前回米国のトランスジェンダーの性的指向の調査の結果を紹介しましたが、今日はそれについての私の感想を。まずグラフの見方ですが、左側に性的指向の選択肢―-上からアセクシュアル、バイセクシュアル、同性愛(ゲイ、レズビアン)、パンセクシュアル、クィア、ストレート、該当無し――が並び、横軸に何パーセントの人がそれぞれを選択したかが表示されています。各性的指向カテゴリーごとに色別の棒が並び、やや見にくくなっていますがこれが性自認ごとのパーセントです。上から全体(濃紺)、異性装者(青)、ノンバイナリー(淡青)、トランス女性(濃い灰色)、トランス男性(薄い灰色)。念とためもう一度載せます。

 

 

ですのでトランス女性の性的指向を見るときは濃い灰色の棒だけ、トランス男性の場合は薄い灰色だけに注目するということですね。前回の投稿の文中で私が7つもある性的指向の選択肢を4つにまとめてしまった(パンセクシュアル、バイセクシュアル、クィアをまとめてしまったことなど)のは文章を単純にしたかった私の独断です。

 

さて、前回も述べたとおりトランス女性についてはストレートはわずか2割、レズビアンの3割弱を含めて7割がストレートでないという結果ですが、トランス男性はどうでしょうか。結果はストレートがやや多く2割強、ゲイ男性はトランスレズビアンの割合の半分以下の1割強、その分バイ、パン、クィアが過半数と多く、特にクィアと自認するトランス男性が多いのが目をひきます。

 

異性装者だとやはり一番多いのはストレート。4割以上で同性愛者はわずかに1割強。異性装者のほとんどは男性だと推測しますが、「女装者=同性愛者」という長年の社会の思い込みがいかに現実とかけ離れていたか(間違っていたか)、ということですね。余談ですが私はトランスジェンダーでかつ異性装者の人もあり(つまり相互に排他的でない)と思っています。あまり多くはないようですが、FTMの異性装者も間違いなく存在します。女装したいんだったらなぜわざわざ(社会的・身体的に)男性になったの、女性のままでいたら偏見・差別に晒されることなく女性の格好ができたのに、という質問をしたくなる気持ちはわかりますが、性自認とはそれだけ本質的・根本的なものなのです。

 

ノンバイナリーの特徴はクィア自認が多く、ストレートが極めて少ないこと。ノンバイナリーに関しては別な投稿で触れたいと思いますが、クィアとノンバイナリーという言葉双方が広い範囲を包括する概念であること考えれば予想通りだと思います。

 

もう一つ。トランスジェンダーの人たちで、性別移行後に性的指向が変化した、という話はよく聞きます。特にトランス女性の場合で、移行前は女性にしか興味がなかったのに、移行してからは男性にも(あるいは男性のみに)魅力を感じるようになったという場合ですね。性自認と性的指向が別物であるという事実が揺らぐことはありませんが、社会的、身体的な(SRS前か後かなどの)性別が性的指向、性自認に少なからぬ影響を及ぼしている場合は多いにあると私は思っています。

 

もしそうであれば、シス・ヘテロ自認のみなさんの中にも異性の身体になって異性として生活をする状況を想像してみた場合、ああそれなら恋愛対象の性別が変わるかも、という人は結構多いかもしれません。私の場合変化の気配は全くないので、全く影響がない人もいるということは力説しておきたいのですが。

 

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