以前の投稿でも触れましたが既婚者がトランスジェンダーであるとカミングアウトすることに関しては特に世間の風当たりが厳しいです。結婚前にわからないはずがない、配偶者を騙していた、何年も夫婦として過ごした年月は取り返しがつかない、性別移行なんて封印すべき、我慢すべき、絶対許されない行為、などなど。

 

非当事者の方にお願いしたいのは状況はそれぞれ当事者夫婦ごとに同じではない、ということを心に留めおいていただきたいということ。結婚前に分かっていた人もいると思います。相手を騙している、という認識があった方もいるかもしれません。でもそうではないトランスの人達もたくさんいます。私がなぜ(自分がトランスであることを)わからなかったのか、ということについてはしつこく投稿したつもりですが、それぞれ当事者ごとにいろいろな事情があると私は思います。

 

そしてこれも以前に怒りを交えて述べましたが、トランスであること(性自認と生まれた時の身体の性別が一致していないこと)は断じて行為ではありません。性別移行をすることは行為ですが、これを我慢することがどのくらい辛いことなのかは今更ここで強調するまでもないと思います。この(生まれたときの身体の)性別では生きていく意味がない、という気持ちを経験したトランスの方は多いと思います。我慢すべき、封印すべき、というコメントは当事者にとって場合によっては存在を絶つべき、と聞こえかねないことにご留意ください。

 

もちろん(当事者の人生の責任なんか絶対とれない)非当事者の超無責任な「我慢すべき」論なぞにいちいち耳を貸さないことが大事なのですが、ここ数年SNS上のトランスヘイターのリンチカルチャーは凄まじいものがあります。目にしたくなくても目にはいってくるんですよね。そしてその一方、性別違和はそれほど辛くなかった、我慢できたと思うけど性別移行しちゃった、という方もいると思います。みなそれぞれです。とにかく夫婦間で本当に何が起こっているのかわからない立場の方はトランスヘイターの尻馬に乗らないように。

 

話がそれましたが、当事者のご夫婦の方に、結婚後カミングアウトしたトランスの一人として配偶者とのコミュニケーションを続けるために大切なことは何か、私が感じていることを綴りたいと思います。

 

[トランス当事者の方に]

 

配偶者にとって、夫(妻)からトランスであることをカミングアウトされることは親兄弟、子供の場合と全く次元が違います(2022年3月の投稿参照)。配偶者の場合は例えLGBTQアライでもすんなり納得できるわけではないのです。

 

まず突然カミングアウトされた(配偶者)側は気持ちの整理をつけるまで時間が必要です。トランス当事者にとっては一生あるいはかなり長い間苦しんできたことなので、カミングアウト後は一気に性別移行を進めたい気持ちはすごくわかります。特に私のように高齢の場合には。でも婚姻を続けたい意思があるならできるだけ配偶者側に考える時間を、そしてコミュニケーションをとり続けたいと思っていることを真摯に伝えることが大事かな、と思います。

 

そして婚姻関係を続ける場合、現時点でどこまで性別移行することが最低条件と感じているのかもはっきりさせ、伝えたほうが良いと思います。自分の身体だから好きな時に自分の好きにしてよい、という考え方は通常は当たり前かもしれません。でも性別移行のように外見の性別あるいは性器に影響のあることに関して、婚姻を続けていきたい配偶者がいる場合には当てはまらないと私は思います。

 

次回に続きます。

 

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