テンカラ釣り、というのは、

いわずとしれた、日本式の、毛ばりによる釣り方だが、

今でも、自分のあこがれで、

フライフィシングでさんざん、毛ばりで魚を釣ったのに(小物ばかりですがww)、

いまだに、テンカラで、ヤマメやイワナを釣りたいな、などと思ったりする。

 

自分が、小学校、中学校のころは、

「釣りキチ三平」をリアルタイムで毎週、少年誌で読んでいて、

その中の、テンカラによる「毛ばり対決」に熱中して、

テンカラ釣りは、エサ釣りとはまた違う魅力のある釣りに思えたし、

その頃、2つの画期的な、テンカラ釣りの解説本が出ていて、

ひとつは、加藤須賀雄氏の「カゲロウの釣り」と、

もう1冊は、桑原玄辰氏の「毛ばり釣りの楽しみ方」で、

この2冊を夢中になって読んだものだった。

大げさだが、この2冊は、日本のテンカラ界の

「旧約聖書」といってもいいのでは、と思ったりするww

この2冊の本に影響されて、

高校3年ぐらいの時に、一度、テンカラの竿と仕掛けを用意し、

当時は、今のように、毛ばりのマテリアルなんてほとんど売っていないので

作画用の羽根ボウキから、トリの羽根をむしり取って毛ばりを作り、

一度渓流でやってみたが、

マンガや旧約聖書のようにはうまくいかず、1匹も釣れなかった。

そしてすぐ、受験と上京することもあって、

テンカラ釣りだけでなく渓流釣り自体、数年間できなくなっていた。

 

そして、東京で渓流釣りを復活してから30年以上たって、

そうだ、テンカラやってみよう、という感じになったが、

いろいろ、改めて調べてみると、

テンカラは、フライと違い、ラインの全長が短く、リールがないので、

ラインの長さを、釣りの状況に合わせて、すぐに自在に調整できない。

これだと、毛ばりを水面に浮かべて、漂わせる、ドライフライの釣りでは不利で、

すぐに水面の川の流れの圧力で、ラインとフライが引っ張られるドラッグ、

という状況になってしまう。

テンカラ釣りの教科書に、毛ばりを打ち込んでから

それを流す距離は、せいぜい50cmにして、すぐピックアップして、

打ち直せ、と書いてあるのは、おそらくこれに対処するためであり、

これをしないと、ラインにたるみが少ないテンカラでは、

水面下に沈めて漂わせる、ウェットフライなら、それでよくとも、

ドライフライでは、すぐに水面上でドラッグかかかってしまう。

 

う~ん、これは、川では、ドライフライでの釣りがメインの自分には、

ちょっち都合悪いなあと思い、

そうだ!テンカラロッドに、ガイドとリールつければ、

その場の状況にあわせて、すぐ自在にラインの長さが微調整できて、

ドライフライも、ドラグフリーで流すことができ、

さらに、遠投も可能になるじゃん!

そしてそれは、ただのテンカラではない、

フライとのハイブリッドの、

シューティング・テンカラ、じゃん!

という唐突で単純な発想が思い浮かび、

すぐさまそれを実行してみることに。

 

そして市販のテンカラ用ロッドを改造し、

出来上がったロッドは、こんな感じ。

竿の素材は、アマゾンで4000円ぐらいで買った

wizzテンカラSTの3メートル、カーボン製。

今回の改造では、オリジナルのブランクを、切ったり、縮めたりは一切なし。

グリップ周りを変えて、ガイドをつけただけ。

 

まずはトップガイドには、

百均のステンレス製の安全ピンの、シャフト部分を材料に使った、

自作のガイドを取り付け、

2番目のガイドは、遊動ガイドにするため、トップガイドと同じガイドをを作り、

それを短く切った中空ブランクにスレッドで固定し、ティップに通せばOK。

残りのガイドは、ルアー用の安物ガイドを、各セクションの先端につけるだけ。

今回、竿が良くしなるように、必要以上に大きめのガイドをつけてみた。

そして、直径25mm、厚さ1mmのアルミパイプを、

17mmの幅で切ったものを、2個用意し、

それをグリップエンドに取り付け、リールを装着できるように改造。

グリップも、上部をEVAから、太めのコルクに直し、

先が欠けないように、集積コルクにしたりして、

グリップを握りやすく、力も入れやすいようにして、

思いつくまま適当に改造。

あとは、トップガイド保護用の、トップガイドカバーも自作。

これは、必須アイテムで、

ティップを破損しやい振り出し竿では、

竿をたたんで仕舞う時や、ロッドケースに入れて移動する時に、

必ずトップカバーをつけるようにしないと、かなりの確率で穂先を痛める。

 

