フライフィッシングは、いろんな釣りの中でも
やたらと、金のかかる釣り。
釣りをするためのメインである、ロッドやリールも高いが
フライを巻くための道具やマテリアルにも予算がいる。
自分がフライをはじめた31年前は
もう一つの趣味の音楽で、シンセなども購入していたので
2重にお金がかかって大変だった。
そのため、フライフィッシングを始めるときは
なるたけ安価な商品をそろえようとしたのだが
当時フライはまだマイナーなジャンルで、どの道具も小数生産のためか
他の釣り道具や用品よりなぜか値段が高かった。
しかもマイナーな釣りのくせに、やたら特別意識が高くて
フライの用品は高くて当たり前、
それがいやな貧乏人はエサ釣りでもやってろ、みたいな風潮があった。

持っている道具のレベルで、釣り人のレベルを図ろうとするような

いやらしい感じが長い間あった気がする。
また一度オービスやハーディーなどの高価な名品を

一品でも手にしてみると、
実は高いなりの魅力があるのに気付いて
まるで麻薬に毒されたように、高価と分かっていても
つい手を出したくなってしまう魅力が、フライの道具にはあり
貧乏のくせに、物欲が強い自分は、それに抗えずに
一時期は結構な散財をしたものだった。
そこで初めて、外国のブランド車に傾倒して、
金をかける人の気持ちが理解できたものだった。

その道具なかでも、理不尽に高い価格と思うのが、フライライン。
釣り糸でいうと5号から8号ぐらいの強度の細い編みひもを
ただソフトプラスチックでコーティングしただけの、

たった25~30mくらいの長さのラインが
安くて4000円、高くて8000円から1万円もした。
しかもフライロッドは、竿の硬さの番手が細かく分かれていて、
その番手に合ったラインを、浮くものと沈むものの2~3種類で
それぞれそろえる必要があって、さらに金がかかる。
有名なサイエンティフィックアングラーの、レベルは中くらいのラインで
Air celシュープリームという奴が、すでに5~6千円位もして
それだと、安物フライリールが一個買えてしまう。

ルアーだったら、当時は2千円のダイワのスピニングリールでも充分使えて

ラインは500mで1000円のナイロンラインで

500円のセルタ2個も買えば、それで充分一日の釣りができた。

そう思うとやっぱり高い。
その後、映画「リバーランズスルーイット」の影響で
フライフィッシングブームが起こり、

フライ用品を作るメーカーも増え、量産化が進んで
オーヴィスやセージなど高級ブランドでさえも、ロッドやリールは
コスパの良いエコノミーモデルを出すようになってくれたが
何故かフライラインは、高い価格のままだった。

しかしやっと近年、昔より格安で、使えそうなラインが
たくさん出回ってるのを知って、早速試すことにした。
1本2000円くらいのものが多く、
(ヤフオクだとブランド不明で送料込みで1500円くらいのがある!)
これなら、サイエンティフィックアングラーのウルトラ3が
たった1本しか買えないところを
なんと3~4本も買える!!
早速、その格安ライン
WF-4Fのモスグリーンとティールブルー
WF-5Fのティールブルー、と3本をポチって
現場で試すことにした。
同じWF-4Fで、違う色2種類を買ってみたのは、
同じ銘柄のラインでも、カラーが違うと実は
ラインの性質が、微妙に違うことがある、と思うから。
使用する色素が、コーティングのプラスチックの性質に、

少なからず影響するんじゃないか?
と素人の自分は、勝手に推測しているのだが、
これまで同じメーカーで、同じ番手であっても、カラーが違うと
使い心地、耐久性などが微妙にちがうと、感じることが少なからずあった。
これは、格安フライラインでも、そうであるのか、その比較のため。



とりあえず、いつものA川支流の、Y川へ


今回使うロッドは、往年の名品
オーヴィスのカーボン製のタイトループ・8フィート・4番・4ピース(4本継ぎ) 
リールは右から
稀代の名作オーヴィスCFOⅢに、WF-4Fティールブルーの格安ライン
その左隣はマーチン63SSに WF-4Fモスグリーンの格安ライン
その左は、オーヴィスバテンキルに WF-5Fティールブルーの格安ライン
一番左は、STHフォークに、WF-4Fのブランド品のウルトラ3をセット
ウルトラ3は格安ラインと比較するため。

まずは、格安ラインWF-4Fティールブルーを巻いたCFOⅢをロッドにセットして
現場で第一投。


ふむむ
近距離では、ブランド品のフライラインに比べ、

ほんのちょっとだけ劣るだけかなあ、という感じで、

大きな差異はないように思える。
今日は川下からの追い風なので、投げやすい環境だが
それを差し引いても、まあ無難に使える、と思う。
自分が川釣りで、曲がりにくい素材であるカーボンロッドを使うときは、
指定の番手の1番上のラインを使って
(例えば4番指定のカーボンロッドの時は、5番のラインを使う)
近距離で投げた場合に、キャストしたフライが、
しっかり直線にターンしやすいようにするのだが
今回はあえて、竿の番手とライン番手を、きちんと同じく合わせており、
それでも、ほぼ必要なレベルで、ラインはループから直線に伸びてくれる。
大昔に、実は3000円くらいのバッタもんの格安フライラインはあったが
まったく飛距離が出ず、使いものにならなくて処分したことがあるが
これは十分行けそう。


しかし肝心の釣りの方は、
前回のY川と比べ、水も透明で、小魚のライズも多いのに、
なかなかヒットしない。
TMC101の20号の茶色ハックルのパラシュートが
なんども無視される。
エルクヘアーカディス20番に代えたらやっと来た。
前回振られまくった、オイカワ君である。だがチッチャイ!

