなら来ない日はあった

だからきっと

明日は来る
明日こそは絶対来る

そう思って待ったのだけれど

10日経っても
きゅーちゃんは来なかった
 
何かあったのでは
そんな不安を打ち消す余裕も無くなり
食欲も無くなり

気持ちはもう限界だった



きゅーちゃんはいつも
私宅南側に延びる道路を歩いてやって来る
下矢印
そして
フェンスを乗り越え
下矢印

私宅玄関のハウスの中で
ご飯を食べる
下矢印


朝5時半
きゅーちゃんが来ていた時間に
南側の道路を探して歩いた

しかし姿はない


この不安を
誰かに聞いて欲しかった

主人に言っても

まだ10日でしょ
そのうち来るよと

腹が立つほどのポジティブ発言


もう
まるちゃんのおばあさんしかいない


まるちゃんのおばあさんのお宅は
南側の道路の先にある

少し距離はあるけれど
何かご存知かもしれない

きゅーちゃん捕獲の際には
捕獲器も置かせていただいた
きゅーちゃんのお顔も知っている


あれから
ご連絡をすることは無かったけれど

すがる思いで
お電話をさせていただきました


お電話での
まるちゃんのおばあさんの
第一声は

『 私もね
お電話をしようと思っていたんですよ 』


心の中が
抑えきれない程にざわざわし始め

私は思わず
携帯をぎゅっと握りしめた


            続く