あと問題は、釣り用のラインだが、

いろいろ考えて2種類用意。

 

一つ目のAタイプは、

リールの元に、

3号のナイロンラインを20メートルほど巻いて、ランニングラインとし、

そしてその先に、本体となるナイロン10号6メートルをつけ、

その先に、先細りのテーパーリーダーとして、

ナイロン7号80cm+4号80cm+2号80cmをつけ、

最後にハリスとして0.8号を80センチ。

 

これを軽い「重利作」の木製リールにセットして使う。

このリール、30年くらい前に、3000円くらいで買ったものだが、

実用でなく、インテリア小物として、観賞用に購入したもので、

一度も、現場の釣りで使ったことがない代物だったが、

ついに、30年の時を経て、本番の釣りに出番の、

時が来た!(…故破壊王 談ww)

 

 

しかし、このリール、ドラグ機能がないので、

そのままでは、ラインをリールから引き出した時に、

簡単に「バックラッシュ」が起きてしまうので、

本体のメインシャフトの周りに、マジックテープの片側を貼り付け、

マジックテープの表面の起毛が、スプール内側の面と接触して圧力をかけ、

簡単に逆転しないようにして、バックラッシュに対処。

 

しかし、Aタイプのラインでは、ライン自体が軽すぎて、

竿に負荷がかからず、竿が曲がらず、ラインが飛ばない気がして、

保険として、Bタイプのラインを用意。

 

こちらは、

リールの元に、

3号のナイロンラインを20メートルほど巻いて、ランニングラインとし、

その先に、フライ用の、テーパーがない、太さが均一のレベルラインで、

幅1mmの太さの物を、7メートル巻いてライン本体とし、

その先に、先細りのテーパーリーダーとして、

ナイロン7号80cm+4号80cm+2号80cmをつけ、

最後にハリスとして0.8号を80センチ。

これは、普通のフライ用のリールにセット。

ライン本体を、太さが均一のレベルラインでなく、

スカジットライン用で、太さが先細りのテーパーがついた、

フローティング・ティップをつければいいのでは?

と思って、一度試したが、テーパー付きだと、

すぐライン本体が手元のリールの方に、ズリ落ちてしまうので、

これはレベルラインの方が、都合が良かった。

しかも、チョウチン釣りで、ピンスポットに落とすような時で、

竿のトップガイドから出ているラインの長さが

かなり短くなるような際も、

レベルラインの方が、都合がいいように思える。

 

 

さて、現場で、試してみるべかあ、といつものY川へ。

いつものA川との合流点の上から入川。

まずは、Aタイプの、ナイロンのモノフィラメントだけで作った、

軽いラインを試してみる。

橋ゲタの根元のプールで、マイクロライズがあったので、

ティペットのフライを、ノーハックルのミッジ22番で流すが、ヒットなし。

Aタイプの、軽いラインは、まあ、投げることは出来ても、

ハリスの先端までラインがターンせず、

ラインの先が「への字」のまま着水してしまう。

しかも、その時の風は、追い風で有利なのに、

これでもちゃんとターンしない感じなので、

これでは、お人好しのカワムツ君は釣れても、

オイカワやヤマメは無理かも…と言う感じ。

 

そして、フライを水面に置いたまま、引きずって上流に歩いていたら、

自動的に、チビチビカワムツがヒット。

これが、ぽんこつ風「シューティング・テンカラ」の第一号のヒット(爆笑)

 

その上の瀬で、

ティペット先端のフライを、20番のグリズリー・パラシュートにチェンジして

ドライフライで流すと、今度はちゃんとしたプロセスで、チビカワムツヒット。

 

Aタイプの、軽いラインは、

何度投げても、先が「への字」のまま着水してしまう感じだが、

魚を取り込むときは、左手を使うこともできるので、

これは「シューティング・テンカラ」のメリットかも。

そして、投げるときに右手だけなのは、なんだか新鮮で、

とりあえず「テンカラ」をやっている気分に(笑)

 

しかしその後も、何度も、投げてみるが、Aタイプの、軽いラインでは、

どうしても、うまくラインがターンせず、向かい風になると、

投げてもラインが足元に落ちてしまう感じなので、早々に見切りをつけ、

今度はBタイプの、本体にフライ用のレベルライン幅1mmのものを使ったものに

チェンジしてみることに。

これは、なかなかロッドとも相性が良くて、

ラインも先端まできちんとターンしてくれて、対岸まで飛ばせる感じ。

 

これはいけるなあ、と思い、

いつもの爆釣プールで流してみたところ、

やっと「シューティング・テンカラ」で、小型オイカワさんをゲット。

しかし、釣り続けていくうちに、

これは「テンカラ」じゃなくて、

ただの、「ワンハンド・フライフィッシング」じゃね?

