6月末の投稿で、女性として過ごす日が半分以上に増えた去年(2022年)あたりから自分の男性器への違和感が増してきたことをお話ししました。今回はその続きです。
既にお伝えした通り妻をこれ以上傷つけたくない、という思いで目をつぶっていた私の男性器への違和感ですが、こういうことは伝えなければいけない、というのも痛い程認識していました。やるにしろやらないにしろ私の気持ちを伝えなければ。カミングアウトのときと気持ちが変わった、と思われるのは必至だとしても。
秋ごろになってやっと… 自分の男性器への違和感が以前よりかなり強くなっていること、前はしなくてもいいかな、と思っていたSRSだけど真剣に調べてみたいことを妻に伝えました。ダメ、それだけはやめてほしい、と言われたら言われたとおり我慢する覚悟で。妻は慎重に言葉を選びながらも、性別違和の緩和に必要なことだったらもちろん検討すべき、と言ってくれました。
妻の肯定的な反応は「その3」で述べた通りある程度予期していましたし、自分の気持ちを犠牲にして私の希望をとおしているのでは、という疑念はもちろんありました。私は本当にSRSやることになってもいいのか、本当はやってほしくない気持ちが強いのでは、とぐりぐり妻を尋問。でも妻にとってはあのHRT開始が決定的だったようです。あの段階で既に妻は男性としての私、つまり夫を完全に失った――HRTをやっているにもかかわらず私が性別違和で苦しむのでは、苦しみぬいてやっと吹っ切った夫喪失への悲しみの意味がない、と。
改めて妻に強いている苦痛に言いようのない罪悪感を覚えるとともにここまで言ってくれる妻に感謝。妻の真意にはやや半信半疑ながらも私はSRSについて調べ始めました。評判の良い外科医は?保険は利く?どのくらい待つ?などなど。経験者の評判がいい外科医の待ち時間は大方2年位のようです。かなり長いな、とは思いましたがまあ今すぐって思ってるわけじゃないし。でもそんなに待つんだったら早急にコンタクトとったほうがいいかな。
そんなある日、年がかわって今年(2023年)初頭。私の数少ないMTFの(婦婦ぐるみの)友人Sが既にSRS の手術日が確定していること、それが6月頭であることを知ることになります。あれ、もう手術決まってるの?去年聞いたときは「検討し始めた」、てことだったのに。昨年夏に会った時も一言もSRSのことは話さなかったのに。HRTのスタートは私よりだいぶ後だったのに。聞いてみると一昨年に既にアポをとり、その後は着々と準備を進めていたようです。全く呑気な私。
でもこのニュースは衝撃的でした。それまで「選択肢として検討してる」なんて自分を信じ込ませていた化けの皮がはがれた感じ。別に競争してるわけではないのに、親しい未オペの友人が、知らないうちに手術目前(4か月前)になってると聞いて私は自分の本当の気持ちを思い知ることになります。やっぱりこれ(男性器)いらない。ないほうがいい。2年も待つなんてかなりきつい。私S より十何歳も歳だし。すぐに電話しなきゃ。アポとらなきゃ。今すぐ。でもどこに?
妻にも伝えました。SがN病院で手術することになった、というのはそもそも妻から聞いたのですが、それに私が動揺しまくっているのにはかなり面食らっていた――というよりショックを受けていたと思います。私自身ここまでSRSを切望している自覚はなかったのですが、客観的に自分を見つめる余裕はまるでありませんでした。
どの病院に、という問いには簡単に答えがでました。既によさそうな外科医チーム(全て米国北東部の病院です)が3つあることは妻に伝えてありましたが、この友人S、そして2年前まで親交があってSRS後にゴーストされた元友人(?)、そして妻のサポートグループのトランス配偶者のEも昨年秋にアポとり、と比較的親しい同地域の知り合い3人全てが同じN病院での手術。そしてそこは私が目星をつけていたところのひとつ。当然そこが第1志望です。