前々回の投稿でいきつけの医療機関では眼科医を除いてカミングアウト済みとお伝えしました。かかりつけ医(内科)とHRTを処方してくれるジェンクリは当然ですが、薄毛治療でお世話になっている皮膚科にも私がトランスであることを話してあります。ホルモンバランスと薄毛は関係があるので当然かな、と思って。じゃあ歯医者は?歯医者にはカミングアウトなんてしなくてもいいんじゃないの?
実は歯医者は2か所――通常の歯科医とそこからの紹介されたインプラント・歯茎系専門医(periodontist)にお世話になっています。もともとカミングアウトの優先順位は高くなかったのですが、昨年後者(periodontist)の診療中、思いがけずカミングアウトする羽目になってしまいました。
昨年のその日はまだカミングアウトしてないのでもちろんすっぴん男装。男物のジーンズにスニーカー、男物のシャツの完璧なアラ還もっさり姿で診療室にて医師を待ちます。まず朗らかな看護師Aが来室。最近の状況、異常がないかどうか等簡単なやり取りの後に顔なじみのインプラント専門医Tが合流。ところが――看護師AはT先生との会話で私のことを she/her と呼称。やった!male-failしちゃった?(2022年1月16日の投稿参照)
まじ?私の聞き間違いかも。それともAの言い間違い?でもAは2回目、3回目も she/her を私に使ってくれました。ひゃーやっぱりmale-failだー! 感動して幸せに浸る私に気づきもせず(当たり前です)、T先生はここで「○○(私のこと)は he/him だから間違えないように」とAにきっちり釘をさします。ま、しょうがないよね。スタッフが患者をミスジェンダーするのをほうっとくわけにはいかないし。
ところが…… 上司であるT先生に注意されたにもかかわらずAはその後も she/her を連発。全くひるむ様子がありません。T先生はその度に注意しますが口調がきつくなってきました。温厚な先生が珍しく苛立った様子。Aが申し訳なさそうに私に謝るに至って、それまで傍観を決めこんでいた私もさすがにいたたまれなくなり、その場で「私、トランスだから she/her でいいんです」といきなりのカミングアウト。
診察室の空気が凍り付くのを感じた私は「すみません、急な話で…でも昔からで…あの、私女性(she/her)でいいんです。ていうかそっちが本当なんです」としどろもどろ。一瞬あっけにとられたT先生とAですが、そこはさすが医療プロでした。「話してくれてありがとう。じゃあこれからは she/her プロナウンで。スタッフにもきちっと言っておくからね。心配しないで」とT先生のスマートな対応。
こういう対応だと本当にほっとします。T先生が診察室を出た後、Aのほっとする顔を見て私もすっかり安堵。全然想定外だったけどカミングアウトしてよかった。
A:「ほんとにごめんなさい。でも私間違ってなかったのね」
私:「ええ。私、実は嬉しかったんですけど。」
Aはこれで一気に生来の明るさを取り戻していました。「次の診察は女性で来てね!」 だって。私も「ええ、もちろんです!」
その言葉通りそれ以来(2回くらいかな)そこのアポにはスカートで。全然似合ってるよー、なんて言われて浮かれている単純な私です。