という疑念がわいてきてしまった(爆笑)

 

その後、いつも休憩する橋の下のプールでも、オイカワがヒット。

そして、今度は投げるときも、魚と合わせるときも、左手を使ってしまい、

これでは、ただのロングロッドとライトラインのフライ釣りと同じ結果にww

 

そして、橋の下でBタイプのラインの遠投力テストをしてみると、

ラインが竿先のトップガイドから、約14メートル前後で飛ばせた。

そこにリーダー部の約3mを足せば、竿先から17メートルなので、十分の飛距離。

ただし、向かい風となると、通常のフライラインよりは、かなり弱い感じ。

 

とりあえず、Bタイプのラインなら、

ぽんこつ風「シューティング・テンカラ」は、

とりあえず、毛ばり釣りとして、成立するのは分かった。

しかし、「テンカラ釣り」、と言うには、すこしウソ臭くて、

限りなく、フライ釣りに近い感じ(爆)

 

 

さて、今回の釣りの目的は果たしたので、

普通のフライ釣りに戻ることに。

タックルを、いま2ピースから4ピースに改造試作中のフェンウィックと、

マーチン63にチェンジ。

 

左側に水門のあるプール手前で、本日の中での良型オイカワが来た。

 

学校前プール上の瀬は、今回反応がうすく、オイカワは小型のみ。

 

その上の、京王線の高架下には、

先行していた2人の釣りの人がいたので、

そこでしばらく、よもやま話をする。

この方々は、自分のようにせっかちに、ポイントをあちこち移動せず、

河原に椅子をおいて、ビールを飲み談笑しながら

ひとつの場所でずっとノンビリ釣りをするとか。

 

そこから上流にいっても良かったが、もう足が疲れていたので、

今まで来たルートをひきかえしながら、ダウンクロスで攻めてみることに。

毛ばりを、ティペット先端と枝針ともに、テンカラ風ウェット18番にチェンジ。

 

ウェットフライ&ダウンクロスによる釣りは、

ドラグを気にせず、ラインを流して、魚のバイトを待つだけ、

合わせも、向こう合わせで、すごく楽チンなのだが、

釣れる魚は、ドライフライによるアップ・ストリームでの釣りより、

サイズが小さくなる傾向がある気がする。

またある程度、早い流れでないと、アタリも遠のくし、ちょっと飽きる感じもする。

 

最後に、オイカワをダウンクロスでゲットし、納竿。

 

 

それにしてもまあまあ、楽しい釣りだった。

今回やったのは、純粋な「テンカラ」釣りではなく、

限りなくテンカラに近いフライフィッシング、と言う感じだったが、

テンカラっぽいことをやることで、ある意味、フライのシステムが、

ラインの長さの調節がすぐできる事とか、左手を有効に使える事など、

ある意味、テンカラにはない優位性があることを認識できた感じ。

そして、ちょっと使えなかったAタイプのラインの方だが、

これは、脈釣りのダイレクトラインアウトリガーでは使えるので無駄にはならず、

30年の時を経て実釣に参加した「重利作」の木製リールは、

本体側の外側にフレームがないので、ラインを巻き取るときに不便で、

また簡単にラインの先が、本体のシャフトの方に絡まり、

スプールもワンタッチで脱着できないなど、

欠点だらけで使いにくく、「軽い」だけが取り柄なのがわかったが、

それによって、通常のフライリールが、

いかに使い易くできているかが、良く分かったし、

「重利作」の木製リールも、このロッドとの組み合わせで、

先にエサ釣りのウキ釣り仕掛けなどをつければ、

小場所で小物釣りもできそうだし、

これはこれで、良しとしましょう。(笑)

 

それと、今回、加藤須賀雄氏の「カゲロウの釣り」を読み直して、

伝説の「ゴールデン・ボトム・エレガンス」の模造品を作ってみたのだが、

今回オイカワたちが渋かったし、

サイズが14番と、オイカワ釣りには大きすぎるものだし、

素材のキジの剣バネは、3本で1000円と高価なので、実戦投入は見送りww

 

これは、来年に、渓流の方で試してみようと思うww

(しかし、この試作品、本物には、ほど遠い、イマイチの出来やなあ…ww)