バチカンで新教皇が決まり、レオ14世となりました。初の米国出身ということで米国では特に話題になっていますが、日本のメディアもしっかり報道していたように見受けられました。私は教皇の出身国よりどういう政治的信条をもっているかのほうが気になっています。教皇はカトリック信者の信条的リーダーとなるわけで、本人が望まなくても社会的そして政治的な影響力は計り知れないものがありますので。

 

米国のカトリック教徒はアイルランド、イタリア、ポーランド、そしてメキシコ等からの移民の子孫に多く、民主党優位の州、いわゆるブルーステートに比較的多い傾向があります。ですので、カトリック教徒の保守化、あるいはリベラル化は米国政治の動向にも直接の影響がでてきます。特に新教皇は米国出身なのでより影響力は大きくなりそうです。カトリック人口上位の州がブルーかレッドかご興味お持ちの方のため、参考までに記事と私の去年の投稿のリンクです。


州別のカトリック人口割合

 https://www.worldatlas.com/articles/us-states-by-population-of-catholics.html

 

 

というわけでさっそく新教皇の政治的スタンスに関する報道をチェック。メディアは「centrist」「中道派」との表現が多い印象ですが,、もう少し具体的に知りたいところ。報道によると新教皇は移民には寛容で、トランプの厳しい移民排斥政策を批判していました。自身ペルーの国籍も持ちスペイン語が堪能。ラテン系米国人はカトリック教徒が多いのでこれは納得できます。でも私にとって一番重要なLGBTQに関しては――もう10年以上前のコメントとはいえ――失望せざるを得ませんでした。「同性愛」はキリスト教の教えに反するとしてドラマや映画が「普通」にLGBキャラを登場させていることをかなり強く批判しています。これで「中道」というのはとほほですね。

 

結局全体的に保守的なカトリック教徒の中での保守傾向、リベラル傾向なので、カトリックの世界にLGBTQに関しては「地殻変動」を引き起こしたリベラル派,、改革派と評された前教皇フランシスコですら同性婚には反対していたわけです。全米の3分の2以上の国民が賛成しているというのに。カトリックにしても福音派にしてもモルモンにしても、米国の宗教保守派がLGBTQの基本的人権を容認するようになるのはまだまだ遠い先、私の生きている間には無理のようです。

 

話は変わりますが、私が映画「教皇選挙」を見たのは3月中旬。前教皇フランシスコはまだ入院中でしたが容態は安定、回復しつつあるようでした。ですのでわずか1か月後に亡くなった時は驚いたのですが、教皇の容態がどうのというより話題作なので見ておこうと思ったわけです。今回のコンクラーベに参加した枢機卿の中にもこの映画を見た人達がいると報じられています。そりゃ見ておきたくなりますよね。

 

この映画はぞろぞろとたくさんの高齢男性が外界と隔離されて討議を続けるという10分で爆睡必至の退屈な設定。コンクラーベがどう進むかという映画なので仕方ありませんが、これでストーリー2時間ももつの? バチカンの建物はときどき映りますが、大方が屋内のシーンなのでローマの街並みで魅せるわけでもないし。それにもかかわらず見ごたえのあるドラマに仕上がっているあたり、さすがアカデミー賞候補になっただけのことはあると思いました。派手なアクションや壮大なCG映像美に頼らなくても内容の濃い作品は作れるということですね。

 

にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 性同一性障害(MtF・MtX)へ
にほんブログ村