トランス女性、特に既婚のトランス女性に対して頻繁に目にする疑問に「男性として恋愛して女性とセックスができたのに女性自認ってどういうこと?理解できない!」というのがあります。もちろん女性と結婚していることイコール夫婦間の性行為があるわけでは必ずしもないことはご留意ください。でも特に私のようなケース――ごく普通に機能する健康な男性の身体を持ち、女性と(男性器を膣内に挿入する)PIVセックスができて子供まで授かっている場合――だと情状酌量の余地無し、というわけです。

 

簡単に言ってしまえば「男性として女性と恋愛した」上でさらに「男性として女性とセックスした」場合は性自認が女性とはいえないのではないか、ということですね。非常に多くの方、シスジェンダーの方だけではなく一部のヘテロのトランスジェンダーの方からもそういう疑問を聞きますので(今までの投稿のあちこちで触れたことの繰り返しが多くなるかもしれませんが)私の場合はどういうことなのか説明したいと思います。

 

まず「男性として女性と恋愛した」という点です。もちろん私が自分の性自認を正しく認識する前の40代以前は自分を男性だと思い込んでいたわけですが、それを「男性として」と表現できるかと言われるとかなり疑問です。私は恋愛感情をもった時に自分の性別を意識した覚えはありません。男性側はこうしなくちゃいけない、というデート面やパートナーとの関係上のマナー、ルールとされている様々な決まりは(知っている限りにおいて)できるだけ尊重しようとしましたが、それは相手の女性に気に入ってもらうため。私の場合は自分を男性だと思い込んだまま女性と恋愛してた、というのが正しいですね。そもそも相手を好きになるのに「男性として」とか「女性として」という区別があるのかないのか私にはわかりません。私にとってはそんな区別はなかったと思います。
 

そして「男性として女性とセックスした」という点。具体的には男性器を女性器に挿入するなんて男性自認でないとできない、そんなことができたらそれは男性自認であることの証拠という認識なのかな、と思いますが、本当にそうでしょうか。
 

私の恋愛対象は常に女性ですが、性行為の時の意識としては愛するひとと身体を重ねたい、悦びを分かち合いたい、というのが根本的な気持ち。なので私にとって男性器はそのための道具に過ぎませんでした。私が今まで関係をもった女性は皆ヘテロ。性行為のためには当然男性器が必要ですから使ったわけですが……もちろんすごく大事なものである認識は強く持っていましたが (そもそも持ってなかったら相手の恋愛対象外だし) 、私の場合それを使うこと自体に男性としての意識があったとは言い難い、というのが私の気持ちです。

 

そこで、もし私がシスジェンダーに生まれていたら、と考えてみました。つまりシスレズビアンだったとしたら、そして性行為をするレズビアンパートナーがいたら……そしたら当然おもちゃを装着した性行為はあり得たと思います。おもちゃを装着した行為ができたらそれは男性自認の証拠、なんてことはありませんが、私にとってはパートナーさえ満足できるのであれば本物の男性器でもおもちゃでも変わりはなかったと言えるのかもしれません。

 

根本には私の性自認が性欲とその指向に関係がないことが原因にあると思います。でも多くの人が性自認と性欲あるいはその指向との相関性を強固に信じているのも理解しています。「性自認」というとセックス(性行為)を意味するのと同じ漢字「性」が使われているのが問題なのかな。「ジェンダー自認」の方がいいのかもしれませんね。このブログではカタカナ言葉を控えめにしようと思って「性自認」という言葉を使ってきましたが、どうしようかな。

 

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