話が前後して申し訳ありませんが、ここで手術前日、4月17日の術前検診の日のお話をしたいと思います。自宅を発ったのは4月16日、術前検診は17日。N病院近辺に居住するラッキーな患者は手術日の1週間程前の術前検診が普通のようですが、何せR先生とZ先生のコンビは全米有数の人気、各地から患者が飛んでくるので、その場合は前日でもOKというわけです。

 

場所は昨年の初診の時ともちろん同じビル。1回行っていて場所勘があるので安心です。アポは午後でしたが、その前にランチで数年ぶりに会うブラジルからの友人Cとその奥様と会うことになってました。でも会ってすぐに数年ぶりどころかほぼ10年ぶり、奥さまとはなんと20年前の私達の結婚式以来ということが判明。Cはこの街へは仕事でちょくちょく飛んで来てるのですが私の住んでる街へはさっぱり来る機会がないので会えなかったんですね。私もブラジルに行く機会はなかったし。

 

Cには昨年カミングアウト済み。全く問題なく受け入れてくれた友人です。もちろんそうだろうとは思っていましたが、始めて女性として会っても全く昔通り。旧交を温め合ったあと名残を惜しみつつ別れ、いよいよN病院へ。見覚えのある待合室には他に2,3人が待っていましたがいずれも恐らくトランス女性。話かけたりはしませんでしたが何か同志、みたいな連帯感を感じます。どんな人なのかはわからないけど似たような苦しみや苦労をしているんだろうと勝手に想像してしまうんですね。

 

やがて私の番。診察室に案内されると例によってバイタルサイン(血圧、脈拍数、血中酸素濃度等)のチェックのあと、手術前の一通りの質問。でもほとんどの質問は既に初診とその後2回程のリモート検診で受けているものと同じでした。変化、変更があるかないかチェックしてるだけ。そしてその日の夜の準備(夜中からは絶食、など)、翌日の時間、場所(手術の場所はアポの場所から数ブロック離れています)の確認。

 

検診そのものは20分程であっさり終わってしまいましたが、実はこの後よく目的の分からない意外なイベントがあることを知っていました。もちろんディスコードからの情報ですが、手術前の患部の写真を撮る――それだけだと意外ではないかもしれませんが、診察室で医療スタッフが撮るのではなく、別室に用意された撮影スタジオでのプロのカメラマンによる撮影があるのです。

 

一体なんで? ディスコードでも誰もさっぱりわからない謎ですが、翌日手術のこの時点では私にとって理由なんてどうでもいいことでした。ただ経験者からの情報では(下半身だけ)脱衣する場所がスタジオとは別の場所で、同じ建物内の短い距離とはいえ性別違和の元凶を露出して歩くのはかなり抵抗があったとの声が多数。それもあって私はひざ下15cmくらい、ちょっと長めの黒ワンピで臨んだので全く問題なし。

 

でも撮影スタジオ?スタジオで写真撮影したのなんて30年以上ぶり? 当たり前ですが局部の撮影なんて前代未聞。 ワンピをたくし上げてスクリーンの前の所定の位置に立つよう指示され、さまざまなアングルで撮影してくれました。でも翌日には全く様相が異なっているはずの、人生最後の男性器の写真をプロにスタジオで撮影してもらうのは複雑な気持ちでした。60年間きっちり全く問題なく機能してくれたそれともこれで最後、お別れです。違和感には苦しんだかもしれないけど感謝。翌日には新しい姿になっているはずです。

 

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