2年半ほど前の投稿で「身体的あるいは社会的性別が性的指向や性自認に影響を与えることはあり得る」ということをちらっとコメントしました。

 

 

そうです。身体的にそして社会的に性別移行をしていくにつれて、それまで男性に全く興味がなかったトランス女性が男性にも性的興味をもつようになるというのは珍しいことではないらしいのです。上記の投稿をした頃私はHRT(ホルモン療法)と社会的移行を進めている最中でしたが(今でもそうですが)、そこで述べた通りその時点までの性別移行のプロセスは私の性的指向には全く影響していませんでした。

 

さて、あの投稿から2年半弱。二つの大きな出来事は――まず妻にとって私は恋愛対象でないこと、もう恋愛感情がないことを妻から告げられたこと(2024年2月23日の投稿参照)、そしてこの4月にSRSを受けたこと。こういった出来事や社会的移行の進展が私の性的指向に何か影響があった? ……答えは「全くなかった」です。二つの出来事はいずれも私にとって精神的に大きなインパクトがあったのですが、未だに私の恋愛対象・性的興味は女性にしか向いていません。ヘテロの女友達とドラマのキャラの話になっても無意識に興味をもっているキャラが全く別(彼女は男性キャラ、私は女性キャラ)で大笑いでした。

 

でもSRS後、性的指向が変化した同志たち(特にMTF)の気持ちもわかるようになった感じがします。性器がまるで男性器を受け入れるようにできているので、それ(男性と性行為をすること)が自然、と感じるようになっても不思議はないかなって。特に恋愛面で私のように頑でない場合は性的興味の対象が広がるのかもしれませんね。

 

上記のリンクで紹介した調査ではトランスジェンダーはFTM、MTFに関わらずバイナリーでない性的指向――パンセクシュアル、バイセクシュアル、クィア――を自認する人達が多数派であるという結果が出ています。つまりシスジェンダーの人達とこの点で大きく異なるわけですが、これもわかる感じがします。物心ついたころから性別違和に悩まされた場合、思春期にはいって自身の性的指向について自問することが多いことや、すでに自分の性別に疑問を抱いている場合、シスジェンダーの人達に比べてストレートでない性的指向に対してスティグマを持ちにくいということも影響するのかなと思います。

 

私も思春期頃どころかその後もずっと自分の性的指向を自問し続けていました。でもどこをどう考えても女性にしか興味がなかったんですね。というわけで私自身はSRS後も変化なくバイナリーなレズビアンです。

   

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