おい…
あなたのために出した布団やないぞ





メイがお世話になっている病院は、
おじいちゃん先生、その息子のダンナさん先生、奥さん先生、一家3人の獣医さんで診てくださる

どの先生に当たるかはその時次第。
たくさんお話してくださる優しい奥さん先生。
いつも飄々のんびりのおじいちゃん先生。
的確で丁寧に診てくださるダンナさん先生。
メンズ恐怖のメイがおとなしい順。笑
ある日のこと。
飲み薬の投薬が奥さん先生に回って来た。
『わ、私メイちゃんに投薬するの初めてだわ。イケるかなキンチョーするな…』
失敗するとまるでカニさんのように口から泡泡を吐き出し続けることになるこの作業。笑
優しい奥さん先生はメイの口元にこれを当ててメイが口を開けるのをじっと待つ。
そしてエイ、今だぁ

ぺっ





舐めることさえなく見事に一発で吐き出したメイ

奥さん先生心折れて、ダンナさん先生に交代。笑
ダンナさん先生はメイの顔をパシっと掴み、
頬骨のところを押さえて喉の奥めがけて投薬器を突っ込む。
よし、成功〜はい〜終わり〜

でもこれがね

おじいちゃん先生は投薬器すら使わずでっかいピンセットに薬を挟んで
ムギュっとメイの顔を掴み、
無言で喉の奥に薬を突っ込んで何事もなかったかのように投薬を終えるのだ。
そこにはなんの躊躇も感じない。
ゴクンと薬を飲み込んだ後、
意地でちっちゃく
シャァ…
と言ってみるメイがおもしろくてたまらん



おじいちゃん先生は耳が遠くて診察もいつものんびり。
でもこれまでたーーーくさんの動物たちと付き合って来て、
まさに百戦錬磨なんやろなー

何事もひとつの道を長く歩くというのは、
そうすることでしか得られない
いわゆる経験値を身に纏ってくってことなんやな



ベテランと呼ばれるひとは、
ベテランならではの鮮やかさを意識しなければいけませんね