その後は、茶色ハックルのパラシュートは相変わらずシカトされるが

同じ形でハックルをグリズリーのものだと反応が良かった。
茶色よりグリズリーがいいという事は
いま水面上を流下しているのは、小さな昆虫よりは
やはり蚊やユスリカなどがメインなのかもしれない。

しかし、やはり、オーヴィスのロッドには
オーヴィスのリールの組み合わせがカッチョイイ。





次は、格安ラインWF-4Fのモスグリーンをセットした
マーチン63SSに代えて投げてみる。


こちらも普通に使える。
ティールブルーに比べると、表面がつるつるしていて硬い感じだが
こちらの方が、ちょっとだけ、ラインが伸びてくれるみたいで、

ラインがターンしやすいように感じる。
やっぱり、同じラインでも、カラーが違うと微妙に性質が変わると思う。

しかし、往年の安物リールのマーチンは、やっぱり味があるなあ。

低音でコロコロと鳴るクリックの音は

田舎道をゆっくり走るトラクターの音みたいで、なんだか和む。


その後移動した期待のプールでは、反応はあるが釣れるのは
やはりチビオイカワかカワムツ。


カワムツも来るけど

今日は、オイカワのほうが、浮くフライには積極的にアタックしてくる。


しかし、その後も、チビオイカワを連発。
うむむ、これでは、まるで、
全日本小物釣り大会の多摩地区予選じゃないか!ww(アセリ’’)


そして、休憩後、ラインからフライを外して、釣りはせず

投げてどれだけ飛ばせるかの、キャスティングのテストをする。
格安ラインWF-4Fのティールブルーもモスグリーンも
投げてみて、竿先のトップガイドからラインが出た長さが概ね14~15m
そこに、竿の長さと、先端のリーダーの長さを足すと
ちょうど自分の足元からは、ほぼ20m先にフライが落ちる感じ。
その距離なら、中流までの川釣りに十分でしょう。


また比較のために、サイエンティフィックアングラーの
当時は、浮くラインでは、最上位のウルトラ3のWF-4Fを巻いた
STHフォークに代えて、キャスティングテスト


すると
竿先からのラインがでた距離は16~18mほど
何度やっても、ほぼ2mくらい、ウルトラ3の方が

格安ラインより距離がでる。
しかもラインの伸びがよく、ラインの先端までしっかりターンして楽に投げられる。
しかもこのウルトラ3、

買ってからほぼ20年近くたった代物!
ブランド品おそるべし。

まるで最近の韓国車がどうあがいても
20年前の国産の名車に勝てないような感じ。

さて釣りに戻って
その後は、格安ラインWF-5Fティールブルーを巻いた、オービスバテンキルにチェンジ


4番カーボンロッドに、5番ラインを載せて、
近距離キャストが楽かと思って投げるが
ロッドと相性が悪いのか、なぜかラインをターンさせるのにちょっと苦労する。
魚も相変わらず小物ばかり。

いまいちピンと来ないので
今度は竿を、グラスロッドに変更。
ラミグラスの4番、7フィート6インチ、3ピース(3本継ぎ)


このラミグラスロッドは、20年前くらいに、渋谷のサンスイで、
1万円位でブランクを買って、自分で組み立てたもの。
グリップとリールシートは、スコット風、
ガイドの巻き糸などのラッピングは、ペゾンアンドミッシェル風(笑)
ガイドはノーマルの品質のもの。
ここに格安ラインWF-4Fティールブルーを巻いたCFOⅢをセット
投げてみると、
格安ラインは、グラスロッドでも充分使える。
グラスロッドは、手元のスナップで竿を曲げられるので
カーボンのタイトループで使うより、フライを直線に飛ばせる。
タックルをチェンジしたとたん
ようやく良型と言えそうなオイカワがヒット。

 

この区間の流れで、調子よくオイカワが出た

 

 


その後、K駅の手前の流れで、やっと良型サイズのオイカワが連発。


後半はやや調子がでたので、今日もまあまあな一日。
トータルして、オイカワ15匹、カワムツ9匹
800m程度の距離での川の区間を移動しながらの釣りで、この数なら十分でしょ。

格安ラインは、とりあえす使えるのは分かった。
しかし耐久性はまだ未知数で、
最初は良くても、数回つかうと、急に性能が劣化するヤツもあるので
これから時間をかけて使ってみよう。
そしてティールブルーのものは
キャスティングテストしてわかったのだが
投げる距離分、リールからひきだして足元に置いておくラインが
絡みにくくて良いことがわかった。
フライラインは、ルアーのようにリールから直接放出するのでなく
飛ばす分のラインを、あらかじめリールから引っ張り出して足元に置き、
何回もロッドを前後に振って
少しずつラインをロッドの反動で前に繰り出していくという投げ方なのだが
その足元のラインが、リールに巻いている時にヨレと癖がついていて
ヨレたラインが足元で絡まってラインが飛ぶのをさまたげてしまうことが多いのだが
この格安ラインのティールブルーは、柔らかくてクセがつきにくく
いちども絡まずにすんだ。

ラインの先端9mあたりまでのラインテーパーの後の、テーパーがなくなる

シューティングラインの部分が柔らかくてクセがつきにくい感じ。

しかし、ラインの先端から9mくらいの、ラインの一番重要な部分は

モスグリーンの方が、すべりが良くてしっかりしている感じ。

近距離では、モスグリーンの方が

スムーズに投げることができて使いやすい感じもする。


どの程度繰り返し使えるのか、これからじっくり試してみようと思う。